Against.

そうか、明日が祝日だからか…
2020年11月2日月曜日。フォロワーたちがざわざわと騒いでいるのを見て気がついた。通常CDは発売日が水曜日に設定されており、前日、すなわち火曜日のお昼前後には店頭に並ぶ。所謂フライングゲット(フラゲ)である。ちなみにゲームは木曜日・DVDは金曜日の発売である。ゲームやトレカなどはフライングゲットをしないように申し合わせがされており、ルールを破ると代理店に出荷を止められたりすることもある。

閑話休題

そういうわけで定時退社した竹が意気揚々とあるあるCityに到着した頃、事件は起こった。

「「スマホが見当たらない。」」

いや、車の中でBluetoothで音楽をずっと聞いていたので絶対にあるはずなのだ。今も鳴っている。しかしどうしても見つからない。車内は暗いほうが好きな竹も車内灯の暗さにこればかりは困った。そしてこういうときに限って懐中電灯の類を積んでいないのである。

シートをずらしたり、手を突っ込んだり、頭を突っ込んだり、少しでも明るい場所に車を動かしたりするがまったくもって見つからない。15分が経った。アニメイトやゲーマーズのポイントカードもスマートフォンに統合されているため、ないと受け取れない(こともないが)。

結局あるあるCityの受付のお姉さんに公衆電話の場所を訊き、親の携帯電話の番号をプッシュ。ということで5分後にかけてくれと言って駐車場へダッシュ。結果、すごい目のつくところに落ちてた。色々な意味でがっかりである。

閑話休題

そしていよいよAgainst.を受け取りこれから再生を始める。
(文中敬称略)

まずジャケットが縦向きだったこと。

画像1

僕はちなみに僕は赤夏織が好きだ。やっぱり暖色に囲まれている方が血色が良くて、、、(?)健康的な女性が好きだ。

此処から先は買った方だけなので写真を上げることはしないが、ぜひ赤と青を並べて同時に一枚、ブックレットをめくってみてほしい。

この時点で私は青夏織派に一瞬で翻った。

”対象的な”とは言いつつも、どちらがどういう立場かは明かされていないAgainst.の秘密。しかし赤と青と白の三人の夏織にファンが振り回されることも狙いの一つだろう。

じっくりと二人の夏織と目を合わせ、もう一枚めくると、Against.とYou & Iの2つの文字が大きく描かれている。クレジットを見る。

Against.:ギター・ドラム・ベース
You & I:ベース・ドラム・トランペット・トロンボーン・テナーサックス・ギター

ブラスが生音だ!!

それくらい最近の音源はよくできているし、生だろうが音源だろうが良いものは良いのだが。でもクレジットで生のブラスが入っていると知るだけでやった、よかった、とにやにやしてしまう。

まだ再生はスタートしていない。

やっぱりCDを開ける瞬間が一番ワクワクする。

Against.

ベースがぐるんぐるんと動く。低く地を這い、遠吠えのように声が張る。線が細くなることも揺れることもなく、力強く伸びていく。Dメロのギターは雷雲が迫りくるかのよう。全編に登場するストリングスはベースだけでは得られない厚みを持ち、ヴォーカルが安心して背中を預けられる戦友のように笑っている。

Music Video

1B、教会の床で踊るところ。青夏織の静かに上半身で訴えかけてくる。1C、赤夏織はダイナミックに、2A白夏織は静かに、憂いと迷いを抱えるように感じる。同じ振りを踊っているのに感じ方が違うのは、色の印象だけでなくディレクションによるものを感じる。

”ジグザグに歩く”1Aのシーン、一発撮り風のシーンは僕の好きなところ。対象的に床に縫い付けられたまま上半身がなめらかな動きをする1Bも絶妙なカメラアングルで目を奪われる。

ダンサーの右目・左目にそれぞれ立ち位置によって対象的に引かれたアイラインは仮面のよう。リアルな雷雨もあったという撮影の濡れた石畳はぬるりと不気味な様相を呈している。

間奏のダンスは迫真の力を滾らせ、ゆっくりと歩く青夏織の周りで素早くダンサー、鏡越しに歩く赤夏織のシンクロした動きが気持ちが良い。

髪の乱れ方や衣装の翻り方、カットで衣装が変わる影響などが細やかに作用して、青と赤の対比の中に激情の赤、沈鬱の青、諦観の白を認める。強大な壁に抗い、運命ならば今立ち向かえと奮い立たせる赤夏織。かなり精神的な”素”に近い青夏織は、現実を憂い助けてほしいとあてもなく手を伸ばすよう。そして白夏織はそのふたりの自分をどこか他人事のように見下ろしながら、行く末を見守っている。この3人の夏織は1人の夏織で、対比的に描かれるが相反するものではない。それでは黒いダンサーたちは?3人の夏織をそれぞれに襲うのは恐怖・不安・孤独…。それは赤夏織にとっては時に前に進む原動力になり、青夏織にはまとわりつき退かせようとし、白夏織は無感情に受け入れる。戦い続けるからと、白夏織がMV中唯一不敵な笑みを浮かべたラストシーン…。

(※勝手な解釈です)

You & I

素晴らしい。ただただ素晴らしい。僕らが見て、聴いて、感じられる全てがここに詰まっている。鍵盤で叩くときに2本指でリズミ明るに刻むようなメロディがとても愛おしい。鍵盤の前で(楽器はできない)夏織ちゃんがこのメロディをつま弾いたりするのだろうか。ピアノアレンジも映えそうな一曲。冒頭で触れた素晴らしい生音ブラスサウンド。生きているブラスはただただ只管にそこにいる。この不明瞭な明瞭さは息をしていなければ表現できない。いくら音源が進化しても。そして調子よく吹いているブラスの横でさり気なくテンション上がっていくギターサウンドがとてもとても愛おしい。弾む心のようだ。1番ではおとなしかったギターが2Aから(1:46~)元気になってきて、有頂天に向かって登っていくのがとてもとても可愛らしい。間奏ではまるで家のベッドで幸せに悶え苦しむようにかき鳴らされる。落ちサビのアルペジオも予想を裏切らない”溜め”を演出して幸せを爆発させてくれる。

生のブラスがとても良いのだが、それ以上にギターが良い。ギターの振れ幅が心の振れ幅だ。

おわりに

フォロワーが言っていたAgainst.もYou & Iも音楽的には後奏が長いほうがしっくりくるかもしれない問題。自分はどっちかなと考えてみた。Against.はこのあとも戦い続けるし、You & Iはかなり確信まで近づいてきてるのにまだ友&愛な関係が続いている。こうしたテーマ・内容からスパッと切ってえっ結末が気になる…ってなるところまでリスナーに思わせるところまでセットな気もする。そしてライブではYou & Iの特別バージョンでメドレー調にその先が描かれていくことを期待する。

Against.はまた新しい空気を石原夏織に纏わせて堂々と濡れた石畳の上に鎮座している。重厚なサウンドとメリハリのあるダンス。そして強い眼差しを投げかけてくる彼女自身の目線が胸に刺さる。You & Iは彼女の楽曲の中のありそうでなかったシンプルな魅力を的確に突いて、鮮やかにくり抜いて盛り付けてられている。可愛さの中に潜む心の強さが見え隠れする魅力のチラリズムが僕を捉えて離さない。

今の彼女の実力、歌唱力・表現力・演技力、、、最新で最強の彼女は周りを巻き込んで何もかも味方にしてしまう。

音楽だけでもMVだけでも達せない領域で彼女は何と戦うのだろうか。
そんな相手なんかなくて今が誰よりも幸せだよと、Makingではしゃぐ彼女を見てそう言われているような気がした。


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