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リレー日記(2024年1月1日〜7日)文・ウラモト

バナナ倶楽部のメンバー4人が、1週間ずつ交代で日記を投稿します。今週の担当はウラモトです。

1月1日(月)晴れ

年越しは例年通り『ゆく年くる年』を観ていた。一息ついてから、カーシェアで都内各地の年明けの様子を見に行くことに。まずは近所の神社へ。年が明けてすぐに初詣を済ませるのが、ここ数年の自分の定番。神社を出てから、新宿、渋谷、明治神宮、神田明神、浅草寺の順に車でまわった。車からは降りずに、冷やかすだけ。BGMはPIZZICATO ONEの2020年のライブ盤『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』。小西康陽が昔、真夜中に一人で聴けるレコードが好きで、そんなレコードが作りたいとずっと思ってきた、というようなことを書いていたのを思い出す。まさにそんな音楽。コロナ禍のはじめに出たアルバムが、再び沁みるようになっているのもあるかもしれない。Shohei Takagi Parallela Botanica『Triptych』も最近聴いて改めていいと思った。

次に聴いたのは、前日の大晦日の夜に放送されたTOKYO FM『村上RADIO~いろんなお便りを読みながら大晦日~』。年末年始は何となく、立派な人の言葉が聞きたくなる。前日の昼間も『村上RADIO』の11月放送回の再放送を聴いていたし、今年は『山下達郎のサンデー・ソングブック』も大晦日に放送があったので、満ち足りた気持ちで年を越すことができた。『村上RADIO』の大晦日回も、静かな語りと音楽で気持ちを落ち着けることができてとてもよかった。「人間には『大きなやかん』と『小さなやかん』の2種類のタイプがある」という例え話がいかにも村上的で笑ったし、メリル・ストリープに会ったエピソードから新しい年への希望にまでつなげる話には素直に胸を打たれた。こういう視座の高い話が、年末年始には聞きたくなるのだ。日の出を待たずに4時頃に帰宅して就寝。

昼頃に起床。初夢から早速仕事にまつわる夢を見た気がする。起きた瞬間に忘れてしまったが。

電車で実家に帰るため、最寄り駅へ。一緒にいた人と、駅で斉藤由貴「卒業」の話になる。松本隆の書いた「反対のホームに立つ二人 時の電車がいま引き裂いた」という歌詞が大好きだという。意識したことがなかったが、たしかにいい。前夜に紅白で寺尾聰「ルビーの指環」を聴いたときも、松本隆の詞がいいと思った。自分のベストは薬師丸ひろ子「あなたを・もっと・知りたくて」あたりだろうか。

チャイティーラテが飲みたくて新宿駅で営業しているスタバを探したが、もちろんどこも閉まっていた。実家の最寄り駅に着いても、やはりスタバは閉まっていた。諦める。

母親と合流。桑田佳祐&松任谷由実「Kissin' Christmas (クリスマスだからじゃない) 2023」が車で流れている。母がこの曲に感動しているという話を聞いてから、改めて自分も何回も聞いている。自分はオリジナルの1986年版の「もういくつ寝るとお正月!」の箇所が切なくて大好きなのだ。この2023年版にも励まされている。

実家で、昔家族で大晦日に交換し合っていた、一年を振り返るA4一枚のシートを久しぶりに読み返した。母が見つけてきたのだ。2011年から2016年まで6年分あった。「あなたの今年一年を漢字一文字で表すと?」「今年嬉しかったことは?」「今年出会った映画、音楽、本で印象に残っているものは?」といった項目が並ぶ。自分が企画して、ワードでフォーマットを作っていたと記憶している。自分の振り返り癖は10代半ばからのことだったのだと思い出した。また毎年書くことにしようと、母と2023年の振り返りを白紙に書いて交換した。

夜になり、祖父母の家まで車で向かう。道中、上記の振り返りで自分が今年の音楽に挙げていたLampやkiss the gambler、NewJeansを聴く。母からの反応は特にない。途中でコンビニに寄り、ホットコーヒーを買った。祖父母の家で、おせちを食べる。一年中大学駅伝の動向を追っている祖父は「今年の優勝は駒沢だね」と断言していた。

実家に帰り、NHKプラスで紅白を観る。YOASOBIの「アイドル」はやっぱり良かったと改めて思う。その後は特に話題がなくなったので、自分は自宅から持参した昨年一年分のメモ帳を読み返したりしていた。日付が変わった頃に就寝。

1月2日(火)曇り、時々雨

朝から母と湘南方面へドライブ。神奈川生まれ、おめでたいときはとりあえず海を見に行くのだ。その前に、近所のスタバに寄ってドライブスルーでチャイティーラテ(ホット、トールサイズ)を買う。前日から続いていたチャイティーラテの気分をついに満たすことができた。何はなくともチャイティーラテ。

BGMは、山下達郎の「ドリーミング・デイ」を聞いたあと、ベスト盤『OPUS』をディスク1の1曲目から順に。何となく朝から「ドリーミング・デイ」の気分だった。70年代達郎のソリッドな音が、新年のドライブによくあった。「愛を描いて」あたりで、他の曲に変えることに。母親と話して、Apple Musicの「はじめてのマイケル・ジャクソン」に決まる。ところが、聴き始めると『オフ・ザ・ウォール』や『スリラー』の曲が全然かからない。自分がマイケル・ジャクソンの曲をほとんど聴いていないことを知った。

海が見えてきたところで、BGMをサザンに変えた。自分が運転しているので、母の選曲で。小雨だからという理由で「素敵なバーディー」をかけてくれたところがハイライトだった。自分はサザンで3本の指に入るくらいあの曲が大好きなのだ。

一応、目的地はショッピングモールだったが、自分は本屋以外に特に用事はなかった。昼食にハンバーグを食べる。おいしかった。ファミレスのハンバーグも好きだ。スタバでドリップコーヒーを買って帰路に着いた。

帰りの車内ではまず、マイルス・デイヴィスの『カインド・オブ・ブルー』を聴いた。自分は満腹のとき、メロディアスな曲やアップテンポの曲を避ける。このときも、まずスティーリー・ダンの『Aja』を流したがあまりしっくりこず、マイルス・デイヴィスの『クールの誕生』ももう一息で、数年ぶりにまともに聞いた『カインド・オブ・ブルー』でしっくり落ち着いた。静かで乾いた音色が夕暮れの海岸によくあった。海岸から内陸に入る頃、ちょうど日が暮れ始めたので、今度は迷うことなくボビー・コールドウェル『イヴニング・スキャンダル』を1曲目からかけて、やはり抜群のぴったり具合だった。AORの定番中の定番だが、ちゃんと洗練されていて、大人の音楽だ。声もいい。宵の口の高速を上機嫌で走った。

実家の最寄り駅に着き、自分は電車で都内に戻るため解散。最後はミスチルのベスト『Mr.Children 1996-2000』の最初の数曲で締めた。電車に乗ってからも90年代のミスチルを聴いていた。「Tomorrow never knows」の鬼気迫る感じはなかなか出るものではない。自分が大事に育てているApple Musicのプレイリスト「MELODY」に追加する。メロディが本当に好きだと思った曲を思った順に入れているプレイリストだ。ミスチルの曲としては、はじめてリストインすることになった。

都内で小学生の頃に通っていた塾の友人たちと新年会。毎年1月2日に塚田農場で行われている。自分はこの日はじめて、塚田農場とは別に山内農場があることを知った。ずっと塚田農場だと思って山内農場に入っていた。二つも農場があるとは。

自宅に帰り、テレビの録画リストから見つけた「映像の世紀バタフライエフェクト 田中角栄 列島改造の夢と転落」を観る。45分なので田中角栄の人生をたどるには大分駆け足だが、面白かった。

1月3日(水)晴れ

早々に仕事始め。オンラインで打ち合わせを1件。家では集中できないので出社する。打ち合わせのあとは都内でリサーチ。

リサーチの後、友人との新年会へ。その前に新宿に寄り、香水を探す。気に入っていたものを昨年の秋頃に使い終わってから、家にあるものを適当につけたりつけなかったりしている。年の初めらしく、ちょっと気分の変わる香水を見つけたいが、成果はなかった。

新年会では焼肉を食べて、バーに寄って解散した。電車に乗ったが、秋葉原で刺傷事件が起こった影響で帰るのになかなか苦労した。

1月4日(木)晴れ

朝から都内や近郊でリサーチ。移動中や立ち寄ったカフェで、InterFM『Daisy Holiday!』、ラジオ日本『宮治淳一のラジオ名盤アワー』を聴く。宮治さんのラジオは好きなタイプの音楽ばかりかかるので嬉しい。一日中まわって、自宅近くに戻ってから近所のファミレスで作業。

1月5日(金)晴れ

会社的にも仕事始めの日。出社して、オンラインの打ち合わせを2件。途中、はなまるうどんで昼食。

夜はバナナ倶楽部の新年会へ。ここで、このリレー日記をはじめることになった。自分は数日前に読んだメンバーの一人の日記がとてもよかったので、昔提案して実現しなかったリレー日記企画をまた提案しようと新年会の前から何となく考えていた。みんなが乗ってきてくれてよかった。

新年会では、ピザやマックのポテナゲなど、好きなものばかり食べられて、その上安く済んだのでとてもよかった。YouTubeで、海外の驚異的なウォータースライダーばかり乗ってレポートしているチャンネルを見つけられたのもよかった。

1月6日(土)晴れ

昼過ぎから、対面の打ち合わせが1件、オンラインの打ち合わせが1件。

夕方から、大学時代の先輩2人と新年会。なぜか好きな食べ物の話になり、自分の好みを改めて整理できてよかった。

1位:すき焼き
2位グループ:焼肉、寿司、しゃぶしゃぶ
3位グループ:カレー、麻婆豆腐、マック、クレープ、チャイティーラテ

喫茶店を2軒はしごした後、居酒屋へ行って、解散した。

その後、阿佐ヶ谷で行われていたサザン&桑田縛りのDJイベントへ。サザンがかかっているだけで嬉しい気持ちになる。話したかった人とも話せてよかった。最後の方にかかった「奇跡の地球」のアウトロを聴いていて、ベースラインはこんな動きをしていたのかと思った。スピーカーで大きな音で聴かないと、聴き逃している音があるのかもしれない。

1月7日(日)晴れ

昼過ぎから浜離宮恩賜庭園をまわり、日の出桟橋から出ている水上バスで浅草まで行った。待ち合わせの前にスタバでチャイティーラテを買った。

浅草では、Googleマップでなぜか保存していた寺方蕎麦 長浦へ。さるそばに千切りの大根を絡め、味噌風味のタレにつけるという名物の「妙興寺そば」を食べた。かなりおいしかった。

歩いて上野駅まで向かう途中、ミスタードーナツでポン・デ・ダブルショコラを買って歩きながら食べた。これもかなりおいしかった。

前日にすき焼きの話をしたせいですき焼きが食べたくなり、家ですき焼きをすることにした。具は肉のほかに、ネギ、水菜、しらたきのみ。以前、老舗のおいしいすき焼き屋に行ったときに、このスタイルだったのだ。いや、水菜は春菊だったかもしれない。でもとにかく具は少なかった。肉以外はこんなにシンプルで成り立つのだ、これなら家でもできると思ったのを覚えている。

今回も大変においしく出来上がったすき焼きを食べながら、この日が初回の大河ドラマ『光る君へ』を観た。平安時代の歴史が改めて知りたくなる。

YouTubeを無音で流して音楽をかけながらだらだらと過ごした。YouTubeでは一昨日の新年会で見つけたウォータースライダーの動画や、90年代や00年代の日本のテレビCMをまとめた動画を流した。音楽はなぜかホール・アンド・オーツの最初期のアルバムが聴きたくなり、順番にかけていた。ファーストやセカンドは70年代前半なので、よきオールド・ロックの温かさがあり、しかし後年の爽やかで洗練されたフィーリングもすでにあり、新年にちょうどよい。シンセが効いた音は夏、冬はソフトロック、という持論がある。1月2日に達郎の『OPUS』のディスク1を聴いていたこととも、つながっているのだろう。

文・ウラモト(28歳/かに座/出版社勤務)

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