名前について

小学生の時、図工の先生が

「生まれたときに、一番最初にもらって一生使えるプレゼントは何か?」
という質問をした。

教室からは、「命」「手形」「へその緒」というような
声が上がったが、先生が思う正解は出なかった。
しばらく意見を聞いた後、先生は「名前です」と言った。

それから、人の名前に興味を持った。

仲が良くなった人には名前の由来を聞いた。
そして、彼、彼女を育てた親について考えていた。
彼らの親は「こうなって欲しい」と思ったんだなぁと。

その後、思春期を迎えた。
村上龍の『コインロッカーベイビーズ』の中で
「捨て子たちは、捨子命名表に従い名前を付けられる」という
話を読んでから、気軽に名前の由来を聞けなくなってしまった。

あの図工の先生は、未だにあの質問をしているのだろうか。

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