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【9月12日】マーケットレポート 『日銀、円安に対し手詰まり感』

本日の市場

●株式市場(9/9の終値)

ダウ:32151.71(+377.19)
ナスダック:12112.30(+250.17)
S&P:4006.18(+61.18)
日経平均:28214.75(+149.47)

…市場が、今月のFOMC会合での0.75%の利上げ幅を見込む確率はすでに9割に達しており、3指数は底堅い値動きとなった。
また、米10年債利回りも一服し、金利の動向に敏感なハイテク株にも買いが集まり、ナスダックも上昇した。

●為替相場(9/12 5:46時点)

1ドル = 142.52 - 55(円高↓)
…日銀の黒田総裁と岸田首相が会談。記者に対して、黒田総裁は現在の相場を「急激な変化」とし「将来の不確実性を高めてしまう意味で好ましくない」と主張。それにより、急激に円高方向に進み、1ドル=142円台まで上昇した。続きはトピック①へ。

本日のトピック

①日銀、円安に対し手詰まり感

9日、日銀の黒田総裁と岸田首相が会談。その後、記者に対して黒田総裁は現在の相場を「急激な変化」とし「将来の不確実性を高めてしまう意味で好ましくない」と主張。それにより、急激に円高方向に進み、1ドル=142円台まで上昇した。しかし、今の円安は日米金利差に沿ったものと考える取引参加者が多く、今回のような口先だけでの介入効果は長続きしないと考えられる。
対策として考えられる政策は2つある。
1つ目は、「円買い介入」だ。しかし、インフレ抑制のためドル高(ドル安になるほど輸入物価が上がり、コストプッシュ型のインフレを進めてしまう)を望む米国の理解が得られるとは考えにくい。また、仮に介入できたとしても米国債の売却により、利回りは上昇。かえって日米金利差が大きくなってしまう。
2つ目は、「利上げ」だ。しかし、黒田総裁は7月に「少し金利を上げても、円安が止まるとは考えられない」「利上げは経済にダメージになる」という見方を示している。
「円買い介入」「利上げ」ともにハードルが高く、円安に対し、手詰まり感が色濃くなっている。

②【専門家の視点】中国株に向けられていた資金が、日本株へ向くのでは

UBS証券の中冨良祐氏によると、海外投資家が「円安だから日本株を買う」ということはほとんどないという。海外投資家は、円安に関係なく継続して利益を上げられる企業に投資するため、経営者と直接対話し、企業業績や経営方針などを確認してから投資先を選ぶ。日本の水際対策の緩和により、投資家の来日が増えれば日本株への投資機会も増えるのではないか。
また、日本株は他のアジア株と比べるとパフォーマンスが良い。中国景気への警戒感が強まり、中国株から資金を引き上げている投資家が増えている中、その資金が日本株へ向かい、日本株の下支えになる可能性はあるという。

③デジタル給与、2023年4月にも導入か

政府は給与を「PayPay」「楽天ペイ」などのデジタルマネーで受け取る制度を2023年4月にも解禁する方向で最終調整している。
給与をデジタルマネーで受け取ることで、スマートフォン決済アプリの利用者を増やし、日本のキャッシュレス化を進める狙いがある。また、銀行口座を持つハードルが高い外国人労働者らの活用も想定する。
その一方、主要決済アプリを持つ銀行に預金が移りやすくなるため、従来の銀行は預金集めや顧客との接点強化のための新たな戦略が求められる。

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