ベストオブ俺的BL2022【創作編】

気づいたら、年が明けてしまった。
去年も良いボーイズラブに沢山出会えた一年であった。

特に深い意味もなくブログを開設した、2022年秋。
しかし直後からプライベートが多忙を極め、ついに三本しか投稿することが出来なかった。
そしてこれを書き始めたのは、2022年の12月半ば。

始めてから気づいたことだが、他者の生み出した作品についての思想を公の場で述べるということは想像以上に難しく、一つ投稿するために膨大な時間を割くことが必要であった。
毎回ソースを調べ、文章に矛盾がないか何度も読み直し書き直すのは正直しんどい。
書いては消し、消しては足し、を繰り返す日々。

また、たくさんの作品に出会えても好き嫌いはある。
好みでない作品の良い所をわざわざ見つけて書き綴ることも試みたが、心が苦しい。かといって、無視もできない。
まだドロドロした心の内を言語化して見知らぬ誰かに読ませる勇気は無いので、この件は一旦保留で。
などと、このブログを読む人にショック(?)を与えない配慮にもかなり気を遣った。

そうやって試行錯誤の末、本来文章を書くことを生業としない人間がようやく作り上げた三つの記事なので、どうかお手柔らかに読んで欲しいと願うばかりである。

そして、去年読んだ作品全てを挙げることなどとてもじゃないが出来そうもないので、取り敢えず今回は「創作BL」の中から特に好きな作品について取り上げてみた。というか、いつかぜひ書きたかったので。
「商業編」は時間と元気がある時にでも…。

【あほぼん】安藤りつ先生

〈あらすじ〉
完結している本編「長谷さんと岡本くん」。
ゲイの美形美容師「長谷さん」とひとまわり年上の彼に一目惚れした高校生「岡本くん」が紆余曲折を経て結ばれる話。
「あほぼん」は、アシスタント美容師時代の長谷さんが本編でのキーパーソンでもある元彼の数馬と出会うまでと、出会ってからの話。
まだ1月24日の時点では恋愛関係に至っていない。

商業も含め、今一番好きな作品。
ええ、何度でも言う。
一番好きなんですよーーーーー!!!!(クソデカボイス)
安藤先生がpixivに掲載してる作品は全て好きだ。
その中でもこちらの作品は「長谷さんと岡本くん」のスピンオフのようなものだが、本編より断然長く、内容が濃い。連載中だが、まだ終わる気配がない。
寝ても覚めても何かに取り憑かれたように若き淳と数馬のことを考えてしまう。FANBOX有料民なのだがなんと月額100円。毎回あのボリュームなのに金額設定が控えめ過ぎる。もっと課金しても惜しくないのに…。

安藤先生の描くストーリーには非常に色気がある。
現代に生きるカップルが描かれており、センシティブなテーマについても丁寧に紐解かれている。一方で、純文学のような芸術性が所々に散りばめられていて、不思議とノスタルジーを感じる。
数馬のお誕生日会のシーンでは、昔出入りしてたイベントでよく掛かってた曲を思い出す。向日葵の切り花を購入して部屋に飾ってみたり、森茉莉の「枯葉の寝床」を読んでみたり、若き長谷淳のヘアスタイルから実在のモデルを推測したりと、その芸術性が作品に奥行きを与えてくれる。

「匂い」や「空気感」が漂うように、描写が繊細なところも好きだ。
遥か昔の学生の頃、汗ばむ季節に美容室へ足を踏み入れると、クーラーの冷気が心地良かったり特有の薬剤の匂いを感じたりして何となく非日常感を味わったことを思い出す。
実際にそのような表現は描かれていないが、頭の中で実体験とリンクさせて読むことができる稀有な作品だ。

【コマンドZはできません#15】津夏先生

〈あらすじ〉
ライフスタイルブランド「lil」を運営するベンチャー企業にグラフィックデザイナー志望でインターンとしてやってきた専門学生の「コタ」と、lilのスタッフ「三木先輩」。
お互いたまに正体不明のキュン♡に戸惑っているが、まだ今のところ9割お仕事の話。

2022年も更新ありがとうごぜいますーーーーー!!!
2018年に発表された一話からコタの絵柄こそ少々変化があるものの(段々かわいくなってきているのは三木先輩の目にかわいいフィルターがかかり始めてるせいなのか?)、話に一貫性があり、キャラに全くぶれないのがすごい。たまにパロで発散されているからなのかな?

何が好きって、2人以外のキャラの個性である。
lilのスタッフは皆クセが強いが、浅野社長の人柄に集まってきているからなのか仕事に対するハングリー精神が強く、反面愛情深い。端的に言えば「こんな会社で働きたい」とか「上司として浅野社長みたいにありたい」。

ラブの方は牛歩の如くだが、ひとりひとりのキャラの役割がしっかり描かれていて、ラブなしのお仕事漫画としても十分楽しめる。
食べ物が美味しそうに書かれていることもポイントが高い。私的な目線としては食べ物が美味しそうなBLは駄作無しだと思っていて、大体作品を通じて作者の人柄に触れたような気がするのだ。
わたしは、音楽でも漫画でも「良い人間」が作り出した物のパワーを信じている。

超光属性コタに影が差すエピソードも見どころなのだが、決して良い環境で育ったとはいえないはずの幼少期を過ごした三木先輩がコタヘ無償の愛を注ぎ続けるところも希望があって好きだ。

「あほぼん」も「コマンドZはできません」も現在進行形で話が進んでいるので、今後どのように発展していくのか楽しみである。

…今回も一つの記事を書き上げることに、かなりのパワーを使ってしまった。
頭を使うと、本当に脳みそが痛くなる気がする。
インプットが少ないせいだろうか。
今年はBLに限らず、映画にしても活字にしても去年よりもっと多くの良作に出会うチャンスを作りたい。

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