夢老い人

3月からのライブメンバーとのリハーサルも残り一本。
年末にケンジとまりながバンドを離れてからは、残った4人+サポートゲストを迎えてライブをやってる。
今回のメンバーはまだ発表してないけど、すんごいことになってる。
わくわくしてる。
毎回スタジオが終わるたびに腹が痛くなるまで歌って、帰りの電車を一本遅らせてトイレに行ってから帰ってる。
体に支障が出るほど、今のラブ人間に夢中になってる。

今更だけど、6年連れ添ったケンジと3年連れ添ったまりなとの最後のライブの話。
俺、実はそのことに全然触れてないんだよね。
触れたくなくて、そのまんまにしてた。
けど、色々あって、いい機会だなあと思うから残しておく。

去年の12月頭。
下北沢にて'16が終わってすぐに2人の脱退を発表した。
なにも前から決まっていてもったいぶって発表したわけじゃなくて、イヴェントの次の日にミーティングして決めた。

個人的には下北沢にて'16での演奏はここ3年間のベストライブだった。
あの日のライブを観た人にはわかると思う。火花が見えたんだよ。
真っ赤な炎ではなくて、消えかけのガスコンロの炎、その最後の瞬間。
音を立てて燃え上がる火花。

それから年末まで何本かのライブがあった。やめることが発表されてからも、その火花が目から焼き付いて離れなかった。その火花が現れることを期待してた。
「なにかが終わるわけでもなにかが始まるわけでもない。」ってある人が言ってた。その言葉を胸に、やめていくメンバーとの残り少ないライブをやりまくった。

俺たちは素晴らしいライブをしたと思う。誰かは泣いて、誰かは笑って、誰かは手を振ってくれた。けど、最後まで俺は楽しむことができなかった。ありがとう、とか、よくがんばったね、とか、おつかれさま、とか、そんなことを考えて歌ってた。このブログを読んでる人にじゃなくて、ケンジとまりなに歌ってた。

今日は代沢小学校の子供達が歌った「アンカーソング」のCDを聴いていた。
小学生たちの歌はとっても不安そうで、たどたどしくて、目立ちたがりな男の子の声は大きくて、控えめな女の子の声は小さくて、ズレたりあったりまたズレたりしていて、とてもほがらかなメロディーだった。

バンドってこれだよな、って思った。
俺がやってるのは音楽だけど、歌ってるものは音符じゃないんだよな。って思った。

やってきた長さなんて、なんの意味もない。30年やっててもカッコ悪いバンドもいるし、昨日初めてスタジオに入った奴らが無敵だったりもする。
火花は、いきなり現れる。

K.K

【今日の新曲】

「夢老い人」

夢老い人
とまどったままのお前の顔も悪くないぜ
サラバ街明かり きみを照らした

試着した大して好みじゃない洋服
「お似合いですよ」って
死んだ目をした店員に言われた

何がお似合いなものか!と唾吐いて
外に出てみりゃ「無理すんな」って
カラスに言われた

自分の正体をいつも追いかけて
なのに演じてた

夢老い人
とまどったままのお前の顔も悪くないぜ
きっとこれから先も
見晴らし良い時ばかりじゃないさ
明日の天気はまだ誰も知らない
なんとかしような またな

この人生の主役は誰だろう
この人生の主役はお前だろう

夢老い人
とまどったままのお前の顔も悪くないぜ
きっとこれから先も
見晴らし良い時ばかりじゃないさ
明日の天気はまだ誰も知らない
なんとかしような またな

こんなに好きになるはずじゃなかった
俺たちはここにいた
たしかに東京で生きてた


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