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かがみの孤城

ネタバレ大いにあり。


面白かった。
映画化する前から自分でも名前は聞いたことがあるくらいには有名な作品なのでストーリーには期待を持って劇場に向かったが、想像通りしっかり面白かった。

ざっくりしたストーリーは、イジメに遭い学校に行くことができない主人公が部屋にある姿見からとある孤城に集められ、主人公と同じように集められた中学生たちと城の謎を解き明かしつつ彼らの人生を進めて行く話、と言う感じ。

まず今の学生のリアリティーが凄いなと思った。
メインキャラ7人はみな中学生なのだが、口調や使われるワードが創作物の中と言う感じがまったくせず、現実を生きている感じが凄かった。

特に凄いなと思ったのは終盤の主人公とその学校の友人の会話。
イジメに遭い学校に行くことができなかった主人公に友人がかけた言葉は、「今は私がいじめられているから、今あなた(主人公)が学校に行けばあいつら私をハブるためにあなたと仲良くするはずだから、学校おいでよ」的な感じだったか、これが創作物内で出てくるのが凄すぎる。

辛いことがあっても学校にはおいでよ、みたいなシーンはよく見る、そう言うシーンは大抵私がいるよとかそんな奴らのことなんて気にすんなみたいな方向に持っていくことが多いイメージだが、根性論や精神論ではない現実的で説得力のある言葉をかけるこの友人がすごい。このキャラを出したことが凄い。

この作品、全体通してイジメはなくならないんだよみたいな諦念を感じる。
主人公へのいじめがなくなるのはまた別の誰かがいじめに遭っている時であり、学校生活で躓いた中学生たちが集まった孤城でも序盤は一人を笑いものにする空気が流れていたりと、イジメをなくすことの難しさみたいなものがかなーり伝わってくる。

終盤にかけてリアリティーを重視していた意味が分かって来る。
孤城にいる少年少女たちは違う時代から集められた7人と言う種明かしがされる。
これまでの物語の答え合わせの楽しみもあり事実が明らかになってからの話運びも面白く、種明かしのタイミングはかなり絶妙だったと思う。
時代をしっかり描写しなければいけないからこその現実的なキャラ描写なのかという発見があってよかった。

自分がこの種明かしに気づいたのは、主人公たちが学校で顔を合わせらることができなかったシーンだった。
とあるきっかけから主人公たち7人が同じ学校に通う生徒であることが判明し、それなら学校で集まろうよという話になる。主人公は勇気を出して登校し保健室でみんなを待つが、結局誰とも会えないまま終わってしまう。

このあたりで、ああ違う時間を生きている人たちなのかなとうっすら思い、でも流石にそんな複雑なことしないかと案を却下し、やっぱりそうなんかいと逆の逆に裏切られた感じがして面白かった。
徐々に徐々に秘密が解き明かされていく過程が凄く良かったと思う。ヒントの出し方とタイミングが凄く良く、クライマックスに向けての盛り上がりを継続させるのに非常に貢献していた。

色々な要素が綺麗にハマっていくのがとても気持ちのいい映画だったと思う。孤城での自己紹介の際に嬉野だけ苗字を語っていたのが、彼が孤城でも浮いた存在となってしまう足がかりにも、学校で落ち合おうと約束した時の目印にもなっていたのが非常に上手いなと思った。

実は海外から集められている子がいる、実はみんな同じ学校に通っている、実は違う時間軸から集められている、この種明かしのステップがとても良い。まず種明かしの爽快感を3度感じられるだけでも素晴らしいのだが、内容にしっかりグラデーションがかかっていたのが特に良かった。まだ奥があるのかと何度も思わされ、何度でもワクワクさせてくれるのが最高だ。

自分好みのハッピーエンドで終わりまで素晴らしかった、良い映画を見たな。

あと一瞬だけコナンが出てたな。

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