太陽光発電、購入時のバランスシートの信用棄損について

なぜ太陽光発電設備をどんどん買い進めていけないのか。銀行は1基目や2基目はお金を貸してくれたのに、どうして、3基目はお金を貸してくれないのか。

ちょっと初心者講座からは離れてしまうが、それを書いて行こうと思う。

まず、太陽光発電を買おうと思ったA君、希望に燃えて、300万円の種銭を用意した。よーし、太陽光発電で一山当ててFIREするんだー!

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さっそく自分の住む自治体に相談に行って、創業融資をしてもらうことにした。額は1,000万円。それでちょっと小ぶりの太陽光発電から事業をスタートすることにした。その結果、うまく融資を満額1,000万円引き出すことに成功!これをバランスシートで表すと図2と3になる。

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で、ほんとはここ、実はめちゃくちゃ大きなターニングポイントなの!実は、ここでA君は、かなり大きく事業家として試されているんだ。

というのも、このバランスシートは帳簿上はこの通りなのだが、太陽光発電設備を金融資産として見た場合はこの限りではない。

太陽光発電設備は、金融資産として見た場合、資産価値は0となる。それを踏まえて、図4では金融資産評価としてのバランスシートを作ってみるとこのようになる。

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つまり、この地点で、

A君は、俺って、現金200万円持ってて、太陽光設備1,100万円持ってる!なかなかいけてるんじゃねという自己評価をしているが、

その実、金融資産として見たら、借金1,000万円している上に、債務超過が800万円にもなっている、何かあった時に全くもって自分のケツを拭くことができない、困った人物になりさがっているわけだ。

この段階での駆け出しA君の事業家としてあるべき正しい行動は、

次の新しい設備を購入するために追加融資を検討してもらいに行くことではなく、何が何でも利益をたくさん上げて、債務超過を早急に、解消すること!なのよ。

たとえば、ここでA君が1年で1,000万円の利益を上げることができる人であったなら、どうなるか?

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とすぐに債務超過は解消され、資産のほうが多い状況になるのがわかってもらえるだろう。

ただ、この地点においても、たかだか200万円しか資産が上回っていないことになる、まだまだ危うさを孕んでる企業と判断することができる。1,000万円もの利益を上げることができても、全然安泰ではない。

ただ、1,000万円利益を上げたなら、借金してる額は1,000万円なわけだから、これは言い換えたら、1年で借金を返済できるということだ。これくらい利益が上がっていたら、銀行も喜んでお金を貸してくれるだろう。

つまり、当たり前すぎることなので、スルーされがちだけど、大事なのは利益なの。どれだけ借金を返す力があるのか。

ほんとに、企業が何か壁にぶち当たって乗り越える方法はつねに、ただ一つで利益を上げること、これのみ。

なので、経営者たる者は、

自分がどれくらい借金をするのかは、自分の利益創出能力に応じて、どれくらいお金を借りるかを勘案しないといけないということだ。

利益創出能力を超えた借金をしてしまったら、そこで融資はストップする。これが次の融資が下りない根本的な原因なのだ。

融資の承認が下りない=借金に見合う額だけの利益を上げられていない

と理解しておいてもらって差し支えない。

で、この一連の流れを、通常の元々のバランスシートに戻すと、

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こうなる。

これを見たら、自己資本比率は1,300÷2,300=56.5%ある。

つまり、お金をいくら借りるかは、

早期にこの自己資本比率50%を達成できる程度の水準の額の借金を、毎年借り続けて成長していくというのが、一番永続的に利益を伸ばしていける方法なのだ。

利益を生み出す力が1なら、その10倍くらいの10までなら借金OK。20はちょっと利益と借金のバランスを欠いてしまっているかな?というふうに。

あ、ちなみに、もし、仮に図4の地点で、いやー、今季は太陽光発電買っちゃったから、損益計算書100万円の赤字ですわーなんてことをやってしまったら、どうなるか。

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これは、さらに債務超過割合が悪化するばかりか、この企業は債務超過があるだけでなく、それが改善する見込みがなく、期を経るごとにどんどん債務超過が膨らんでいくダメダメ企業だということが分かってもらえると思う。

僕が経費を全く計上しない理由もこれで分かってもらえると思う。ほんと、心して考えてほしい。利益を出さない企業は罪悪でしかない。利益を出して初めて存在を認めてもらえる。

このことを100回心に刻んておいてもらいたい。節税とか言っている人は本当によく考えてもらいたい。

結局、企業は1,000万円借りて、1,000万円の利益を出す、そしたら、次は2,000万円借りて、2,000万円の利益を出す、4,000万円借りて4,000万円利益を出す、

この繰り返しなのよ。 

一気に1億借りました。でも、1,000万円しか利益を出せませんだと、10年間は融資をしてもらえないことになるわけ。

感覚として、経営のイメージがつかめただろうか。

だいたい、借りたお金は5年で返せるくらいの利益を創出して初めて合格、次のステージにいける。1億借りるなら2,000万、毎年税金引いたあとでの利益として計上していく。

これを目標にしてもらいたい。ほんとに赤字はだめ。

いや、1基だけでもう十分です。これから融資うけませんというのなら、何も言わないが、まだ30代なら、これからだよね、人生。でっかくもう少しやっていくのなら、高い利益率をたたき出すには?という方法を考えていかないといけない。

最後に、もし、イケイケで、図3から引き続き、公庫で2,000万円、信販で2,000万円借りた時のバランスシートを金融評価しなおした図を書いて終わりにする。

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A君が300万円から始めた太陽光発電事業。図10の地点で、3基太陽光を買ったら、それだけで手持ち資金が300万円から481万円に増えた、これすごくね?このまま買いまくって行ったら、俺、億万長者になれるじゃん。売電収入も毎月入ってくる。返済しても手元にお金が残る、これはすげー。太陽光ほんとすごい。という風に思っているけれども、

実は太陽光を金融資産として評価しなおしてバランスシートを見たら、図11のように、債務超過4,500万円のちょーあぶないやつでしかないわけだ。

つまり、ここでの暗黙知というか、お金を借りるということがどういうことか?借り手からどういう姿勢を問われているかというと、

あなたに4,500万円預けました。どれだけの利益をたたき出せるか私に見せてくださいねという試験が課されていると考えてほしいの。

でも、そんな暗黙知の存在なんて知らないA君本人はいけいけで、さらに太・陽・光、それ太・陽・光となって物件探しに躍起になっていたりする。債務超過の解消に努めようなんて頭は一切ないわけだ。

で、この暗黙の約束を完全に無視して、さらにまた銀行に行って融資を申し込んだりする、で、借りられないと、なぜだ、太陽光こんなに儲かるのに、銀行はあほか?となってしまうわけだ。

ね、今なら、この状態の何がおかしいか、簡単に分かってもらえると思う。

お金を借りたら、利益の額でその借金に見合った経営能力があることを指し示す

その繰り返しこそが経営であるとしっかりと心に刻んでもらいたい。

で、ここまで書いたら、太陽光発電というのは、実はかなり暴れ馬な投資先だということが分かってもらえたと思う。決して、不動産投資と同じではないし、不動産投資の利回り10%とはわけが違うということも理解してもらえたと思う。たとえば、図3の地点で不動産に投資していたら、金融資産評価をしたバランスシートはこうなる。

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土地建物の評価額が購入額の半分だとしても、債務超過は250万円で済む。太陽光に投資した時の債務超過800万円と比べたら、3分の1くらいですんでる。

なので、本来は太陽光発電というのは、事業の1発目でいきなり取り組む投資商品ではないのだ。とにかく信用棄損がでかいから。不動産なり、ほかの事業で分厚いキャッシュフローや利益、資産がある人が次に取り組むべきものなの。そもそも本来的には。

そして、図4と図13を見比べてもらってわかるとおり、債務超過が3倍違うわけだから、当然利益を上げる力も3倍ないといけないということが分かってもらえると思う。不動産で利回り5%なら、太陽光では利回り15%ないとダメということ。太陽光は超攻撃的な商品だから、特に利回りは強く求められる。

これがまず、最初に理解しておかないといけない教科書的な知識だ。

じゃあ、一発目に太陽光やった人はもうだめなの?いや、そんなことはないよね。そのために僕は口を酸っぱくして、財務を理解しましょう。財務諸表を完璧に理解しましょうと言っているわけで、きちんとバランスシートを作っていけば十分に挽回することは可能だ。

ただ、今日ここに書いた経営とは?ということはしっかり理解しておいてもらいたい。債務超過していたら、早急に利益を上げることでしかそれを解消する手はないから。次の融資ではなく、利益をあげて、自己資本の強化に取り組んでもらいたいです。

まだまだ伝えたいことはたくさんあるんだけど、趣旨がぶれるのでまたここに書いていきます。今日はここまで。急いで書いたからわかりにくいとこあったら、またいうてください!^^

天賦の才を持たない者でもバランスシートを理解すればきちんと財産を築いていけることを僕は証明していきます!^^

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