見出し画像

男、シンデレラガールズと出会う

2019年、1月のことであった。高校二年生だった私は、カードゲーム「デュエル・マスターズ」に熱中するごく普通の学生であった。

カードゲームにはサプライ品として、カードを保護する「スリーブ」というものがあり、私はそれを集めるのが好きだった。特に、アニメ「ソードアートオンライン」のアスナのスリーブを好んで使っていた。

ある時、地元のカードショップでのこと。

一回500円でひとつスリーブを入手できるスリーブガチャなるモノを見つけた。

友人と共にカードショップに来ていた私は、ありったけのお金を100円玉に両替し財布に詰め、どちらが価値のあるスリーブを当てられるか勝負を始めようと提案した。

ある意味、これが運命であったかもしれない。

1度友人がガチャを回すと、コミックマーケット等で入手できる同人スリーブが出てきた。作品の名もキャラクターの名前も書かれていなかった。そして、そのキャラクターの名を店員に尋ねることになる。

「アイドルマスターシンデレラガールズの宮本フレデリカですね。」


スリーブに描かれた金髪ショートの美女には、そんな名前が付いていたようだ。当然、初めて聞いたカタカナなんて覚えられなかった。覚えられたのは、せいぜい苗字の「みやもと」くらい。

それから一ヶ月ほどが経過。カードを漁り、デッキを構築し、スリーブを選んでいたとき、彼から譲り受けた"あの"スリーブが目に止まった。

「これ誰だっけ、確か宮本…何とかデリカ?」

不意にGoogleを開き、「宮本クーデリカ」で検索。出てこない。当然だ。しかし、本当の名前、「宮本フレデリカ」には即座に到達した。

「あーそうそう、宮本フレデリカだったっけ」

そう心の中で呟いた。気がつくと登場作品であるアイドルマスターシンデレラガールズについてだらだら調べはじめていた。
しかし、アイドルマスター系のコンテンツの圧倒的な情報量を前に、調べる手は止まった。

結局気になって調べた宮本フレデリカも「フレちゃん」と呼ばれてるだとか、「浅利七海」というアイドルを「さかなちゃん」と呼んでるだとか、そんなことくらいしか分からなかった。

「調べても分からないなら、ゲームやれば分かるのかな…」

宮本フレデリカしか知らない男が、プロダクションの扉を叩いた瞬間である。

その日、2019年2月13日、私「ばんびーIII」は「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」をインストールした。

この日から、無知の私がプロデューサー道を爆速で駆け上がっていく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?