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2021/5/30 新潟県自転車競技選手権ロードレース弥彦大会

正式名称が長っ…な本レースは新潟県ライダーは「県選」と呼び優勝すると都道府県対抗ロードの代表に選ばれるなどステータスが高い大会となっております。

前回大会の一昨年はU太氏のスタートアタックからの90㎞以上逃げ切り。

私は勝負できる位置にいながら落車に巻き込まれてDNF。

昨年はコロナで中止と、今年のレースはリベンジに燃えていました。


このコロナ禍の中で開催にご尽力いただきました新潟県自転車競技連盟、大会実行委員、そして朝早くから現地入りし準備していただきましたボランティアの人達など多くの大会関係者の方々には感謝申し上げます。


目標や展開予想、作戦などなど

目標は「優勝」

ゴールスプリントを狙っていました。

その理由としては、今年は7km×9周の63㎞と短いレースであること。

今年は練習で登りスプリントの調子がよく練習相手のアダチとの対戦でも勝率は9割を超えていると思います。

(その代わり平地スプリントでは負けが先行しています…)

県選のコースもゴールは緩やかな登り。

2週間前の試走の際にスプリントしてみましたが良い感触を掴んでいました。


展開予想というか、希望する展開としてはレース強度を上げて人数を減らし最後は5人位になるようなサバイバルレースになればと。

「なれば」というより「しなければ」との思いで。当日はそれでも生き残る自信があるほど脚の仕上がりは良い感じでした。


幣チームの作戦は例年通りナシ。

というのは、少し怖かったので大野さんに、

「食糧農業大学がきちんと作戦決めて組織的に動いてきたら怖いですね。

脚は好調だと思いますが走ってみないとわからないので、自分の勝ちが見込めなかったらアシストに切り替えます。」

そんなことを言ったような気がします。


エントリーチームやマークする選手など

本年は新型コロナウィルスの感染防止から県外チーム、または県内チームでも県外在住者の参加禁止となり、リアル県内No.1を決める大会となりました。

幣チームからは茨城在住の斎藤光一選手(ピカ君)の不参加は大きな戦力ダウン。4月のJCRCぶりに一緒に走るのを楽しみにしていたのに非常に残念。


エントリーは

F(t)麒麟山レーシング…6人

チームフィンズ…2人

サガミレーシング…6人

新潟食料農業大学…13人

の4チーム合計27人


上3チームは勝手知ったる仲なので脚質、得意分野、性格などわかるが、食料農業大学(以下、食農大)の選手は知っているのが中学生からE1の阿部選手(あべきゅん)、元ラバネロのE1(たぶん一緒にJBCFのレースに出たことあると思う)で今はE2の檜村選手ぐらい。


ロードレースは情報戦でもあるので、食農大のインスタグラムや選手個人名を検索するなどして情報収集して強そうな選手を調べたけど…わからなかったw

ここはレース中に見極めるしかなさそう。


サガミレーシングは、最大1500W近く出せるスプリンターの横山君が要注意。自分のスプリントを脅かす存在は最終局面の前に振り落としたい。

あとは前橋クリテでE1クラスタ3位の実績がある淵田さん(グライペル)も練習内容がわからないだけに不気味。


フィンズは、安立選手(アダッチー)と遠藤店長(KNTさん)も優勝候補。

二人ともスプリント力があるので要注意。どちらも自分一人の力では先頭集団からドロップさせることができないだろう。

2人という数的不利な状況であることが唯一の救いか。ここは数の暴力で脚を使ってもらおうw


幣チームは、誰が勝ってもおかしくない。

田崎さん、りゅーじはもちろん。大野さんも狙える位置にいると思う。

ただ、りゅーじは調子悪いそうで、前日も3~4回サドルの高さを変えていたとか。とにかく走ってみないとわからないので、前半は動かないようにと伝えておいた。というか伝えなくても本人は最初から動かないと決めていただろう。

レオ君も1週間前に一緒に走った時は調子良さそうだったがジュニアギアという点で弱気になっていたのが気になるところ。

サトタツ君も最後まで残れる脚力はあるだろうが、勝負所で任せるにはまだまだ実力不足。今回はできるだけ生き残ってレースの勉強をしてほしい。


4チームしか出ないので単調な展開(最後だけ集団ゴールスプリントor

4チーム入った逃げが決まり後方集団はサイクリング)になる恐れがあり、それは避けたいところ。


レース展開

1周目

ローリングスタート。

この時、集団は密集状態。位置は後方。先頭付近の様子を伺いながら走行していたら左斜め前にいた食農大の選手の後輪と自分の前輪がハスって落車しそうになった。

そのせいで、食農大の選手の後輪がバーストし若い選手の貴重な1レースの経験を奪ってしまった。

これは自分の不注意から来る事故であり非常に反省している。

申し訳ない気持ちで走っていたら何だか自分の前輪も様子がおかしいぞ…。なんかフニャフニャする気がする。これはやってもうた。と思い、すぐさま審判モトの権瓶さんの位置まで下がって前輪パンクをアピール。

空気の抜けが非常に遅いことからスローパンクだと思い、コーナー前のたびに前輪を地面に叩いて「まだいける。まだいける。」と確認しながらコーナリングしていた。


2周目

1周様子を見て、「もしかして勘違いかも…」と気づき、2周目のぶどう山で権瓶さんに「大丈夫です」とジェスチャーで伝えた。

集団後方でそんなことをしているうちに、大野さんと食農大2人が逃げを開始。最初に告げられたタイムギャップは15秒。

会館坂前の直線は、チームの小さい人たちを横風から守る位置をキープしながらレオ君を風よけに使いつつ過ごす。

当然、チームフィンズが牽いているがサガミは動く様子がないので近くを走っていたモトイさんに「サガミも引かないとダメですヨ~」とおちょくりながら走っていると、前方から食農大が一人落ちてきてるやん。

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会館坂に入る前に、田崎さんがすーっと前方へ移動する動きを見せたので反応が遅れないところまで自分も前方に上がって、登りのペースアップに対応。

この動きが繰り返されれば力のない者は消耗し脱落する。

そして、集団の蓋をするのではなくペースの上げ下げを作ることで結果的に集団の速度は遅くなり、前方の逃げにも有意に働く。


3周目

下りきったところで集団が緩み、後ろから遅れた者が連結し大きな集団のまま。

フィンズの二人がある程度、追走で脚を使ってくれたところで4周目に入る会館坂で大野さんたちが捕まったタイミングでカウンターアタックを仕掛けた。


4~7周目

下りも全開。平坦区間も全開(メーターの速度は55㎞/hを確認)で後ろの切り離しを目指したが連結して一つの集団に。

次の展開に向けて幣チームからは、逃げたばかりの大野さんは一回休んでもらって、田崎さんは絶対に動かないし、りゅーじは調子悪いのでまだ様子見。レオ君、サトタツ君には逃げに乗ってもらうのは重役だろうということで、自分が動けるようにL字コーナーを抜けた後、ぶどう山も踏み続けたら食農大の多田選手と二人で抜け出していた。


攻撃の意図としては、厳しい展開にする為のペースアップ。

ふどう山も一列棒状に集団を縦に伸ばしたかったので、逃げになったのは想定外。アタックしたわけでなく一定の強いペースで踏み続けて得られたリードだったので迷いなく踏み続けることを選択。


多田選手は後から気づいたことだが、2周目から3周目に大野さんと一緒に逃げていた。

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小柄な選手であることから登りが強いんだろうなと推測。


風向きとしては、復路の直線区間が斜め前からの向かい風。

ここは覚悟を持って踏み続けないと逃げ切りはない。

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会館坂はペースで走り5周目へ。

往路の平坦は追い風だが、サンクスライスコーナーを抜けると向かい風。

自分がコーナーを突っ込むと、多田選手が少し遅れるのでそこは気を使いながら。

ふどう山は多田選手に引いてもらい、一瞬後輪と前輪がハスるアクシデントがあり今日2回目なので流石に我ながら危ないなと思ったが、できるだけ車間を詰めて消耗を防ごうとギリギリの状態で走っていた。

お互いに「集中しよう」「逃げ切ろうぜ」と声を掛け合いローテを回していた。


モトバイクからのボードは30~40秒のタイム差を推移。

一番厄介だったのは復路の向かい風区間。後ろについても横についても休めるところがなく後ろについても400W近く出ている。

二人逃げでは横風から守ってくれる壁が少なすぎた。それでも、逃げ切ることを覚悟したのだから絶対に最後まで諦めない。まだタイム差はある。


6周目も同様に登りはペース、平坦と下りを踏み倒す。

モトバイクから通知されるタイム差が上下しており、詰められたと思ったら差が開いたり。また詰められたりと。

これは一昨年の経験から、登りでペースが上がって平坦区間で緩むを繰り返しているのではと考えた。そうであってほしいと願った。

タイム差は少しずつ広がり、一時最大1分10秒まで広がった。残り3周。21㎞。


後続集団は折り返しの度に登りでぼろぼろとこぼれていく選手が見えて、その中にサガミの横山君も確認できた。これでスプリントを脅かす存在はいなくなった。

自分のリザルトを捨てて全開で引く選手でもいなければ逃げ切りの可能性は高い。

もし逃げ切れなかったとしても、自分が逃げていることで脚を溜めているはずの幣チーム員がブリッジしてきて数的有利な状況ができるか。

それはそれで、チーム的には理想的なカタチだが個人的に優勝の可能性はゼロになる。前待ちというのはアシストの仕事。つまり、それほどリスクある行動ということ。捕まったら自分のリザルトは消滅することを意味する。

そんな覚悟で踏み続けた。


だが7周目、タイム差が急速に縮まる。

またタイム差が開くだろうと一定ペースで踏み続けるも、今度はどんどん縮まり復路の直線区間で30秒差。

ラスト2周に入る前の会館坂を登っていたら横から田崎さんが駆け抜ける。

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ここで捕まってしまった。タイム差1分を1周ちょっとと一気に詰められたことに少し混乱し、捕まってしまった絶望を感じながら、捕まるタイミングが幸いにも登りの終わりだったので踏みなおして集団に食らいついた。


8周目

ここで8人に絞り込まれた。

田崎さん、りゅーじ、大野さん、バン(麒麟山)

KNTさん(フィンズ)

檜村君、あべきゅん、多田君(食農大)


折り返してから反対側の登りでレオ君、アダッチーが遅れているのが見えた。相当なペースアップがあったのだな。

ただ、下ってからの平坦で極端にペースが緩む。

L字コーナーを抜けたところで、大野さんがアタック。さらに檜村君(じゃなくて多田君だったみたい)もするっと飛び出したところで、後続は見送り牽制。しばらくしてアダチとレオ君が追い付き、後ろは8人に。そこからそのままアダチの鬼引きが始まる。

さきほどの大野さんのアタックを追う集団の後ろにつく時に自分がスプリントする一発すら残ってないことを悟った。

あとは残りの距離で脚が回復するのを祈るしかなくなった。

ただ、アダチの引きが強烈過ぎて後ろでもキツ過ぎる。


2人の逃げも、坂の手前で吸収。

自分は勝負できる脚が残っていないので、ここで脱落。

登り切るタイミングで、折り返しから田崎さんとりゅーじが2人抜け出しているのを確認した。もう二人に託すしかない。

無意識で2人に「行け-!」と二回叫んでいた。


9周目(ラスト)

先頭二人の10秒ほど後ろで大野さんと檜村君の2人。

その後ろでKNTさんと自分。

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自分はもう死んでいるので、とりあえず前の大野さんと檜村君に追いつくのが目標。

そしたら下りから平坦区間で一度登りで遅れたアダチが後ろから猛追。あっという間に、大野さんと檜村君にジョイント。確か、あべきゅんか別の食農大の選手が合流したかと思う(ここは記憶が怪しい)


ということで追走集団は、

アダチ、大野、檜村、あべきゅん、バン、KNT(ローテ順)

ローテ順といいながら、戦闘はアダッチー固定。

麒麟山は先頭を引く必要はないので後ろで待機。

ぶどう山の緩い登りであべきゅんが脱落(あべきゅんだったよね?他の選手だったらごめんなさい。なんかあべきゅんじゃなかったような気がするなー)

以前、アダチの引きは変わらない。


ここで大野さんが二番手にいたことが絶妙で、三番手の檜村君も引かないといけない場面であったがアダチが一本引き。

直線区間で前二人との差がみるみる縮まっていて焦ったが、檜村君が二番手にいて1回でも2回でも先頭を引いていたら、田崎さんとりゅーじに追いついていた可能性があった。


そんなこんなで後ろにいても全然休めない上に、前2人に追いつきそうな勢いで焦る。仮に追いついたとしても勝負に絡める脚がなく直線区間で脱落。

後にKNTさんがいたので申し訳なかったが、最終的に1位りゅーじと2位田崎さんで逃げ切りワンツーフィニッシュ。KNTさんはちゃんと集団の後ろにつき最後は3位。

4位檜村君、5位は大野さん。

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自分は一緒に力尽きたアダチと一緒にゴールまで。

自分が6位でアダッチーが7位という結果。


リザルトとパワーデータ

1位 りゅーじ(F(t)麒麟山レーシング)

2位 田崎さん(F(t)麒麟山レーシング)

3位 KNTさん(チームフィンズ)

4位 檜村君(新潟食料農業大学)

5位 大野さん(F(t)麒麟山レーシング)

6位 バン(F(t)麒麟山レーシング)

7位 アダチ(チームフィンズ)

8位 あべきゅん(新潟食料農業大学)

9位 レオ君(F(t)麒麟山レーシング)

10位 藤井選手(新潟食料農業大学)

11位 多田選手(新潟食料農業大学)

12位 淵田さん(サガミレーシング)

13位 サトタツ君(F(t)麒麟山レーシング)


完走者は17名


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1時間42分 AP350W NP369W (MAX1058W)
(朝の体重76.4kg)



リザルトに出ないドラマ

ここからは、プロトンにしかわからないストーリーを。

サガミレーシング

ベテランの沼さんがDNSで厳しかったであろう。

スプリンターの横山君をマークしていたのはリスペクトの表われです。

とにかく最後まで残れる脚を手に入れたら怖かった。


食料農業大学

とにかく人数が多く戦力も未知数。

蓋を開けてみると、常に逃げにチャレンジしていた多田君が強かった。

後手に回ることなく常に展開に絡む戦略。個の力が強かったら戦い方のカードも増えるだろう。

個人的にスプリンターのあべきゅんの成長に期待したい!

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もちろん檜村君も強かった。


チームフィンズ

KNTさん。

ラスト周回に入る前、抜け出した2人に「行け-!」と叫んだ直後、自分はお役御免と踏み止めるつもりでいました。

KNTさんに追い抜かれざまに「とりあえず前(大野さんと檜村君)に追いつくよ」と声をかけてくれてもう一度踏む気力を振り絞れました。

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その瞬間。

そこからは下りから平坦を引いてもらい前に合流。

合流後に麒麟山が引かないとわかっていながらの動き。チームを越えたスポーツマンシップが表れた印象的なワンシーンでした。

直接お礼を言うのは恥ずかしいのでここに記録しておくw


アダチ

間違いなく一番強かった。直近のJBCFの成績からKNTさんが守る走りをすると思っていたが、自分が捕まる直前、そしてラスト2周の鬼引きは今レース一番の大誤算。

アダチがノーダメージで最終局面に残っていたらと思うと…ただ、その世界線は自分が逃げたことで無くなってしまったのだろうか。

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ゴール後のこの写真は本レースのマイベストショット(Photo by SHIDA san)

来年は俺の為に引いてくれ←


F(t)麒麟山レーシング

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大野さんの序盤と終盤の逃げ。

田崎さんの登りでのボディブロー。

レオ君も自分が逃げていた時に、追走をチェックしてくれたみたい。

サトタツ君は終盤まで粘ってくれていたので次に期待。

そして、自分は結果的にチームのアシストとなってしまったエスケープ。


すべて、優勝したりゅーじのお膳立てのようだった。

自分が「行けー!」と叫んだ瞬間。実はその日の夜にTwitterでりゅーじがつぶやくまで忘れていた。本当に限界状態で声なんて出せる状況でなかったので無意識だったんだと思う。


一昨年、同じようなタイミングでお互いに大切な家族を亡くし、走れる精神状態でない中で色々とあった仲なので個人的には恩義がある。

今回は、りゅーじにだけは負けても仕方ないかなと思っていた。県のチャンピオンになればこれから始まるコーチ業にも箔がつくだろし。


なので、りゅーじが勝ったと知った時には悔しいという気持ちより清々しい気持ちであった。本当は悔しいけど、嬉しかった。

勝っておめでとうというよりも「勝ってくれてありがとう」だ。

それで自分のエスケープが報われたのだから。


りゅーじがクッソ弱い時期から知っているので、ここまで地道に、だけど確実にステップアップした選手は見たことがない。

途中で挫折し辞めていく人を何人も見てきたから。

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何はともあれ、F(t)麒麟山レーシングは

チャレンジの部で快介君、女子の部でもえまぐろの優勝と三冠を取れたのだからチームとしては最高の日であった。


来年は自分にチャンスが回ってきてほしい。
さ、切り替えて次のレースに向けてガンバります。


Photo by 渡部監督、志田さん、ありがとうございました!

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