『いつかモテるかな』を読んだ。

よしたに『いつかモテるかな』を読んだ。
婚活エッセイ漫画。

当初「便利な時代になって家事が楽になったので結婚する必要性が薄れてきている」
「自分は家事ができるので万一の時に養ってくれる相手がいい」
「結婚は女性がキャリアを捨てることになる」
「結婚は男性は家族を養う責任を背負うことになる」
という旧時代的な価値観に、作者の生年月日を確認してしまったほどだ。

また、世間話が作者にはできない。
何故なら、のちに編集者からも作品づくりのアドバイスとして
指摘されるが「相手への興味がない」からだ。
そう言われても、作者自身は「他人に興味がないわけではない」
と全くピンときていない。

例えば、
合コンで作者が女性に趣味を尋ねたところ、相手が「趣味がない」と答えると「会話の糸口がゼロか！」と考える。

「趣味がないなら一人の時間をどう過ごしているのか？」や
「好きなことはないのか？」など会話の糸口はいくらでもある。
この質問が出ないのは、相手に興味がなく、
質問自体テンプレートとして使っているだけなのだ。
これでは恋人はおろか、知人・友人を作るのも大変そうである。

また、作者自身、自分は非効率なことはしなくないなどと言っているものの、
科学館合コンの後のことを想定せず、
女性をお茶に誘ったものの空いているお店がなく
「別のところを探します？」と聞く女性に
「別のところも閉まっていそう」と答えて
機会を逸してしまっている。
どうしたいか相手に聞く、その場でネットでお店探す、
という相手のことを慮る行動をとっていない。
友達としてもちょっと嫌だ。

それでも、話が進むにつれて作者も変わってくる。

「価値が分からないものにお金を出すのが嫌だったけど、
プレゼントは送った相手の喜ぶ顔にお金を出すものだったのか」
と気づいたり、既婚者の友人に
「結婚は誰かを幸せにしなきゃいけないわけではない、
相手に幸せにしてもらうものだ。
なんでもないことを一緒に楽しめる相手は大事だ」
と言われて
「その話を聞いて、誰か迎えに来てほしいと思う
自分には結婚は早いのかも」
と考えたりしている。

また、納得がいけば素直に従うようで、
服装や髪型、相手へのお返しや店員への配慮が
だんだん出来るようになっている。結構可愛げがある人だ。

最終的に連載中に恋人はできなかったようだが、
他者に気を向けるというスタートラインには立てたようなので
このまま努力していくことで、いずれそういった相手もできそうだ。