冬の音が入ってくる
風の音しか感じない時間は人生で何度訪れるだろうか?
仕事が終わった後、道路沿いにある草原を夕方歩く。
普段なら通るはずの車も少なく、季節がらこんな時間に歩く人は滅多にいない。
寒さが耳に入り込み、観客一人のソロコンサートが開催されている。
赤くなった耳は、いかに音楽が熱狂的なまでに伝わっているかを物語っており、聞くというよりは体に注射されて、ダイレクトに入ってくるかのようだ。
アンビエントで満たされた世界を突き詰めると、ジョン・ケージの「4分33秒」に行きつくと思う。
冬眠を終え、動物たちが動き出すまでしばらく自然の音を楽しめそうだ。
といいつつ、この草原で動物を見かけたことがなく、糞しか見たことがない。
無音の中に入り込む風を聞ける瞬間と出会えることに、冬を感じる今日この頃です。
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