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石原夏織 2nd LIVE MAKE SMILE 世界でいちばん幸せなのは僕らだ。

※2021/7/21 DVD/BD発売、同時試聴会の感想ツイートを追記しました。

それは音楽の力。愛と勇気と、信頼の勝利。

やれるか、やれないか。中止か、延期か。

かくいう私も飛行機が減便になり、当日入りの予定を変更して前入りすることにしました。せっかくだからと東京駅から内堀通りを歩き、日本武道館へ。暇を持て余したときにこのあたりを散歩するのはいつものことです。武道館ではBABYMETALのライブが準備中。ここでも、多くの人が奮闘していました。

僕らの想像を遥かに超えて、夏織ちゃん、そして関係者の皆様は不安を抱え、対策を講じ、この日を迎えたでしょう。

だから昨日のライブに関わる全ての人(たとえばトイレの掃除の人、セグウェイ乗った公園の巡回係からホール付きのスタッフさんまで)に感謝しています。

会場について

規制入場。列ごとに大まかに待機エリアが定められていて、時間になるとそのエリアの集団が入場するという方式でした。

事前物販もなく入場~開演までの時間が長いこともあり、開場直前まで人がまばらでした。海沿いの風に凍えながら(或いは吹き込む雨に打たれながら)大勢が物販の販売開始を待つおきまりの光景がなかったのは、ノンストレスな反面、少しさみしい気持ちもあります。とはいえ、開演が近づいてくると徐々に人が増えてきて、いつもより多いスタッフが入場・待機エリア内に入るよう促す声が響いていました。

消毒足ふきマット(ウェット)で足踏みを数回し、足ふきマット(ドライ)の上を通らされます。COCOAのインストールを確認されながら非接触体温計で手首の温度を測られ、チケットは自分で半券を切り取りスタッフの持つカゴの中に入れていきます。ビニール手袋をしたスタッフが取りづらそうに(ニトリル手袋を使わせてあげて…)開場チラシを差し出してくれました。最後に自動でアルコール液が噴霧される装置で手指の消毒を行いマリン・ロビーへ。途中が詰まると後方の列移動を止め、入り口が混雑しないようコントロールされていました。

いつも物販が行われるマリン・ロビー。
今回はプレゼントボックスもフラワースタンドもありません。バーカウンターの前に展示されているサイン入りの布パネル、そしてLeeとのコラボ・パーカーのマネキンを撮影できるエリアが唯一ライブ会場のロビーらしさを湛えていました。ロビーのベンチは封鎖されておらず、一つ空けで着席できるようでした。ただロビーでたむろする人は多くなく、みな足早に座席へと向かっている姿が印象的でした。

久しぶりのパシフィコ横浜国立大ホールはこんなに広かったかと驚きました。「帰ってきたぞー!」って手を上げながら、さながらリングへ向かうプロレスラーのようなポーズで私はホールへ入りました。ささやかな達成感を味わいながら。座席は一つ空けの千鳥配置。最前列は12列。昼公演は2階席まで、夜公演は3階席まで使用していました。

PA卓は25~28列の中央部分に。右前方にはクレーンカメラ。左~中央にかけてレールつきのカメラと、キャスタータイプの三脚カメラが1台。1階後方と、2階両サイドのカメラ。あと一脚手持ちのカメラ(メイキング兼用?)が1台と、スチルカメラマンが2人。他にもいたかもしれないけど。

配信やブルーレイばかり見ているといつも忘れそうになるけど、本当にたくさんの人がライブに関わっています。ダンサー、マネージャー、プロデューサー、ディレクター、舞台監督、振り付け、衣装、メイク、広報…。たくさんの係員(アルバイト?)、照明、音響、舞台装置、特殊効果、レーザー、VJ、電源、トランスポーター。ビデオカメラ、スチルカメラ、何台ものカメラが各々黙々と仕事をこなしています。ライブ会場に入ると、その何十人ものスタッフが準備を続けている姿が、否が応にでも目に入ります。そして広大なホールを埋めていく観客、観客、観客…。

こんなにうれしい光景はありません。脈打ち、生きているホールの鼓動を肌で感じます。きょうのパシフィコ横浜 国立大ホールは石原夏織のために用意されています。きっとひとりひとりが様々な個人的な思いを持ち寄って、今日ここにあつまったのです。

会場で流れていたのは9月のONE DROPと同じ、KITSUNÉ MAISONのコンピ・アルバムから「SMILE」に関係する曲が流れていました。たとえばLily AllenのSmile、ShaniceのI Love Your Smile、Daniel SkyeのSmile、The VAMPSのSmile…。タイトルに関わらず歌詞にSMILEが入っている曲もあって、やはりセンスが高いなとにやついていました。

開演の5分前か、10分前か。左側通路、澤畠さんが会場を見回しながらゆっくりと歩いてきてPA卓に就きます。先に着席しているスタッフさんに小さく頭を下げ(よろしくおねがいしますというように)、かんたんな打ち合わせがはじまったようでした。私も眼鏡を拭き、それをそっとかけるとステージに集中することにしました。

覚えていること

-Prologueー
早朝の東京駅・丸の内。待ち合わせ。駆け寄る夏織ちゃん。
「いつも私(石原夏織)を笑顔にしてくれるファンのみんなを笑顔にすること」
柔らかな声、モノローグでそう語る彼女は上越新幹線に乗り込み新潟へ。
石原夏織の考える日帰り旅行を、僕らのためにプロデュースしてくれるらしいのです。ダイジェスト的に射的や足湯の映像が流れます。

Face to Face

夜とワンダーランド(昼:Water Front)

-MC1ー

「人前に立って歌うことが久しぶりだからすごく緊張している。」
DAY公演、まだ少し緊張の残る声で夏織ちゃんは続けます。「足が震えるんじゃないか」「MCがうまくいくのかどうか」そう続ける夏織ちゃんに僕らはいつものように声をかけることは出来ません。。僕はもどかしさを込めた拍手をし続けるしかありません。

物言わぬ数千の対の眼差しに震えてしまわないか。
それが親愛と期待のものとわかっていても、不安になるでしょう。

誰か、彼女に力を…。

リトルシング

ポイというらしい。ダンサーズが出てきて、振り付けに合わせて色が変わっていきます。ヌンチャクのようにくるくると回しているときは文字や絵文字が表示されていて、夏織ちゃんに綺麗に重なって合成のようにステージを彩っていました。

Crispy love

-Short Movieー”For Your Smile”前編

主観なので、カメラに向かって話しかける夏織ちゃん。だんだん愛おしさが照れを上回ってくるのですが、こんな顔を誰かに向けるなんて…という嫉妬心が湧き上がってきて、苦笑しながら見ていました。(似たようなことを他のフォロワーも言っていました)。そり滑り(そりはビニール・ボートのような素材)をしたり、雪玉を投げ合ったり。スノー・モービルに引かれるそりに乗ってはしゃぐ彼女を僕らはにこにこしながら楽しみました。

-MC2ー

幕間映像の撮影の思い出を語る夏織ちゃん。少しずつ、少しずつ打ち解けていく。こうしたら届くんだ。僕らは届けたがっているし、夏織ちゃんは知りたがっている。時間はかかってもいつかは届くのです。

フィービー・フィービー

ポペラ・ホリカ

You & I

フィービー・フィービーやYou & Iのように自然と湧き上がってくる”楽しい”の衝動、対してポペラホリカの強制的に脳みそに注入されるような麻薬的な楽しさ。結局、動きたいように動くしかなかったのですが、ペンライトを振り、足を踏み鳴らし、頭を振って(お隣さん、ごめんなさいね)、手が腫れるくらいクラップをします。ペンライトの色を変える。また体を揺らす…手を叩く…。

-Short Movieー”For Your Smile”後編

スキーウェアの夏織ちゃんや街ぶらの夏織ちゃんも全部かわいくて大好きなんだけど、最後のランタンを飛ばすところの夏織ちゃんが愛おしくて愛おしくて、呼吸が浅くなってしまいます。みんなの健康を願ってくれるのも夏織ちゃんらしくて愛おしい。エンディング・ダイジェストが流れる。上目遣い。スタッフさん、わかってるっていう頷きが方方で起こります。

-MC3ー

三度登場した夏織ちゃんは、今までになく高い露出の衣装と見えました。(衣装については詳しくスケッチを書いている人もいるのでそちらも参考に)僕にはそれはエロチシズムよりもギリシヤのビーナス像のように芸術的肉体の美しさをむだのない筋肉と骨格から感じました。そして凛々しく分けた髪型で、自信満々にぴんとステージに立つ彼女の気高さ。こちらも自然と背筋が伸びます。

Taste of Marmalade

そんな衣装でダンサーズと踊るToMは、本当に別人のようで”惚れ直した”のはもう何度目かわからないのに、またやさしく魂の頬を撫でられたようだった…。

ひとつひとつの動作に意味があって、全神経が彼女へ集中していくような感覚。魅了という魔法にかかったのなら、きっとこんな具合なんでしょう。

Diorama-Drama

石原夏織のライブに行く最大の楽しみは「ライブで見聴きする石原夏織がどこで見聴きする石原夏織よりも常に最高を越えていくこと」です。どんな音源、装置、会場で聞くよりも、チーム・石原夏織の音がいちばん良い。どんな映像作品を見るより、チーム・石原夏織の演出がいちばん良い

ToMで惚けていた僕らの脳みそをバケモノみたいな重低音で揺さぶり、うねり狂う照明とストロボが平衡感覚を失わせ、ペンキを水に垂らしたような赤・白の極彩のまだら模様が照明に連動しながら色彩感覚を奪っていきます。

言葉を失う。ヤべー・・・・・・!!

キミしきる

empathy -winter alone ver.-

背を向け次の曲につながる暗転の隙間、夏織ちゃんの手により留め具が外され、布地がはらりと美しい脚線を隠してしまいます。たったそれだけ。たったそれだけで、彼女のスイッチはぱちりと切り替わり、そしてあとかたもなく消えてしまう。

彼女の歌声が、彼女の肉声よりも生々しく震え、スピーカーごと痺れさせます。一呼吸あるかないかの間で、まったくの別人と入れ替わったかのようです。それは”急減速”どころじゃありません。会場の空気がそっくりそのままどこか別の宇宙に飛んでいって、代わりに彼女が木星あたりから持ってきた空気に入れ替えてしまったかのように(木星に空気がないことは置いておいて)、夏織ちゃんはいとも簡単にルールを書き換えていきます。

僕は為すすべもなく、ともすれば正常な思考さえ奪われた状態で、歌姫の柔らかく鋭い歌声に心を切り開かれていくのでした。

なんて美しい歌声だ。なんて美しい歌詞なんだ。なんて美しい光景なんだ…

-Dancer’s Anthem-

ダンサーズ・ソロパートで流れる音楽は誰が作っているのでしょうか。いつもよりも親しみやすく、演出はシンプルで魅力的でした。ダンサーの4人の”自己紹介”は毎度目を離せないのだけれど、それぞれの声が聞こえてくるような迫真のダンスパートでした。

Ray Rule

この辺は円盤出て確認…しないといけないけれど、間違いなく言えるのはかなりくっきりとした解像度でRayRuleのVJが動いていたことです。音と光の洪水…はいつもながら、否、RayRuleはずっと進化し続けています。益々クリアに、音量が上がっていくサウンド、光線が生む光と影…。

Against.

鮮やかな赤と青の光。混じり合わずに、せめぎ合う。壮観でした。こんなにはっきりと対立するビビッドな2色のステージ!観客席は赤と青が入り乱れていたので、左半分を赤、右半分を青。で、赤のときは赤一色、青のときは青一色…みたいにできたらすごくきれいだろうなあと思いました。僕らも負けてられないなあと。

TEMPEST

フレーマーに気づいている目ざとい人も居たけど、僕は全然気づいていなくて、「やりやがったーwwww」って爆笑してしまいました。笑いながら手を叩いて、「あぁ、これだ。やるか、やらないか迷ったら、やるのがこのチームだ」って。思ったよりも火に演者もカメラも近くて、動じる気配もなくて痺れました。

このパートは白のちょっとふわもこした衣装を着ていて(それはまるでドールのような)、これもまた夏織ちゃんがあまり着ないようなタイプの衣装でしたし、こんな激しいパートでって新鮮でした。

diorama-drama、Against.、TEMPEST。とても、とても素晴らしかった。血沸き、肉踊る。そんな石原夏織節全開のこの3曲は文句なしの最高のステージでした。全身で浴びてしまうともう二度と自宅のちゃちなオーディオでは聴けなくなってしまうでしょう。薄っぺらい液晶テレビで見ることが耐えられなくなってくるでしょう。何度も何度もその映像を見返しては、早く早くとライブへと駆り立てられるのです。

-MC4ー

SUMMER DROP

僕の大好きな曲。好きすぎて5000字くらい感想を書いてしまった曲。夏の曲だけど、冬に歌うといつか雪解け、この世界が明るく温かいものになったとき、みんなでもっと楽しいことをしようって願いを叶えるためのおまじないのように感じました。

ダンスがもう本当に素晴らしくてMVでも素敵だったあのフォーメーションが目の前で繰り広げられているのです。全身の神経が最後の1音が消えるまでそのすべてを吸い取りたいと、1mmでも近くに感じたいと騒ぐのを抑えるのに必死でした。

<ENCORE>

-MC5ー

「アンコール」と叫べない僕らは手を叩いて、彼女を呼び続けます。「アンコールっ」のいつもの調子じゃなくて、「ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん」って。

このチームの衣装さんはたまに極めて前衛的な衣装を繰り出してくるので、本当に興味深いです。いや、僕が流行に追いついていないだけか(とほほ)。ともかく衣装ひとつにしても僕らはいっときも退屈することなく、楽しませてもらっています。

Plastic Smile

アニメソングとして多くの人が手に取りやすくて、馴染みやすいメロディ。伸びやかな歌声と、滲む優しさが夏織ちゃんらしさを印象づけてくれます。ファンの僕らと一緒に歩んでくれる彼女が歌うPlastic Smile、もっと多くの人を引き寄せる素敵な輝きが増していくのを感じます。

Page Flip

-Epilogueー

まとめ

じつは今回、ライブ中の記憶があまりないのです。DAY公演ではパシフィコ横浜に立つ夏織ちゃんの姿に、無事に今日が訪れたことに、そしてしびれる歌声に、興奮と感動でひたすら涙を流していたようでした。NIGHT公演ではさすがに少し落ち着いて居たのですが、僕なりに、このライブをどう楽しむか、僕が楽しんでいることをどう夏織ちゃんに伝えたら良いのか考えた結果、許される限り全力で、全身で楽しもうという結論に至りました。ペンライトを振ったり、手を振ったり、クラップしたり、頭を振ったり、体を揺すったり、足を踏み鳴らしたり。泣いてしまっても笑って、声を出さずに叫びました。椅子に座ったまま、高くジャンプしました。夏織ちゃんはカメラよりも客席のひとりひとりを見ているようでした。僕はここでこんなに楽しんでいるよ。だから心配しないで、もっと笑って。そんな迷惑な思いはどうやら、届いたようでした。だからすごいんだよな…夏織ちゃんは…はは…。

歓声がない、というライブはとても不思議なものでした。階段部分が左右に分かれて夏織ちゃんが登場するときも、ゴロゴロゴロという音が聞こえたり、夏織ちゃんたちの足音が聞こえたり。

セットリストの考察をするほどの余裕もなく、今は感じたありのままを書くに留めます。なんてったって、もうお腹いっぱいなんです笑。素敵だった。最高だった。ありがとう。それ以上の言葉が出てこないんですから。(といいつつ7000字弱、書いてるようですが…)

謝辞

一夜明け、これは紛れもない本心を書きました。この一年間の「会いたくても 会えない」は言葉で表すよりも、あまりにつらく長い時間でした。配信や電話、オンライントークと試行錯誤してくれたおかげで、試される僕らは「会いたい」という募らせた思いを共有して耐えることが出来ました。9月のオータム・イベントにも、12月の公開録音にも、きょうのライブに誰もが必死で集まってきたし、あるいは身を裂かれる思いで諦めた人もいたはずです。この時間は決して無駄ではなく、僕らと夏織ちゃんの絆をより深めるばかりでした。

彼女がMCで言ったように、ペースとしては極めて自然に、Face to FACE、ONE DROP、MAKE SMILEと夢を叶えてきました。
夏織ちゃんと私達は本当に、世界でいちばんの幸せ者です。

改めて、開催にご尽力してきた夏織ちゃん、スタッフの皆様に感謝します。この思いは、とても言葉では言い表せません。

僕らの知らないところで悩み、苦しみ、向上心と希望を持ち続けてくれるすべてのチーム・石原夏織の皆様へ。

これが掴み取った未来の1秒先なんだ。



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