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串間くんとファントム(よそ+うち)

「ん?トムトム、その衣装はなんだ?」
串間が声をかけたファントムが新しい格好をしていた。
白を基調とした寒色系のスーツとシルクハットというやや涼しげな格好だ。
「マキさんとの結婚式にふさわしい服装ですよ…って冗談です」
串間は黙ってしまい、一瞬たりとも信じた自分が馬鹿らしくなった。

彼にはもう相手がいる。分かっていてもやはり騙されてしまう。そんな自分に嫌気が差した。だが串間は気持ちを切り替えて前向きになる。

「アンタによく似合ってるよ。リブラや真輝さんも喜ぶだろうさ」

「ありがとうございます。貴方にも是非とも素敵な服を作りたいですね」

「……え、俺に?」

串間は突然のファントムのセリフにきょとんとしてしまった。

「はい。クシマさんがよろしければですが。ふむ、やはりゴシックスーツなんてお似合いかと思いますね。貴方には男らしいカッコ良さがあります。テオドシオと同じ髪型や髪色なのに顔や目は違うので、きっと似合う服も違いますね」

顎に手を当て、半ば嬉しそうにじっと見つめるファントム。串間は逸らすことなく見つめあっていた。

「そりゃどうも。今のアンタはまともそうだ。少なくとも今は、だけどさ」

この格好なら、真面目なんだろうなと見抜いた串間のセリフである。

「えぇ、彼のおかげです。ですがどんな姿になろうとも貴方にはぴったりな服を着せたい。マキさんのためにも、貴方のためにもですよ?」

ファントムはそう言ってすぐにどこかへ消えてしまった。串間は面白いやつだなと思いながらも再び歩き出した。

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