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伊藤美来 Live Tour 2022『What a Sauce!』東京公演

緞帳がわりの紗幕にサーチライト。4人のシルエットが映し出される。
…4人??


あいも変わらず今日も感想を書きます。これは音楽に命を吹き込む人たちの、ステージに思いを込める人たちの、メッセージや思念をちょっとでも感じられたらいいな、という僕なりの向き合い方の一つです。誰かの○は誰かの✕で、の気持ちで間違いとかもそっとしておいてくださいね。

(本文は大阪公演の感想文をベースに再構成しました)


さて、大阪公演を見ていた人たちの脳裏によぎった疑問を差し置いて開幕。ステージ上には4人のダンサー…。そして天井からちょっと恥ずかしそうに?照れた笑顔で僕らに手を振るみっくが降臨!?

みっくらしさを感じる衣装は白基調。上着の両胸ポケットやスカートのポケットがブラウンのコック風。白のショートスカートの中には同じくブラウンのショートパンツを履いていて活発さも印象付ける。

大阪公演に比べて照明周りはブラッシュアップ。背後に吊られた縦四連ムービングライトが縦3連ムービングライト+マトリクスムービングライトにパワーアップ。両サイドの照明櫓にはブラインダーが追加され、ステージ上のレーザーも上段に2台追加。吊り物で言うと中央の装飾がパスタセクションで初めて降りてくるように変更、大人セクションでカーテンが降りてくる孤高の光で青色LEDの星空バック、と大きく印象を変えていた。

増殖したマトリクスムービングライトにテンションが上がる。(6×6でした)

1粒1粒配色を変えたり、流れるように点滅させたり、ハートマークや文字を出したりしていて感動した。閃きハートビートはサビのダンス(左腕で□を作ってその中で右手をクルクルするやつ)では四角の中をぐるぐるする動き、all yoursで「○をあげましょう」って歌詞の時は○を表示するなど歌詞や振り付けとリンクした動きをしていた。あと気づかない?気付きたくない?のセクションで(曲目は忘れた。ルージュバックだったかな)で、背後の縦3連についてる消灯したマトリクスに天井のムービングライトから光を当てて、ミラーボールのように使っていたのが変態的で最初何が起こったのかわからなくて変な呻き声が出てしまった。ムービングライトだから大きな光源がグルグル大回転したり、流星のように光を流したり、記号を表示させたりしててこれはすごいいいなって思ったし、もっとイイ事できそうだなって思った。

今日もムービンライトはガンガン観客向けて飛ばしてくる。オーディエンスブラインダー(コール&レスポンスで客席を照らすときに使うやつ)は、少し闇雲な印象を持った大阪に比べて、サビや間奏などみっくがレスポンスを求めそうな場所でつくようになっていて改善された。

友達に言われて気づいたけど両サイドには縦に流れるLEDバーが付いている照明やぐらにフィルムっぽく見える意図があるのかも。

あとみっくが空から登場する都合??か、装飾品の登場タイミングが異なってた気がする

そして、

上からLEDスクリーンが降りてきて、さらに中央階段が台座ごと回転して・・・

となりました。すごすぎて笑った。

PopSkipLife以来、転換も見せる(見せないところもある)彼女のライブの演出と言うか、舞台装置の動かし方は音楽ライブ的というより舞台的な動かし方に見える。僕は転換の間なにが起こるんだ!とワクワクして舞台を見つめている。

No.6~Shocking Blue

会場は真っ青に染まる。ステージ内も、オーディエンスの顔も。青い光を背負い、白い光を放ち、サーチライトが会場じゅうを駆け巡る疾走感。そういえばVJ演出は??

閃きハートビート

笑顔を絶やさないみっくは客席に手を振りながら、本当に楽しそうに歌う。ダンスも力が入っていなくて、自然と身体が動いてるって感じがして、こっちも笑顔で(簡単に)振りコピ。

MC~Morning Coffee~Pistachio

イントロと同時にセンターステージが回転。店員役のダンサー2人とカフェテーブルと椅子。開店準備をするように並べていく。2番に入るとお客さん役のダンサー2名も。思わず見入る。

pistachioのダンスすごく…よかった…「街の匂い髪を揺らし」で髪をふわっとかきあげる仕草とか、リズムに体を揺らしてる姿とか、自分の顔を指差す仕草とか、ドギマギが止まらない…

パスタ

回転したステージの壁はLEDスクリーンだった。上から降りてきたスクリーンは天井部分、下の部分はカフェ内装を映し出す。
上手側のカフェテーブルに一人になったみっくは座ると、マイクを両手で持ってパスタを歌う。1番まで歌いきるとダンサーの一人がメニュー(今回のライブパンフレット)を持ってきて注文を取る。「パスタひとつ!☝️」と満面の笑みで答えると、本物のパスタが運ばれてくる!アウトロでパスタをフォークで巻き始めて…た、食べ…時間切れ?綺麗に巻けてないままパスタを口に運ぶみっくは幸せそうな?やっちまったな〜?って笑みを残して暗転した…

MC

「ほわーい…」すごく緩く返事をして登場。ステージ上のテーブル類は全て片付けられ「大阪では量が多過ぎたから…」と、少しは配慮して取ろうとしたみたいだけど結局うまく巻けなかったことを白状。パスタはペペロンチーノにレモンみたいな感じだったらしい。

気づかない?気付きたくない?

ラップも完璧。紫ベースに会場を染め上げる照明、フィルインで白のストロボ効果。あいうぉんちゅっべいべっ…あいうぉんちゅっべいべっ…。手を掲げて心でハモる。気持ちがいい。東京公演は明らかにサブウーハーの台数が増えていて音質向上。音ひとつひとつがきちんと耳に届いてくる。もっともっと鳴らしてちょうだい。もっと引き摺り込んでちょうだい。

いやぁ…でも…アンナさんは天才だわ…やっぱ…。ちがうちがう。これを歌えるみっくも天才なんだわ…。

土曜のルール

Please don't touch my heart…。もうペンライトはすっかり持てなくなって、全身で音の振動を、光の粒を受け止める。ずっと僕の心をかき乱す…。

ルージュバック

この気づかない?気づきたくない?~ルージュバックのセクションは本当に”良い”。もうここで死んでもいいや…一瞬そう思った矢先…

傘の中でキスして

穴井さんがTSUTAYA EBISUBASHIの配信で語ったこの曲の誕生秘話がすき。伊藤美来のポップスを重ねてきた彼女にしか歌えないタイミング。音楽的性癖…もとい、センスが、こう、ドンピシャ過ぎて…。デビューから知ってる伊藤美来という女の子が、ソロアーティストデビューして、いま完璧に歌っている姿を目にして…明るく強がるこの絶妙なトーンが胸に…。

持っていた傘を振り返ってダンサーに渡すと、下手で別のダンサーさんへバトンパスしてはける。階段を登って、パス、はける。上手の壇上でパス。最後にまた美来が傘を受け取ると歌いおわり。

レーザーの雨が降り続く中、振り返って傘を渡す。客席に背中を向け傘で隠すっていうのが良い。

”La la la…”

階段状から現れたダンサーさんがみっくの影のように見えて、次々と現れて傘を受け取っては消えていくダンサーさんたちはずっと軽やかに、楽しげに踊っていて、まるで”君”と過ごした”過去の私”の分身のように見えた。”雨の今日”を表す傘が思い出の中で浮かれ、はしゃぐ自分の分身たちの手の中を渡ってみっくの手元に返ってくると、”今日は素敵な日だから”と何度も何度も繰り返した言葉を残して舞台袖に消えていった。

恋はMovie

ダンサー全員現れる。ダンサーさんが4thライブのみっくが着ていた衣装を持っている?ように見えたけど…赤いボタンがないのと肩周り、チェックのセーラー襟がちょっとちがう気がする。2回見たけどまだ確証を得られず。それにしてもよく似ている。

答え合わせいただきました!!ありがとね

”物語のハッピーエンドは 自分で選ぶの”

MC

舞台の中には恋はMovieを彷彿とさせる大道具、小道具がたくさん。MV撮影で使った8ミリカメラの模型やカチンコ、両サイドに吊られたフィルム装飾。

少し緊張しているようにも照れているようにも見える。受け入れてもらえるのだろうか、これまでの私を、これからの私を。そういう風に見えた大阪公演。一週間後の今日、彼女は自信を持ってこう言った。

「今までの私の曲とか方向性を大事にして、原点回帰しました」

青100色

ステージ上段に佇み、一言一言を大事に伝えるように歌う。上下のスクリーンにはmvのイメージに沿った青色、風車(かざぐるま)のvjが広がる。驚くべきはその声量、声質。芯が詰まった声、身体が楽器になり”鳴ってる”状態。倍音?じわっと広がるのは温かい体温。その幸せそうな笑みをすごく近くに感じていた。

身体に彼女の声が染み込んでいくのがわかる。ストリングスはずっと見ていたいほど美しい光景を描くのに、目を閉じて身を委ねたくなる歌声。優しく1センチ、1秒、1歩を手を取り寄り添ってくれるベース。

泡とベルベーヌ

最新の青と、最初の青。比べるのではなくて、並べよう。5年も経ったのにその声はびっくりするほど変わらなくて。
歌いながらステージが回転、階段を降りてきて、近づいて、近づいてゆく。背伸びして歌っていた「はじめてです」。成長した歌唱力と、ちょっとだけ大人になった笑顔から繰り出される「はじめてです」はとてもとてもいたずらな表情でした

MC~La-Pa-Pa Cream Puff

まじで天才。伊藤美来の楽曲センスは性癖どストライク。強すぎる。こんなに楽しくて、かっこいいのに、上質。ライブで聴いちゃったね・・・。もう、戻れないね。

クラップや体を揺らすだけじゃ飽き足らず、ちょっとずつ跳ねる。久しぶりのフルキャパで周りに迷惑をかけないように気をつけながらそっとステップを踏む。歌いたい。踊りたい。

客席を照らす照明、大きく手を叩くダンサー。波打つように揺れる客席。みんな自分の楽しみ方を見つけてる。

ミラクル

”フレームを飛び越えた向こう側へ行けたら
どれだけの未知が広がっているんだろう”

”たまに立ち止まって 振り返る時 感じる
勇気を出してよかった!”

all yours~ワタシイロ

今回のライブツアータイトル「What a Sauce!(なんてソースなんだ!驚き)」。この由来は彼女がはじめて作曲した「パスタ」にかけたのはもちろんだろう。しかし青100色、パスタ、これまでに歌ってきた楽曲たちへ託した思いを見聞きし、ライブセットリストを聴き込んでいくうちに、「ワタシイロ」へ続く回顧、回帰、あの日の自分へ、僕らへの問いかけに思えてくるのだった。

EN1.孤高の光 Lonly dark〜EN2.君に話したいこと

アンコール衣装は、腰にオリーブグリーンのリボンがついた、ブラウンのゆったり目ロングパンツにライブT Aタイプ。実はGoodSong以来、彼女のパンツルックが僕は気に入っている。そのスタイルの良さが際立つ気がして。

「これからもよろしくね」「いつもありがとう」
すごく、アンコールらしくて、最後だからもう一曲歌います!ってひと声かけてくれるのも、やっぱり嬉しくなっちゃった。

エンドロール:青100色

恒例のエンドロール映像はおそらく初出し?の青100色リップシンクverだった。ライブを締めるスタッフクレジットが入ったエンドロールは、全スタッフが自信を持って創り上げたことの証明に他ならない。伊藤美来のライブは、ひとつのMovie、劇場的に幕を閉じる。

感想と…

驚くべきはその歌声の安定感。並々ならぬ努力を感じさせない豊かな表情。クールな横顔で時折強引さも見せる大人ゾーン。彼女たちが大事にしてきた音楽性。最新シングルをすべてやってくれたこと。そして原点回帰。

4年前、同じく東京国際フォーラム ホールCで嵐の中行われたMiku's Adventures 2018 ~Live is Movie~。今日のライブは少しだけオトナになって、スケールアップして帰ってきた彼女が、あの日の自分に「頑張ってきてよかったよ」と笑い返すようなエッセンスが見え隠れしていた。


あなたの色は何色ですか?」と問うたワタシイロ。
あなたのは何味のパスタなの?」と問うた本ライブ。
そして「いろんな青があるけれどどの青も私だったよ」と紡いだ青100色。


最新曲を網羅しながらも、5周年記念ライブとしてアーティスト伊藤美来の成長と歩みを辿ったロードムービー的構成。そして4thの再演、ここ東京国際フォーラムへの凱旋公演。もしかしたらずっと心に引っかかったままだったのかもしれない。ホールAの客席を埋め尽くす僕らは「今日はみんなに笑顔で帰ってもらいたい」という彼女の言葉と音楽で胸を、お腹を一杯にして会場を後にした。

楽しかったね。心地よかったね。上質だったね。でもいたずらな君もいたね。

みっくの音楽と今日も巡り合う 1音ずつ 恋に落ちる
僕は彼女の音楽が大好きだって気持ちを、今日も言葉にし続ける。

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