『31年目の夫婦げんか』を観た。

「ジェーン・スー×高橋芳朗 愛と教養のラブコメ映画講座」
https://www.webuomo.jp/culture/76928/?cx_elements=post_serieslist

で紹介されていた『31年目の夫婦げんか』を観た。

今の夫婦としての生活を変えたくて、カップルセラピーに申し込んだ妻と、現状に問題を感じていない夫が一緒にカウンセリングを受けて起こるアレコレの話。

当初は夫の態度(怒鳴る、人の話を聞かない、すぐに機嫌が悪くなる、自分勝手)に腹が立ったが、自分にも確実に重なる要素があるので本当に気を付けねば…と思った。

好意的に捉えれば、そんな夫でも妻の事を大事に思っているから、鼻で笑っていた夫婦セラピーを嫌々ながらも受けたともいえる。
また、カウンセリングの中で夫は「妻は私の意見を求めるのに、彼女の思うような事を言わないと黙る。意見を言ってほしい。」と言う。

口の重い夫が言う数少ない不満だ。妻はいつも「夫に譲っている」と考えていたようだが、それは彼が求めていたことではなかった。

旧時代の価値観では「夫を立てる」ことは良いことだったのであろうが、それが双方にとって負担になっていたことが分かる。話し合わずにお互いに「察して」「良かれと思って」行っていたことは、ただの徒労になってしまう。徒労になるだけではなく「やってあげている」と思っているのだから、さらに質が悪い。いくら夫婦でも、愛し合っていても対話することは必要な努力だなと改めて感じた。

『ハーフ・オブ・イット』のポールがいう「愛することは努力することだ」という台詞を思い出す。

18才にしてそれが分かっていて、さらに行動に移せるなんて彼はやっぱり凄い奴だった…

また、カウンセラーの役割がよく描けていた。主題を与えてほとんど自由に話をさせながら、ここぞという場面でカギとなる質問をする。神経を使う大変な仕事だということがわかる。

夫婦喧嘩をして、セラピーにそれぞれ1人で来た夫と妻にカウンセラーが問いかける言葉も良かった。

先進国の平均寿命は長くなっている。日本人だと60歳でもあと20年、人によっては30年以上、人生が残っている。短くない時間だ。

当初夫は「30年もうまく夫婦をやっていた。」という認識だったが、まだ折り返しなのである。この夫婦は日本人ではないが、妻は先がまだまだ長いことに気付いている。

年齢を重ね、2人で育児やあらゆる困難を乗り越えて、関係が変わるのは当たり前のことだ。時に誰かの手を借りないと、修復が困難になることもあるかもしれない。それでも現状を変えようと行動して、思ったほどはうまくいかなくても一歩を踏み出した2人に賛辞を贈りたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?