竹が選ぶ#声優アーティスト楽曲大賞2021 選曲、その理由


※石原夏織と伊藤美来は特例マイルールとして2曲ずついれさせてもらった。だって選べないんだもん。

大賞 石原夏織「Starcast」

「ファンの皆さんとの心の距離を歌にしたい」そう語る石原夏織さんの想いに呼応したたくさんの人たちの創作の結晶がこの曲Starcastだ。こんなにも近くて遠い、暖かくて苦しい、前は見えていないのに希望に満ちている、それぞれの心を大きく揺らしてくれる曲が生まれてきてくれたこと。この楽曲にまつわるすべての出来事、想い、人に「大賞」を贈りたい。

石原夏織「Plastic Smile」

ひげひろのED主題歌、Plastic Smileもまた頑張る人のかじかむ手をあたたかく包む柔らかな曲。彼女が歌いあげる人物像がありありと目の前に浮かんでくる。Face to Faceをリリースし彼女たちは心のホームポジションを定めることに成功し、まっすぐ「石原夏織」を軸足に据えて放たれた曲だ。

伊藤美来「気づかない?気づきたくない?」

アダルトでむっとした熱気が追い越していく「気づかない?気づきたくない?」。持ち前のシティポップの窓枠に足をかけ今まさに飛び出さんとする伊藤美来。竹内アンナが楽曲提供、自身の新たな武器を身に着けた意欲的な一曲

伊藤美来「傘の中でキスして」

最新シングル「パスタ」のB面からノミネート。明るく軽快なピアノとギターの音色と裏腹に、気丈に振る舞う女の子の気持ち。ゴージャスなブラスとストリングス。「サックスの音聴こえたら」と歌声にかけ合うサックスの音。今の伊藤美来だから歌える、とびきりのディナー・サウンド

山村響「town」

こんなはずでは…と迷ったり、これからどうなるんだろう…という不安。部屋に満ちていくレトロPCやゲーム機が起動する音のような懐かしさ、ワクワク。ここにも夜明けを強く待ち望み、スタートの一歩を踏み出す人がいる。正直、2021の楽曲大賞と言っても過言ではない

駒形友梨「コンパス」

一生分の”好き”だけ注いで作ったコンパスを握って

今 走り出せ さぁ Let's go

昨今多くのアーティストが「走り出せ」「飛び立て」「踏み出そう」と言葉を紡ぐ。「コンパス」は声優アーティストらしいカジュアルさと王道的疾走感、適度な壮大感でアルバムの中で確かな存在感を示す。「あっ、駒形友梨さんいいじゃん」そう思わせてくれる

三澤紗千香「透明人間」

2020年末に壮大な楽曲と確固としたメッセージを携え突如として我々の前に立ちはだかった、声優アーティストアルバムの金字塔「I AM ME」から1年。彼女にとって透明人間は「なりたいと思うもの」なのか「なりたくはないもの」なのか。彼女の音楽の中に流れる人柄やらなんやらを想像しながら思いを馳せ耳を傾けるのも面白いと思う。

田所あずさ「Rest in a Stroke」

イントロ雰囲気で水中を、ひと漕ぎひと漕ぎ藻掻くような息苦しさを感じて聴いていた。限りなく水面に近い水中か、或いは水面上か。次に挙げる楠木ともり「タルヒ」と並んで楽曲の世界観が好きで選出。

楠木ともり「タルヒ」

色鮮やかなモノクロ…冬の寒さと温かさを同時に感じる全体の世界観がすごく好みだったので選出。

内田彩「KANRANSHA」

90~00年代のJpopを(おそらく)通ってきた内田彩さんの切なく響く歌唱力、楽曲の表現力は完成していて声優アーティストの枠には既に収まらない。

斉藤朱夏「恋のルーレット」

1A2Aの語尾の跳ね上げ方や「バカ」「ねぇ!」と声の表現が良い曲。間奏のサックス・ソロをはじめ、1音1音丁寧に作り込まれたハイクオリティなポップスだ。

小倉唯「Fightin★Pose」

それでも僕らはゆいが好き。7月に開催されたライブがちゃんと楽しくてちゃんと好きになり、小倉唯らしさとはなにかを再確認した曲。彼女が歌い踊り続けてきた音楽性と向かい合う曲。是非ライブでそのパフォーマンスに触れてほしい、という思いを込めて選出。

次点

1アーティスト1曲を原則とし、その中で惜しくも漏れた作品たち。

toku feat. 井口裕香「Lilium」、東山奈央「Rhythm Loop」、大橋彩香 a.k.a HASSY「#HASHTAG ME」、富田美憂「Run Alone!」など癖の…ビートの強い曲。

岡崎美保「MY SPIRAL」久しぶりに電波っぽい(?)ぐるぐるコーヒーカップソング。(Bメロどっかで聴いたことあるよね…)というフレーズ。大西亜玖璃「初恋カラーズ」も(どっかで聴いたことあるよね…)となる曲。どこで聴いたことがあるとかは言いませんけど。でもこういう曲をこんだけ楽しく作れるならきっとこれから面白くなりそう、という期待を込めて選出。(上から目線ですいません)

熊田茜音「自分磁針」は駒形友梨「コンパス」と迷った曲。三森すずこ「シュガーレス・キッス」の懐サウンド、諏訪ななか「記憶ファンジック」は完成度も高い。

感想

やはりここ2年のご時世的なもので多くのアーティストが現状の打破や夜明けを待ち望むテーマを持っていた。楽曲的にも壮大な曲が多かったり、異常に完成度が高い印象だった。ただ上手い、出来が良いだけではなく、リスナーの心にいかに食らいつくか(あるいは語りかけるか)。声優らしい多彩な表現でますます選曲は難しいものだった。

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