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「呼吸の楽なマンガ」を目指し 4コマ更新1000話のお礼に代えて

0.御礼

番次郎書店のバンちゃんと申します。

私事ですが、2021年5月4日に第1話を更新したボードゲームの4コマ「かみとさいころ」が、先日4月23日、更新1,000話を達成することができました。
ここまでの応援、本当にありがとうございます。

しかしながら、4桁の大台となるまで更新できた割に、閲覧数は相変わらず2桁止まり。
1000話の更新中、100RT(RP)を超えたことが結局”一度もないまま”でした。

それもそのはず。
この4コマは、キャラクターや展開、広報など、「極力目立たない」よう配慮されていたからです。

今回は気持ちの区切りも含め、本4コマを執筆する際の「目立たせない工夫」などの苦労話をつらつら書き連ねようと思います。

1.4コマについて

この4コマを大まかに説明すると、ボードゲームが大好きな社会人「新穂千里(にいほ ちり)が、ふとしたことで猫に擬態した「神」と出会います。
今風のボードゲームなどまるでわからなかった神でしたが、千里の家に居候するうちに、だんだんとボードゲームの面白さに目覚め、一緒に遊んだり、時には千里とともにボードゲームカフェに足を運んだり、時にはイベントに出展したりもします。
それでも難しいルールや用語はとんとお手上げ、どちらかといえばボードゲームより食べものの方に夢中。
最近はボードゲームの中に飛び込み、中の住人にちょっかいを出したりもする。
そんな設定で、開始当初から新キャラクターなどを加えず、基本は二人だけで進行します。

キャラクターの変遷

2.キャラクターを目立たせない。


 SNSでの更新中、特にキャラクターに「強い個性」を持たせないように気をつけています。
 もちろん、SNSの特性上、どこでどんな場面で読まれるか把握できないため、読者の層を極力幅広く想定して、の話ですが、有り体に言うならば、あまりに女性を意識した描き方をすると、人気を得ることと引き換えに「4コマのネタが個人の魅力に引っ張られるのではないか」と恐れました。
 「キャラクターがかわいいから許された」「このキャラクターだから許された」を、なるべくオチに設定したくはない、という気の回し方です。

 まずは「千里」の場合、  
 外見ですが、特段胸を強調したり、美形に描いたりはしておりません。(中のキャラクターには申し訳ないですが……。)
 また妙齢の女性(設定は「社会人」)ですが、男性キャラクターの掛け合いや恋愛要素なども一切省略しています。
 これも本作の筋が「笑いの4コマ」から外れないための配慮です。

 一方の神様も、よくある『何でも願いを叶えてくれる全知全能の神様』とは程遠い、どちらかといえば人間味あふれるキャラクターに設定しました。

 神様という特性を発揮することで、たとえば「魔法を使って何でも解決」も可能ですが、それは自分の中に「禁じ手」として写ったからです。
 専門的な呼び方をすると「デウスエクスマキナ」、物語などの展開で救いようがなくなった際に神の力で強引に解決すること、近い話ですと「夢オチ」のような、半ば強引な展開を避け、なるべく「4コマの起承転結で解決する」よう心がけました。

ここまでですでにキャラクターとしては「没個性」です。
ボードゲームが大好きな点を除くと至ってありふれた女性、そして、ボードゲームそのものより食べることに頓着する神様、物語の設定としてはとても魅力的とは呼べません!


3 SNSを目立たせない。

 SNSでの「同じ作品のRT」や「ハッシュタグへの便乗」も一度も行なっていません。
(※以前有名ボドゲ制作者から「(バンちゃんは)承認欲求の塊!」など言われのない忠告を受けましたが、私、本作を時間を空けてセルフRT(リポスト)したことなど一度たりともありません!)

 過去作への強い固執がないわけではありませんが、「今の作品を見てほしい」の気持ち、具体的には、過去作からさらに勉強・成長したであろう今の作品を見てほしい、の気持ちの方が強いからです。

 そして、なるべく「強い共感オチ」を避けることにしました。
 SNSの「いいね・ファボ」には、面白かった、好き、のほかに「共感できる」のいいねがつくことも多いです。
「ボードゲームのあるある」や「道徳的な呼びかけ」がオチになると、読者の「共感した」分のいいねも多めにつくかもしれません。

 しかしながら私は、本4コマを通じ「ボードゲーム界を盛り上げたい」「ボードゲームがより良い環境で楽しめるよう」などの崇高な目的はありません。
あくまで「普段何気なく楽しむボードゲームの中の、ふとしたおかしさ」を漫画として落とし込みたいと考えています。


4 まとめ 「呼吸のしやすい漫画」

ここまで上げた通り、本当に目立たずひっそりと、インプレッションもほぼ横ばいのまま、数だけはたくさん描き、今日に至ります。
毎回の漫画に「いいね」をつけるフォロワーは増えるどころか減っていく一方です。商業にたずさわる方からすると、あまりの反響の無さから発狂すること間違いなしでしょう。

以上を一言であらわすならば「ドキドキが足りない」です。

ちょうど仲間が絶体絶命のピンチになったときに正義のヒーローが現れるような、
ちょうど気持ちの行き違いの末に好きな相手にヒロインが想いを伝えるような、
そんな「一喜一憂」「興奮やスリル」からは程遠い、そんな漫画であるがわかってもらえたでしょうか。これを書きながら私もだんだん情けなくなってきました。

何より、当の私自身も、この「ドキドキのない展開の漫画」が、本当に正しいのか、この先も続けて良いのかは定かではありません。

更には、本作のような漫画の描き方など、とても周りに勧められたものではありません!

特に大きなデメリットとして、頑張りの報酬が本当に少ないことが上がります。
商業的な漫画ではないため、どう描こうとも私の懐には1円たりとも入らず、それどころか、インプレッション数や「いいねの数」なども、「100,200RTが当たり前」の周りのボードゲーム漫画から見れば微々たるものです。
何時間もかけて熟考し、練り上げ、苦労し描き上げたタイパやらコスパやらを考えると、こんなに割に合わない漫画も珍しいです。

しかしながら、そんな注目度もドキドキからも大きくかけ離れた漫画が一概に「駄作」とはいえないと考えております。

ドキドキ、ハラハラ、そして次への期待といった概念と引き換えに、非常に気楽な気持ちで読むことができます。
言うなれば、「とても呼吸の楽な漫画」ではないかと自分では考えております。

読み手となった際、こんなに呼吸の楽なボードゲーム漫画も珍しく、私はその「読者としての呼吸のしやすさ」こそが本作の強い魅力だと考えております。

ドキドキもハラハラも薄い、ごくごく平坦な4コマですが、そんな「楽な呼吸で読める4コマ」のスタイルを、今後ももうしばらく継続しようと考えております。
もうしばらく二人のドタバタにお付き合いくださいませ。


御礼イラストなど

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