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思考日記17日目

今日はヴォルテールの発言を使って考察していくことにする。

ヴォルテール、本名フランソワ=マリー・アルエは、フランスの哲学者であり、作家、文学者、歴史家である。

啓蒙主義の代表人物とされ、イギリスの哲学者ジョン・ロックと肩を並べる。

今回選んだ発言は、

「愚者は名高い作者なものならなんでも賞賛する」

という言葉である。

まず、この言葉で注目したのが「名高い作者」という言葉である。

ヴォルテールの生きていた時代にも、作家として有名だった人物が出版するものや、作品が、民衆の心を掴んでいたということを意味する記述だ。

これがまさか現代に通用しうる言葉になろうとは、私も驚きである。

そして、愚者と揶揄された民衆のうち、「名高い作者」を正当に判断せずただただ賞賛するという様は、「有名になってから急につまらなくなった小説家や漫画家」の作品を、作者への愛情で作品ごと愛する人々。

今で言うなら「信者」という人々への苦言であることは明確である。

では、信者は本当に名高い作者の作品を何でもかんでも賞賛しているのか。

たしかに、好きな人が出したものなら印象は良いし、色眼鏡で見てしまうようなこともあるかも知れない。

逆を言えば、嫌いな作者や無名の作者の作ったものは、いくら出来栄えが良くても当人からすれば見向きもしないであろう。

ヴォルテールが言いたかったのはまさにこれのことであると予想する。

現状、名高い作者ばかりが賞賛され、無名の作者の作品がなかなか表舞台で民衆の心を掴む機会が少ない気がする。

これは現状に限った話ではなく、遥か悠久から人が無意識に無名の者を排他してきたということでもあるかもしれない。

しかし、それを塗り替えるべく、そこを乗り越える地力を持つものが、「名高い作者」の称号を得るのだから、本当は正当に評価されているのかもしれない。

もはや無意識に何かの信者となってしまい、ヴォルテールの言う「愚者」となってしまった我々民衆は、作品を正しく評価する眼を持たなければならない。

これが人類の課題の一つになっているのかもしれないし、この先には芸術の開花が待っていることを私は期待する。

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