GP2 回顧録③

いざ大阪へ

筆者は権利を予選で獲得できず、前日予選を通過する自信もなかった為。本戦会場には行っていないので人から聞いた話になってしまうのだが、当時関東のある有名プレイヤーの行動が話題になっていた。本人の許可を貰ってないのであえて名前は出さないが、その彼は当時、学生プレイヤー達が遠征の費用を捻出するのが難しいと知ると、マイクロバスを借り、格安の参加費で多くのプレイヤーを募ると、関東から大阪までのバスツアーを敢行したのだった。
このような行動力を持ったプレイヤーがそれぞれの地域、ショップにてコミュニティーを形成し、大きく広がって行ったのがD-0が盛り上がっていった要因の一つなのかもしれない。

話をGP当日に戻す。GP本戦当日、会場はルドルフゲートであふれていた。
前日予選でもその傾向は顕著で、各所でゲート同士の対戦が行われていたようである。
ただ、ラウンドが進むにつれて、それまで見たことがないデッキが勝ち上がってきていることが、会場にいるプレイヤー達に知れ渡ってきていた。
第2弾、勝利への計略に収録されていた新カード「幽鬼の谷」を使用した赤黒のコントロールデッキ、所謂トロールヴァレーのことだった。このデッキのキーカードはデッキ名にもなった、ベースカードである幽鬼の谷とストラテジーであるトロール流砲撃術の2つのカード。まずこのベースはベース上で自軍ユニットが死亡したときに墓地にあるその死亡したユニットのコスト以下のストラテジーを回収するカード。砲撃術は自軍ユニットを墓地に送り、対象のユニットに6000ダメージを与えるカード。この2つに赤と黒の優秀な軽量ユニットと、低コストのストラテジー、そして墓地のユニット回収するカードを加えた構成になっている。

このデッキがゲート系のデッキに強い理由は3つある。
1つにメイン除去となる砲撃術が6000ダメージでパワー6000のルドルフやファーザーを倒すのにぴったりであること。
2つ目に幽鬼の谷のおかげで除去が不足しないこと。
3つ目にデッキ全体の構成が軽いコストである為に1ターンに複数回の行動が容易であること


これだけでも十分なのだが、もっともすぐれていた点は他にあった。それはこのデッキが本戦当日まで一部のプレイヤーにしか知られておらず、全くのメタ外だったことである。
決勝トーナメントでトロールヴァレーはその力を遺憾なく発揮した。ルドルフやファーザーが繰り出す大型ユニットを、砲撃術やノヴァコマンドといったカードで駆逐していった。
当日までこのデッキを知らなかったプレイヤーにとっては、どうすることも出来なったであろうことは、容易に想像できる。このことが情報の秘匿ということで、一部から大会の後に非難が出るのだが、筆者はこういったこともTCGの醍醐味の一つであると思う。また賞金が掛かる真剣勝負の場であるグランプリでは、批判される行為ではないとの自分の意見だ。


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