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ザ・クロマニヨンズ@TOKYO DOME CITY HALL 2019/12/11

2019年12月11日
ザ・クロマニヨンズ@TOKYO DOME CITY HALL

東京ドームではKISSのコンサートが行われていたというこの日。東京ドームシティホール、クロマニヨンズのライブへ。

渋谷O-EASTのライブの時より熱かった。渋谷のライブではヤンチャな人が減ったな…という印象があり、前方ブロックでもじっくり見られてそれはそれで楽しかった。ヒロトのゴキゲンな姿や、目まぐるしく変わる表情や、惚れ惚れするほどカッコ良く美しく飛び跳ねる姿や、歌詞を間違えて照れ笑いする様子や、ヒロトとマーシーがごにょごにょしているやり取りなんかも見られた。

東京ドームシティホールはフロアがかなり広く、またヒロトの前辺りでより密度の濃い場所にいたせいか、ステージをじっくり見る余裕がないくらい熱気で溢れていた。クロマニヨンズのライブはいつだってそう、1曲目の『会ってすぐ全部』からもう全部が引っくり返るような盛り上がりで始まる。

・会ってすぐ全部
・怪鳥ディセンバー
・ケセケセ
・デイジー
・ビッグチャンス
・小麦粉の加工

ニューアルバムの曲順通りに進む。ヒロトが「あくまで(曲順に)……悪魔!?」と、渋谷のライブでも言っていた「あくま」という言葉に引っかかるやつ。芝居がかったコミカルな言い方が微笑ましい。

『ケセケセ』は「死なない蝉が 枕の中」「シネシネ シネシネ」「夜通し歌う 高速の蝉」と歌う。これって夜中に考えごとしすぎて酷い自己嫌悪に陥って、ああもう自分なんか死ねばいいのに…!と思ってしまうあの夜のことを歌っているんじゃないだろうか。ヒロトにもそういう夜があったんだろうか。「シネ」なんて意識して歌うのは、武道館で見たピーズの『シニタイヤツハシネ』以来かもしれないな…と思う。この手の曲はライブで聴くと思いのほかカラッとしていて、みんなで「シネシネ」歌っているのがおかしくて、スカッとした気持ちになれる。

『ビッグチャンス』では「労働後 うまいぜ缶ビール」でエアビールを掲げたり、「メシうまい イエイ!」で親指を立てたりするのがお決まりになっていて、「イエイ!」のとこがやけに楽しい。

そして、しみじみとする『小麦粉の加工』。一日中ただ本を読んでいたら夕方になり、「あっというまだね」と歌われているこの曲。どことなく、人生の斜陽を感じる。確かラジオで話していていたと思うけど、「小麦粉の加工所」というのはおそらくマーシーの子供の頃の風景。年を取ると本も読みづらくなり、一日があっという間に過ぎていく。子供の頃をふと思い出し、人生もあっという間に過ぎていく。なんていうのは勝手な解釈にすぎない。ステージの上には変わらない2人のロックンロールな姿があり、しかし彼らもこちらも確実に年を取っている。今この瞬間が全てだと歌い続けている彼らの姿を、いつまで見続けていられるだろう…という感覚が年々増していく。

レコードのA面ゾーンが終わった辺りで、「このままだとKISSのコンサートに間に合ってしまう!」とヒロト。以前のアルバム『GUMBO INFERNO』の曲へ。

・旅立ちはネアンデルタール
・犬の夢

2曲ともすでに懐かしい。新鮮な気持ちでいい曲だなぁと思う。『犬の夢』の「今日初めての 今日でした」という歌詞が妙に染みる。

MCでは、まだバンド名を名乗ってなかったという話に。この日はKISSのコンサートをやっていたり、不安に思っている人もいるかもしれない、なので「クロマニヨンズです!」と改めて。「ミスチルでもなく、スピッツでもなく、クレイジーキャッツ…っぽくはあるかもしれないけど」と笑うヒロト。ミスチルとスピッツという言葉が出てくるのが新鮮で、なんか嬉しくてテンションが上がる。「自信を持って、確信を持って楽しんでくれ!」と言われ、さらに熱くなる。

・クレーンゲーム
・ガス人間
・整理された箱
・リリイ
・長い赤信号

レコードのB面ゾーン。『ガス人間』はこの日もカッコ良く、切れ味鋭く。『リリィ』『長い赤信号』は味わい深く、ヒロトがにこにこしているのが見えてつられにっこり。

「憂さを晴らしにきた奴もいるだろう」とぶっ通しでやるゾーンへ。「ここからはしゃべりません。俺がしゃべると変な感じになるから…」みたいなことを言って照れ笑い。ライブはキレキレのロックンロールなのに、合間にヒロトがしゃべると人の良さが出てほのぼのとしてしまう。でもそこがクロマニヨンズの良さでもあるので、ライブでは大いにしゃべってほしいと思う。

・単二と七味
・エルビス
・生きる
・エイトビート
・紙飛行機
・ナンバーワン野郎
・ロケッティア
※順不同

(アンコール)
・ペテン師ロック
・タリホー
・クロマニヨン・ストンプ

最後は『クロマニヨン・ストンプ』モッシュの中、全力で楽しんでやると決め込む。人波に揉まれて揺れて吹っ飛ばされて必死に立って必死にジャンプして、一緒に歌いながらメチャクチャに叫びながらわけわかんなくなるくらい楽しくてヤケクソでどうにでもなれとグチャグチャになって、息も絶え絶えで「人間!人間!人間!人間!」と叫んでいるともう頭の中は空っぽになってきて、それは軽い悟りを開きそうなぐらいの勢いで人間としての純粋さや生きていることへの気づきを得て、今この瞬間を噛み締める。いや、自分はただ憂さ晴らしをしにきた奴なのかもしれない。

ミスチルもスピッツもいいけど、最近はまたエレカシばかり聴いていたけど、クロマニヨンズを聴くとやっぱりクロマニヨンズが一番になる。クロマニヨンズのライブを見ると、やっぱりクロマニヨンズがナンバーワンになる。

モッシュという混沌と狂熱の中で得た何かは、すぐに煩悩にまみれた日常に埋没していく。そしてまたロックンロールを聴いて、次のライブまでのクソみたいな日々を越えていく。

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