1208下書き草稿メモ


■《アラビアンナイト珈琲店》

 ここはアラビアンライト珈琲店。西の空が茜色に染める頃から、濃紺が空一面に広がり始める時のしじま、街角に忽然と浮かび上がるように開店する。
 とっぷりと日も暮れた。夜空には白に黄、赤の星々が踊り、珈琲店は月光を浴びている。
カラランコカラン。お店の名前が書かれたプレート扉を開ける音が響いた。客の訪れである。
「・・・。」
お客は決まって無口で扉を開く。それはなにもこの珈琲店に限ったことではない。一人客なら大抵誰でも店内の人気を想像したりしながら静かに店の敷居を通る。ましてや新客なら当然のこと。
 店の外観は由緒ある洋館といった趣で、扉はパリの街角にあるようなアンティーク調の木製である。濃茶の落ち着いた色調とオーソドックスではあるが、その形は異様なほど細長い。茶室の小さなにじりぐちを縦にひきのばしたほどの大きさである。必然大抵の大人は身を細めてやってくる。上背のあるすらりとした新客は少し前かがみのまま、肩をぶつけることもなくすっと敷居を超えた。髪は艶のある桎梏の黒。曲線と直線の均衡がある眉は知性を感じさせる。きめの細かい白肌、一言でいえば品と花がある人と言える。

しかし、
思わず視線がとまるほど整った顔にのる瞳は、翳りが見える。煤でも被ったような表情である。何か腑に落ちないものを抱えているのだろうか、いや、誰でも一つや二つ釈然としない塊を持て余しているものだ。
 青年は素早く店内を見回した。
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました。ご案内いたします」
芽衣はしっとりと出迎えた。アラビアンナイト珈琲店のメイドである。口角が緩やかに上がったアルカイックな微笑は安定して幸福感の高い人がそうであるように出会う人を祝福で包みこむような喜びを称えている。歳は20代の半ばを過ぎた頃に見えるが実際はもっと年齢を重ねているのかもしれない。黒と白を基調としたレースと膨らみの多いメイド服で、膝が隠れる丈のスカートは清楚である。腰もとで巻かれたエプロンの白い紐は、華奢だが女性らしい芽衣の身体の凹凸を際立たせていた。
 新客は心ここにあらずの様子ですっと長い足を前方にのばし、敷居を跨いだ。青年の手から離れた扉が滑らかに動いた。カラランコカラン。新客はハッとしたが、ドアベルの響きのためか、店の珈琲の香りのためなのかは分からない。

 新客は珈琲店内を一覧した。
「こちらにどうぞ」
芽衣はにこやかに声をかけた。
青年はすっと会釈をした。一礼はごく軽いものだったが礼儀正しさが伝わるには十分だった。翔子は来店した男性に目をやり、
「あっ」と、驚き息を飲んでから「えっ、本当に?すてき、美、00」とたて続けにいった。
翔子、彼女はこの珈琲店の常連である。歯に物を着せずものを言う主婦だが奇妙なほど毒がない。彼女は小さな女の子を子育て中という話だ。顔立ちは一見してクールな印象を与えるが、髪型はふわりと空気感をもたせてあり毛先は緩い内巻である。白いブラウスに主張しすぎないアッシュピンクの揺れ感のあるプリーツシフォンスカートをはいている。彼女も口元に微笑が見られるが芽衣とは異なる印象を与えた。(「わたし、これでも無口だったの」とはよく言うが、)「疲労困憊の果てに行きついたユートピアにいるのよ」とも彼女が言ったせりふである。(※もっともマスターは「ユートピアの(出現は、いつでもあなたの中から始まるのですよ」と答えるのだが。)
 40代に入ったところであるそうだが、最近の子育てママがそうであるように彼女も十分に若々しく、かつ熟成した魅力が宿りつつある女性だ。

「・・・」
蒼白の新客は、(00、美男、好青年)、との翔子の3拍子に対応するべくごくごく自然で歯にかんだ笑顔を見せた。賛辞への対応は好印象そのものであるが、目の奥の生気は今にも消えそうな蝋燭のともしびのようであったのをマスターは見逃さなかった。
「いらっしゃい。寒かったでしょう。おっと、7月に言うセリフではありませんかな。さぁ、温かい珈琲をお入れします。ゆっくり一息ついていってください。生きていると色々ありますから」
マスターはまるで千年来の父のように迎えた。

<ナレーション>

 さて、ここでこの小説を始める前にこの物語を書くに至った背景について少しお話しさせていただければと思います。
 この小説はコロナ禍中の去る2020年7月、自死により地上を去り他界された有名な俳優さんがアラビアンナイト珈琲シリーズX版の新客X氏のモデルとなっております。
 しかし当作品は当俳優さんが死を選んだ理由を追及しようとするものでも、また世の中に飛び交うネガティブな憶測を広げたり新たに作り出す目的で書かれたものではありません。あくまでも、有り余る才能でわたしたちを楽しませてくれた(ファンの方のご意見参照。”時に勇気や元気をくれたり、ドキドキさせてくれたり”と)この俳優さんへの冥福の祈りであり、そして彼の残してくれた勇気や希望など力を与えてくれる言葉の共有の場です。また、ご本人のみぞ知る自死の理由からは切り放した状態で、広く現代における心の病、それから自死の特徴、そして中でも特に芸能人やアーティストの心の特性について考察したフィクションです。
 著名人の自死は少なからぬ影響を社会に及ぼします。わたしたちの理解によりそのような悲しみが減りますように、また広く心が病みやすい人たちが生きやすくなりますように、芸の人やクリエイティビティーの高い方々が生き生きと創作活動ができますように、人生の底に迷い込んだとしても希望の光が見出せますように、そんな願いと安寧の祈りの書です。初稿から諸事情のために4年の月日が経過しましたが、迷い人の心のひとくぎりになればと、文化芸能の発展の一助となればと、完成させるに至りました。
 ご理解いただける心ある方の目にとまりましたら幸いです。ナレーションにお付き合いいただきありがとうございました。それでは本編をお楽しみください。<ナレーション終>

「いらっしゃい。摩訶不思議アラビアンナイト珈琲店へようこそ。あぁ、これはコンタクトレンズではありませんよ。アニメーションの世界ではおなじみですな。虹彩異色症と言われていましてね、現実世界では珍しいと思うかもしれませんが意外と身近にいるものですよ」

新客の青年は、なるほど、承知しました、と語る眼差しを向けつつ口元に微笑みを浮かべた。

「しかし、後天性は珍しいかもしれませんな。当珈琲店にて珈琲を焙煎して気が付いたらこうなっていのですよ。香りですかな。先天的に目の色が左右違うことは猫の世界では人間よりよくあることらしいですな。今は留守中ですが、うちの00も金目銀目ですよ。」
青年は口元に微笑みを浮かべたまま静かに席につむと、沈み込むように額の前で手を組み顔を覆い俯いた。
「お疲れでしょう。ゆっくりしていってください」
マスターは一度手をこすってから珈琲の抽出を始めた。あたりは良い香りがする。


■《ジャスミンの薫り》

「いらっしゃいませ。こちらメニューです」
芽衣の柔らかい声に新客は少し顔をあげた。黒々とした艶のある髪が動いたが、視線は遥か遠くでもここでもないどこかをじっと見ている。

「本日のコーヒーはパナマ産ゲイシャと言って、ジャスミンの香りのする爽やかな逸品です」
「それでお願いします」
と、Xは半ば自動的に言ってから、これが定位置とばかりに手のひらに顔を沈めた。
「少々お待ちください」
ひらひらと接客する芽衣はいつものように自然であったが、翔子は眩しい光に動きを封じられた飼い猫のようであった。
「あ、あ、あ・・・あのやっぱり・・X君、よね」

やっと言葉を発した翔子はピンク色の薔薇模様の珈琲カップを宙に浮かせたまま、今度は驚いたのら猫のように少し目を吊り上げ見開かせていた。

「おっと、今時は、さん、がいいわね。ジェンダーフリーとかで」
新客は知名度の高い俳優X。ミーハーではない翔子だが一種の高揚を覚えていた。知性、洗練、品、誠実、実力、廉直そんな人間性の言葉を彷彿させる魅力を装備したXが目の前にいるのだから無理もない。

 店内には、静けさとジャスミンの花のような香り、それからマスターが珈琲を入れる音が響いた。
           ※
 珈琲を運ぶ芽衣は、老舗珈琲店さながらの上品なメイド服に身を包んでいる。芽衣は珈琲をテーブルに丁寧に置いた。スズラン模様の珈琲カップである。爽やかな香がした。青年は手に沈めていた顔を上げ息を大きく吸った。香りは青年Xの脳の奥の隅々まで届き、目からこぼれ出るような癒しをもたらした。森林浴でするように青年Xは深呼吸を繰り返した。舞台前のルーティンにする演劇人も多いだろう。
 「なんとも沈鬱な日はあるものです」マスターの声が低く響いた。
 青年は真顔のまま仏像のようにほほ笑むと、花の香りが沸き立つ珈琲の黒い液体をじっと見つめた。
「どうぞひと息おつきになって下さいな、Xさん」芽衣はXを包むように言った。
「そ、そうよ、兎に角龍角まずはリフレッシュに珈琲もありよ」
常は大人の落ち着いた翔子だが、Xを前にその声はキーが外れたリコーダーのように甲高い。

 

僕の神経は途絶えていなかったかい?
どこか配線が違ってさ痛みは僕をさした
心の臓は、黒い髑髏の中で墓石よりも凍り付いていたはずだよ
僕の心と脳とそれからいくつもの臓器がつながったような
あるべきところに僕のほうぼうに散った神経がおさまったような
このあたたかさはなにかい?
喉の奥の奥からのぼるこの湧き出る
涙がこぼれそうなほど胸をいやすこのかおりはなんだい?
肌の中にいることがこんなに温かいことを僕は今思い出しそうだ

■射干玉の珈琲 桎梏の黒 

 「珈琲は身体にいいのですってね」

「いいも何も天使の飲み物であり悪魔の飲み物でもあるのです。

それから人間ののみのものでもありますよ。

珈琲は黒い。この中には白く眩いおひさまの光芒の色も雨上がりの煌びやかな虹の色もそれから闇夜の暗闇も含まれるのです」

「今や世界で最も飲まれている飲料ですわ。うるおいのお水を除いてはではありますけれど。世界の中でトレードされている自然資源の中で堂々一位が珈琲。次に続くのが石油ですわ」
「へぇ」
「エチオビアで1000年ごろには飲まれていたそうですな、アラブ社会ではアルコールに変わる覚醒飲料として好まれ、西欧にも伝わり珈琲店が現れそこで学問文化が花開いた。西欧の近代の宗教観からの脱皮と科学的知見の目覚めにはアルコールからの脱却があり、そこには珈琲の普及があったのです」

「目が覚めるし、万病のリスクを下げると言ったって時と量、それから質。ほら格安の商品にはリン酸系が入っていて腎臓に打撃なのでしょう?体内環境は拮抗作用ってもので、バランスが大切らしいわね。それに朝一カフェインはよくないのですってね」
翔子は珈琲カップをカチャリと皿においた。
「それで確かにわたし、目覚めてきてる。夜明けね。それにわたしも目覚めてきたみい。って言ってもね、珈琲を飲むたびに思うのだから目覚めに果てはないのかは知らないけど、こんな風に変われるとは思ってもいなかった」
「うふふ」
「ぬばたまの珈琲、桎梏の黒、この珈琲は魔法の飲料ですな。種から抽出されているからでしょうか、発芽を促すのです。
 人は自らの内側にあらゆる可能性の種を宿していることに気が付いていないことがあるのですよ。(大なり小なり、わたしなど、という思考が人にはあって、これが最も希望と繫栄の種の存在を曇らせるのです。)
 わたしは、珈琲の可能性を信じていますよ。珈琲は人の知性の発芽を促す魔法があるのです。(何より平和を愛する種の発芽を)さ、翔子さんにも新しくお入れしましょう」

神妙なる飲み物
あなたを目覚めさせ
心を開き
天と地をあなたを通して結ぶもの
あなたの知性と悟性を目覚めさせ
あなたの中のあなた(神)をつなぐもの
黒き珈琲は
あらゆる光を含み
あらゆる色を内包し
あらゆる色を輝かせる
(音を目覚めさせる)

神妙なる飲み物いかがですか




すでに備わっていても備わっていることに気づかずにいたら、それは宝の持ち腐れですな。宝だって磨いてこそ始まりですから、それが埋もれたままではもったいないことです。ご本人にとっても恩恵を受ける人たちにとっても。何って人に喜びを届ける才を発揮するほどご本人にもおおきな生きがいをもたらす、そうおもっていますから。

不思議か 自然か われらを目覚めさせ 知性の発芽を促すもの
そうだと知れば 効果はいよいよ著しく
知らずとも 飲む人に明晰をもたらす
そんな種がわれにあったか


 
 (珈琲がわたしたち人間の内部には人間の愚かさを観察し、人間の知性やら共感力やら豊かな創造性やら悟性があることを観察し、それを己の内側に見出し、行動を選択していく。そんな知性の至高の珈琲豆のよう目覚めさせる、その事実を知った途端珈琲は魔法の飲料となるんです。それが世界中にもはや存在するのですよ。
世界の色が変わりますよ。世界の色が。あぁこのような素晴らしい飲み物に出会ったことにわたしは感激せぬ日はないのですよ。きっと世界が変わるでしょう」
「真っ黒に?」
「黒はすべてを含みますよ。あらゆる色、あらゆる光を含むんです」
「そうだったわ」
(詩に変更
こんな色がわたしにあったか

神妙なる飲み物
射干玉の珈琲よ 桎梏の珈琲よ
あらゆる色を含み
あなたの中の色を輝かせる
至高の珈琲豆よ
目覚めはいつですか?
あなたの色は何色ですか?

■5、7、5標語は珈琲のゆけむりのように次から次へ。だから募集します。

「マスターが珈琲に人生をかけているのはよくわかるわ。
『珈琲は人に知をもたらす』とかなんとかこれはよく聞いてきたわ。マスターのモットーかと思えば、それでそれだけじゃないのよね。

『珈琲は世界平和をもたらす飲料なり』なんてのたまってたり、
かと思ったら『珈琲はあなたの中の個を目覚めさせる』、そうかと思えば『珈琲は個を離れて全体の視座もたらす』とかね。ついには
『珈琲は個と全体のバランスを絶妙に整える』とか『珈琲は宇宙と一になり一が宇宙となる』とかね、『飲みて味はざればすなわち暗し 飲みてその味を知ればすなわち今にあり』とかね。はじめは何の哲学かしら?と思っていたわ。それが奇妙にも今はそれもそうね、なんて思ってるから、きっとわたしも妙よね」
「そうですか。あ、こんなのはいかがでしょうか。『珈琲はあなたの中の光と闇を浮き立させる』『珈琲が混在と明晰性の両方を与える』『珈琲がわれわれが何をしるべきか照らし出す』なんてのもいかがでしょう。『珈琲は肌の色を超える』もいいですな。なんといっても人種民族どの国の人かなんて関係なく世界で飲まれているのですから」
「ほら、もうきりがないったら。そのなんだか、定義だか標語だか作りたがっているのもわかったわよ。
『あなたの内側に眠る力を目覚めさせます』
『当店の珈琲はあなたの明晰性を目覚めさせる魔法の飲みもの』『あなたが飲むいっぱいはあなたを変え周りの10人を変えいずれ世界を変える』これは長いとため息だったわね。『素直においしい、至高の瞬間を提供いたします』『苦みとこくのバランスをあなたの舌に』『エレガンスの極みへあなたをおつれします』『高地楽園の味』。ダイレクトに『心臓疾患をとおざけます』『うつ病リスクを減らし幸福度を上げます』『死亡リスクを減らします』『愛と心と知の一杯』とエンドレス」
「果てがありませんな。ははは。『珈琲の香りはあなたを宇宙の記憶へと誘う』いやぁ、誠に尽きないんです」
「いっそのこと、募集してみたら?最近は俳句が流行っているし俳句募集なんていいんじゃない?五七五の世界。短文の伝播力ってあるじゃない?世界で最も短い詩と世界で最も飲まれる飲み物、いい組み合わせね」
「それはそれは」
「それでいいことばかりに光あてているけれど、翳もあると思うわ。珈琲の闇。ネガティブな側面。珈琲とは農薬による土壌汚染、カフェインなしでは覚醒なし依存飲料。働く人たちの労働条件も気になるわね。あんのんに珈琲を味わっているわけだけど」
「たしかに、わたくしもそのとおりだと思いますよ。適度な珈琲摂取は、脳の活性化をもたらし痴呆症、糖尿病、様々な疾患リスクを下げるそうですが、いつ、どのぐらいが身体ベストなのか、それは千人いたら千人ちがうのでしょう。労働条件にしてみてもこれから改善の光があてられるべきでしょう。
 しかしだから珈琲を飲まないという選択は、まるで飛行機にのらず船で、電車にのらず自転車で、郵便は江戸の飛脚メール便、スマホはお預けスマホロックに万年入れて、電子マネーはノンノン手数料付送付に一週間の銀行振り込みで銀行万歳。なんてもの以上に難しいように思うのですよ。なぜって、味覚や嗅覚の芳しい刺激を我々の脳は深く記憶しているのですから。とくに、匂いをつかさどる脳部位は、他の感覚とは異なってより原始的で動物的、人間の本能に関わる場所にあるというではないですか」
「女性は好みのパートナーを匂いで嗅ぎ分けるというお話もありますわ」
「ははは。さしずめわたしのパートナーは珈琲でしょうか。良い香りです。いえ、薫りを通じて出会う人たちですな。パートナーは一人に限ったことではありませんから。兎に角、わたくしは珈琲の恩恵を考えずにはいられません」
「それもそうね」
翔子は福福しい表情で珈琲を味わい、それから一息ついた。
Xは静かに珈琲を飲んでいる。


『そはたれそ ぼくはたれそ こたえよこたえよ やれ珈琲』
珈琲よ それはなにかと問いあれば 森羅万象を含むもの 君ならきっとそう答える
珈琲とは何ですか 
街角にあるもの 
かつては異国の飲み物で
今は僕らも親しむもの

千年親しんだよに手にするもの

僕には とっての珈琲は
目覚めを届けてくれるもの 
特別な何かというわけではない 
それでも一口 二口と飲めば たしかに何かが変わって行くようだ


あなたが珈琲の香りを味わうとき
ほんの少しだれかの幸せを願ったら
それはあたりに広がるように思う
あなたが珈琲を一口ふくむとき
ほんの少し地上の平和を願うのなら世界は平和が現れるように思う
悲しみはあっても人の命を理不尽にはうばわず
悦びはあっても人を不法に踏みつけたうえにはなりたたない
あなたが珈琲を飲むとき
そのひとときに喜びと感謝が湧いたなら
あなたから豊かさと繁栄が始まるようにわたしは思う』

神妙なる飲み物
知を目覚めさせ
心を開き
天と地をあなたを通して結ぶもの
あなたの知性と悟性を目覚めさせ
あなたの中の眠れる愛(神)をつなぐもの
黒き珈琲は
あらゆる光を含み
あらゆる色を内包し
あらゆる音を目覚めさせる

神妙なる飲みものをあなたと


神妙なる飲み物
神妙なる飲み物はわたしとあの人をつなぐ
わたしと遠く離れたあの町を繋ぐ
わたしと髭を生やして月夜を眺めるアラブの人をつなぐ
わたしとベルギー城を昨日見てきた人をつなぐ
神妙なるぬばたまの珈琲は
わたしたちを目覚めさせる


■珈琲店のよもやま話『破壊と再生の世界地図』(後半部のクッション。要編集→わかりやすく編集。ここに第一のきも)

※つなぎ・導入編集

「人間の理性はそれまで眠っていたのかそれとも新に備わったのかは謎ですが、確かに西欧文明では知性理性の目覚めがあって中世から近代へと移行しましたな。しかし、計算機でなんでも計算でき、顕微鏡でなんでも見えてビーカーでなんでも作り出せると思ったおごりがあったのではないかと思うのですよ。果ては定規と武器で世界地図を区画できると思いあがっていたのかもしれません。ほら、西欧医学にしてみても産褥熱の再発は、宗教の時代なんて言われて暗黒レッテルをはられた中世で行われていた手洗いの大切さ思い出させてくれましたな。日本も例外ではありませんよ。わたしたちは、良き古き江戸やそれ以前の文化を未開のものだとした時期があり破壊に否定をしてきましたから。新たに知性を磨く時期であり痛みを癒す時期であり、知性合理性の翳に潜んでしまった感性の救出の時期なのかもしれませんな」
「破壊のあとには再生がありますわ」
「そうね、再生の道は長いこともあれば望まない破壊もあるわ」

「えぇ。本当にそうですわ。簡単には破壊の後に再生があるなどと言えないこともありますわ。それが真実だとしても」

翔子は珈琲を飲んだ。

「破壊と再生、なんていっても日本は破壊も世界基準からしたら緩やかよね。再生は再生で既存の基盤を活かしながら発展のうちに展開してきたわね。

ほら、隣国の中国さんは、侵略した土地と人と文化を徹底して潰して塗り替えるっていう破壊を行ってきたし、西欧社会も既存の思想を徹底否定し破壊して新しく創造してきてるわけでしょう。

ほんと世界目線からみたら妙な国、日本」
「それは確かにそうかもしれませんな。平安の文化が今に息づき祇園の街を彩り、室町の芸能は今の今にまで室町のまま上演される。日光東照宮は今も江戸たる東京を見守る。
 加えて世界から文化が入ってから、クリスマスには聖なる気持ちになり、一方今も弥勒菩薩のほほ笑みに見入る人が絶えません」
「阿修羅像の少し悩ましい眉にほれたわ」
「うふふ」

「それから、龍神様や天照大御神様に祈りをささげる。バラ園で美の饗宴を堪能したあと、きんもくせいやさざんかや椿を愛でる。花々が均衡をたもって共存している感がありますな」
「たくさんの価値観を受け入れる不思議な土壌。
 神はひとつ、って問い詰めるところがないってわけじゃないともうけれど緩やかなのよね。妙な国だわ」
「宗教戦争の大きなものは経験していませんんけれど、神社仏閣の分離はあってそのときは破壊があったそうですわ」
「それもそうね。それでも歴史的にみたら共存の方が長いわね。

この世界は入れ子構造とはよく言うわね、ブロッコリー、ロマネスコにマトリョーシカな世界。子供の宇宙図鑑をみたとき、脳の神経組織の写真かと思ったぐらいだわ。この世はロマネスコ。それなら日本の住人たるわたしたちのメンタルの破壊も緩やかなものなのかしら。あ、鬱とかね、そいう類のもののこと」

「書籍によりますと西欧のうつ病の方は、本当にもう生きるしかばねのような状態になるそうですわ。きっとお辛いでしょう。ものも話せないほどのメンタルの病ですわ。一方で、日本人の鬱病はうつだといっても動けて後ろ向きのことばかりとはいえお話もできる。やはりメンタル面でも破壊が緩やかである傾向は見られると思いますわ」

「なるほど。確かに手足は動かなかったし、身体の中に腐った鉛でもながれているように重いきもちだったけれど、緩慢ながらも動けていたわ。

それでも鬱傾向は古人よりずっと大きいと思うの。ほら、歌を読んで気持ちを解き放っていたり共感しあった時代は、今よりずっと鬱症状が軽いものだったように思うの。

今は世界基準のメンタル徹底沈没も輸入されてメンタルの風邪ひき症状が悪化しているように思うことがあるわ。 あ、昔の日本人と今の日本人、重い鬱だったかなんて測れないから単なる考察よ」

「そうかもしれませんわね」

 「キリスト教のような一神教の考え方、何かひとつ絶対的真理のようなものを求めるのが西欧社会だとして、日本は不思議に神社仏閣八百万の神様、いろいろな神様が重層。やれ、恵比寿様商売の繁盛をと願いつつ、毘沙門天様、守りを、九頭竜様、良きご縁を、やれクリスマスシーズンだわ、街のイルミネーション、コロナ明けに観られるかしら、なんて一貫性がないなぁなんて思ったことがあったけれど、実は柔軟な精神力に一躍かっているのかもしれないのね。卵はたくさんの籠にいれましょうじゃないけれど、何事もいろいろな選択肢をもっておくのって大切なのかもしれない」

「うふふ。ひとつの絶対的真理を求めるような傾向、だからこそ近代科学の幕開けはいち早く西欧で始まり産業革命もおこったのかもしれませんわ。ひとつ、物事をおいかける、そういった姿も素敵ですわ。きっとどちらもいいところがあってどちらも蔭もあるのですわ」

「今や世界で思考形態、文化を共有できる時代。いい時代です。西欧、東洋、日本、ロシア、ウクライナ、違いを超えて、文化は人類の資産ではないですかな。ピラミッドはエジプトの資産を超えて人類の資産となっている、この感覚が世界の知さな文化にまで浸透すれば

珈琲が世界で飲まれるように。それから

何かひとつを徹底するような完璧主義がだめだとかいろいろな価値観が同居することが矛盾とか、そういうことを離れて、

大切なのは、きっと今どんな対象に対してどんな在り方を選択しているのか気が付いて、目的のためにふさわしいかどうか検討できる視点をたもつこと、なのかもしれませんな」

 

「って、ほら、こんな調子でどれほど過ごしたかしら、わたしも今ではすっかりこの珈琲店の住人ね。Mさん、どんな哲学カフェにでも来たかと思っていらっしゃるかもね」

Mは静かに珈琲を飲んでいる。

(※移動)
『僕はどこの住人かい?
虚構の舞台の住人かい?

僕はだれだい?
僕ば虚栄の陰り日であがく亡霊かい?

開いた小説の一ページ
ひとつセリフを口にして 閉じられる文字の影かい?

僕は光を見せながら
蔭を内側に蓄える充電器かい?
僕は濃く入れ過ぎた珈琲かい?
夏日におかれたまま氷のとけたアイス珈琲かい?
それとも冷めてしまった抜け殻かい?

どこに真実があるのかって
僕だって時々考える。
僕にとって真実は
感動をみせてくれるあなただから
僕はこれでも喜びの中を生きてきた
その光の辻に
さっと裂けた闇夜から僕をひっぱるものがあった

虚実の中に
見る僕らはどこへゆくのかい?
目的の場所はきっとあった


(始まりはあった
そうだそれは祈りだ
こんな僕だから祈ろう
こんな場所からでも僕は祈ろう
傷ついた君(あなた)の癒しと
その先にある繁栄を)

⓵うたかた⓶老いと花⓷汝を知れ④

⓶なんじをしれ⇒目覚め「僕はだれでした」⓷メメントモリ

僕がいるのはどこだったのかい?
光が眩しくて僕は無中においかけた
光が僕の中から
あふれ出るように感じたさ

自分を試せる喜びに
ふと距離をおいたとき
のせられたレールなのかと思いもしたが
僕にはそれがあっていて
舞台は僕が僕であれる時間
今生きていることが喜びになる時間

いつ僕は道をたがえた?
周りは愈々花盛り
光あふれてい僕を包んだが
僕は蔭を背負っていったんだ
確かに万物は変わりゆき
僕には夜明けが巨大な翳だった

ぼんやりとした灰まみれの迷妄から
僕はここで夜明けに向き合う

「つながりは闇に足をひっぱる依存なのか、豊かさをもたらす縁か。行動は実りをもたらさない依存か、自立心からはじまっているか、その見分けってことかしらね」

(移動)
何ひとつとってみても道端の石ころも名も知らない小花もまだ名前がつけられていない深海の生き物も
僕とつながっているというのかい?

僕は断絶を想った
だから僕は断絶を体験したのだろう
これだけ僕は人とつながり
あれだけ光を受けてきたのに
僕はときどき暗闇に迷い込み
暗い森の中でうずくまった
温かい手がさしのべられても
僕にはとどかない
手をのばしたら
枯れた小枝が僕を遮り
僕はおそろしさに腕をひっこめた
木の根の奥の奥にお前はいろとだれかが足をひっぱり
闇夜の黒い森はいよいよ黒くなった

僕の心が沼におちても

君は僕に光をあてるというのかい
ボカロの曲も
リュートの音も
君のきれいな歌声も
胸を躍らせるリズムも
ときどき僕には遠くてさ
君の声が聴けない僕はいていいのかい?
光の中で闇に潜む迷子の僕は何者かい?

「スイーツにしても音楽のように国境を越えて人に笑顔をするのだから、そうよね。
 芽衣さんはまさにスイーツ女子って感じよね。わたしときたら、もとからなのかそうなったのか、若いころだってスイーツ女子とはいえないかったな」
「翔子さんは、いつもご自身をおさげになりますわ。翔子さんもお似合いです。(そうだ、いつかきっといっしょにきましょう!喫茶ソワレのゼリーポンチをいただきたいってずっと思っていましたの。色鮮やかなゼリーですわ」

「インスタデビューなんていいんじゃないかしら、芽衣さんなら一気に視聴回数上がりそうね」
「翔子さんと御一緒にいかがかしら?」「私でよければ、なんて、以前は流行も流行りも芸能界のあれこれもまるで遠い国でも出来事だったわ。ここにくるまでははみ出し者気分で、妙な異星人、生産性がないことを考える無益な人間だ、だからわたしはだめなのだ、そんなレッテルを無意識のうちに育てていたし、環境も落ちていくわたしにそのとおりだよ、とこれでもかと漬物石を次々と投げてはのせた。おかげでけっこうな漬物になったわよ」
「うふふ、楽しんでいらっしゃるようにみえますけれど」
「それはここにやってきてからのはなし。やれ、存在とは、よりよくあるとは今を生きるとは、ありのままを受け入れるとは、目標を見出すとは、己をしるとは、こういうことが珈琲をのみながらいつもより一層わたしの脳裏だけじゃなくて、目の前を横切っていたのよ。目の前なのだから驚いた。以外にそういうことを考えている人っていたってことよね」
「この珈琲店だけではないですわ。10人に一人の少数派かもしれませんけれど、存在に宇宙にそれから地球や素粒子に思いをはせる人がいるのですわ。生活のためパンのためお米のため以外に意義をもって働きたい、生きがいにつながりたい、そんなことを考えたり、少なくともこのままでは納得できない何かを抱えていらっしゃる方はけっこういると思いますの」
「そうかもしれないわね。そんなこと考える必要もない、働け、働け、そうすれば豊になる、そんな昭和の大半が共有していたような価値観はもはや松の葉一本ぐらいの蔭になってる。
 人生100年200年なんていわれている時代だから、うやむやともやもやと言われるがまま世間の提示する価値観のまま生きるには長すぎるものね」
「確かにそうですな。個と全体、世の常識とご自身の描く夢や志望、ぼくたちはより幸福度高く生きるために微調節が必要なのでしょう。最適な調節は、ときに周囲の人が行ってくれることこともあるのでしょうが、自分で行うことが大切でしょう」
「本当ね。話せる人がいるってこんなに気持ちが軽くも楽しくもなるものね。ほらわれこそはまともだ、という顔をしている人はそんなこと考えてもいないようで、誰かとの会話なんて、疲れるだけのものだった、疲れてるのを隠すのとそんな自分がひどい人でずれててだめだなってばかり。
 実際ご飯にならないようなことを考えることを無駄だという人もいたし、愚かとまでいう人もいた。なるほど、と納得して蓋をしてきたわけだけど、蓋をしてすましてみたけど解決を見つけない限りはくすぶった。むしろ蓋のなかで発酵熟成ならいいものも腐敗して挙句蓋からばい菌がでて前進麻痺よ。ふぅ、おいしい」
((※時間について)過去からも未来からも自由になったようなきもちよ。ほら、時間なんてそもそもないというから)」


僕もだ
僕もそうだ

僕は蓋をした
見ないように
見えないように
それが何であるかも思い出せないほど 
深い深い深い場所に
奥の奥の奥に

それは夜な夜な疼いて膿んだ。

空疎 からっぽ 虚空かい?
僕はそんな存在かい?
僕らはそんな存在かい?
知識で埋めたら満たされるのかい?
知識には底も天上もありはしないし
僕らが知っていることも
見えることもほんの兆の星のわずかなかけら
僕の心にはもっと何か温かいものがつまっていたはず
あふれだしそうなほどの何か
何かがとぐろをまいて僕のみたいものを見えなくしている
灰色の煤のような物体がが僕の身体に住みついていて
アモルファスに形をかえて
あっちへいったり
こっちへいったり
君はだれだ
僕は君を捕まえるんだ
出てこい
出てこい






「そうですわね、時間だけではなくて空間さえも素粒子の世界からするとないそうですわ。すべて幻想ですってね」
「時間も空間もそれから死も生も珈琲を淹れる音もこんなにリアルですが、これは遺伝子が見せる世界というわけです。
 われわれは、世界のごく一部でさえも見れていない、認識もできていないということでしょう。この遺伝子が見せる世界の認識からは、」





あ、悟った、なんていう気はないわ。滅相もない。ただ、こうやっているうちに、
痛んでいたささくれがなおって、知らず知らずのうちにささっていた小さな棘を見つけてはずしていて、
結果、なんだか前向きに歩きだしてみたくなった、それだけのこと。きっと誰もがそうね。だから世の中は続いているのよね。わたしも前向きな波に乗っただけ。それで、わたしでも何か価値が産み出せるかもしれないって次を考えられるようになっただけ。思考回路が変わったのか新しくできたのかは謎」
「謎、ですな」
「Mさんの魅力も謎ね」
Mは静かに珈琲を飲んでから、珈琲テーブルを見るでもなく俯いた。


声が聞こえるよ
僕を呼ぶ声が
眩し光が見えたり消えたり
ここはどこだい?
この僕はいつの僕だい?

底なしの寂しさから目が覚めたようで
悪夢を見たようで
覚めても僕は彷徨っているようで

時間がないというのなら
僕はあのときに戻れるかい?

戻りたいと願うのは人の身だから
結局 過去から未来へ流れる一方通の線上からのがれられやしないのかい?
あのとき このとき
戻りたいようで
どこにも戻りたくもない

僕は 時間の迷子で
消えてしまいたいはずが
目の前の珈琲をこうして味わう




「あっと、またじっと見つめてしまった!わたしったら失礼もいいところだわ。芸能の世界の方も人なんだから」
翔子はさっと目を珈琲に向け、小花が咲いた優雅な形をしたカップを口元に運んだ。
「マスターの珈琲って毎回何か目が覚める気がするわけだけど、またマスターの珈琲ではつけられないスイッチが入ったみたいだわ。
 今更だけどカフェのカフェってカフェインのカフェなのね」
「カフェはエチオピアのカファ地方からきているらしいですわ」
「へー(、モカって地方があるのは聞いたことがあったわ。アラブの王様が出てきそうな場所よね)」
「それから、カフェインを抽出するように科学者に促したのはかのゲーテらしいですな。彼はワインとそれから珈琲をこよなく愛した」
「へー、だからマスターはときどきゲーテのことを話すのね」
「えぇ、それだけではありませんが、わたくしはゲーテに親しみを覚えるのですよ。珈琲とそれからゲーテへの親和力でしょうか」
「そんなものかしら」
「うふふ」
Mの顔にはまだ暗い影が残っている。
「若い時期には一度や2度や三度や5度、うつむくときもあるものよ、とはやってくるお客さんに芽衣さんがよくはなすことね。歳を重なったって、いくらでもあるわ」
翔子はMを元気づけるように言った。
「(ゲーテ引用)真剣になれば悩みが出てくるものです。悩みを解決すべき問題としてかえていけばわたしたちは成長するということでしょうか」
「マスターも悩みあるの?」
「勿論、今でもいくらでもありますよ。ただ以前よりずっと悩むよりも取り組むべき課題として明文化して、分析する、そんな行動へのきりかえが早くなっただけにすぎません。毎回新しい失敗と経験です」

「へー。悩む人は、何かに真剣なのよね。そういうことよね。うつむいたっていいのね、だってほら阿修羅像の面影。憂いの陰。たまには。うつむいて何かを見つける人もいる。そういう人は『うつむいてもできるだけ素早く原因を捉えて何某かの学びを引き出して見せる、そんな気概がある人』とはマスターのセリフね」
「ははは、これはこれは」

「うつむいた原因を悲しみやら怒りやらから離れて観ると見つかるのよね。そういう気持ちでいれば3文ならず、一粒の珈琲豆でも地面に転がっているのがみつかったりするの。あ、何をいってるんだか。言えたくちでもないわ。知ってるの。ときに俯いたまま沈むことがあるってことを。つい少し前まではは、沈んでマリアナ海溝未開の深海まで落ちていた口がよく言う。あぁうつむくわ」
翔子は珈琲カップを未だ宙に浮かばせたまま口から出るにまかせてうわずってから、言葉どおり顔に手を覆い俯いた。
「翔子さんは元気づけようとおっしゃっているのですわ、Mさんもお分かりかとおもいますわ」
 Xは無言で翔子にほほ笑んだが、すぐに得体のしれない不可解な塊を鳩尾のあたりに詰まらせたように、暗い顔つきになった。


いつ夜明けはくるんだろう
俯いた地面の果てから
くるんだろうか
僕はその果てに辿り着けるのだろうか
夜明けなんてあれは太陽がのぼるだけのこと
僕にはそんなしろものはきやしない
そんな悲しみは僕と夜露に預けて
何かしてもしなくても
ただ時を眺めやればほら夜は明ける

そしてやっぱりどうしたって心の闇には夜明けが来ない
いつまでたってもきやしない

待ちぼうける合間に僕は彷徨うよ黒い森
彷徨っていることなんて 
みないようにしてきたさ
だって空は青いから
黒い森からも空が見える
彷徨いなんて 
ほら生きることの一部だからね

空が仰げればそれでいい

その日はきっと魔がさした
暗黒の闇に落ちた僕の隙をねらっていたのさ
夜な夜な現れて
沼へと続く道に僕をひっぱった
気が付けば真っ暗闇で
空もなければ
木々もなかった


(君はあちらの道へ
花咲く道はあっちだよ
そこにも茨はあるけれど
やっぱり空は青いから

ここでも僕はきっと立ち上がり 
歌おう 君に歌おう 
森に光がさすまで)

■花と果実
「若さってそれだけで花ね。若さってものは失われて初めてその美しさに気が付くってものね。ねぇ、マスター」

数年前はその若々しい美しさで多くのファンをうならせ、「神々しいまでの美しさ」と、ファンを魅了した。そして今大人の魅力も加わったXがここにいる。



■外界への感度の高い人たち


 Xは珈琲の香を味わっては口に運んでいる。所作には品が備わっている。
「当たる人によってはとんでもない地獄を見ることだってあるのが人との出会い、それは納得だわ」
「擦り切れ摩耗して気

が付けばぼろ布になってる、そんなこともありますわ。ぼろ布さんはお疲れ様ってお礼を言ってリサイクルして新生することが断捨離の基本ですわ」
「芽衣さんたら」
「人との出会いが陰と出るか陽と出るか、さいころをふったような偶然性ではなく必然ではないかと思いますな。出会ったときの心の状態といいますか、自己認識の精度によるといますか。
 似たような状況に置かれてもご本人の状態で随分と過程も結果も変わるものです。わたしたちはなるだけ環境やら人様やらに影響をうけないようなぶれない軸というものを築いていくものですし、『自己責任』の名の元、環境のせいにしない自立精神を尊ぶものです。事に当たるにはそうあるべきと私も同感を示しますが、元々生来的に影響を受けやすい人もいれば受けにくい人がおりますな」
「環境に影響を受けやすい人、それって、HSPってひとたちでしょう?多分、それわたし」
「あら、わたくしもですわ」
「敏感さん、とか弱ヨワ星人とかそんな印象があるからあまり声を大にして言えない感じよね。マイノリティだし非HSPの最適ストレス値に標準があわさった社会で、ただ生きるだけで外界の田赤定値ストレスで息をきらす。まったく、余計に生きずらいけれどそんなこと言ったって理解されない。太古の頃は役に立ったこともあったのでしょうね、変化にいち早く築く、地震にも早く気付く、そんな外界へのセンサーの敏感さは家族や集団のサバイバルの役にたったのかもしれないわ。だけど、今は令和。文明社会で刺激過多で心身麻痺しがち。受難だわ」
「ブルーライトに目をそばめ、強すぎる紫外線でお肌はパンク、排気ガスに吐き気を催す。周囲の空気感へのアンテナは無意識に四六時中で、人といると神経系が過剰に動いてどっと疲れる。無意識への扉、呼吸コントロールは必須。一人の時間も必須。それなのに、寂しさにも敏感なのですわ。上司からの過ぎたプレッシャーを超えた叱責とノルマ、同僚の競争心や敵対心の設定は、非HSPさん方にとってもっともパフォーマンスをあげる強度ですから、わたしたちにはアップアップですけれど、マイノリティですから合わせに行くことが必要ですわね。何かと受難ですわ」
「本当に」
翔子と芽衣は互いに顔を見合わせてうなずいた。
「お二方、何をおっしゃる!才と表裏一体ですよ。HSPさんがたは、才の人ですよ」


『揺れに揺られてブランコだ
うごけば右に左に気分がわるい
じっとしていればとまるものの
僕たちは時々もがいて
絡まって
いよいよ揺れて
気分がすぐれない

あぁもういやだと逃げ出せば
宙を舞って地に落ちる』

■才能の光と蔭:クリエイティブな脳

「HSPさん方は感覚器官や扁桃体の過敏さが特徴なだけでなくミラーニューロンが多いのですよ。すると、学びには強くなる。
 共感力やら他者の動きを取り入れることにも優れていて、ダンサーならよく習い、俳優さんならよく役を自らに取り込んで演技に入り込む。人の心の動きにも鋭敏ですからね、人に寄り添うこともできる」
「カウンセラーや医師が適職って聞いたことあるわ。精神科医は共感しすぎたら一緒に病みそうだけれどね」
「いっしょになって病んでいたら、病気はなおせませんわね。ですけれど、一度かかった病気で克服に至ったのでしたら、とても良いお医者さんになれるかもしれませんわね」
「他にもありますよ。アイデア創出ブレインですよ。刺激が脳内に入力すると人の同はどのような刺激に対してどう反応や判断をするのか、入力された刺激が起こした感情をタグにして記憶の検索がはじまるのですが、そのスピードと量が圧倒的に多いのです」
「脳内をスキャンしますと、HSPの人たちは脳内全体が活性化して記憶の検索にあたるのですわ。ほら、翔子さん、例えば”雨”と言ったら何を思うかしら?」
「雨、そうねぇ、
 雨と言ったら北八ヶ岳山麓北の苔の森、
本当にうっとりよ、ジブリの世界、なんて評されることもあるとおり、生き物のひそやかな息づかいが感じられる神々の領域よ。苔レディなのよ。仏像レディでもあるわ。あら、レディなんてつけてごめんあそばせ、今日はXさんと出会ってレディー通り越して心はガールよ。
 それに雨と言えば、裸足で長靴はいたことがあってね、そのときに限って靴の中になめくじがいたのよ、あー、こんなことはどうでもいいわね、雨雨、雨で何を思いうかべるかしら、雨の言葉の豊かさって感動ね、日本に生まれてよかったって思うわ。慈雨の国よ。雨が森を作り出したのよ。雨を受けて育ったヒノキの国よ、ね、雨がどうかした?何を答えたらいいのかしら?」
「これがHSPですわ。ひとつの入力で過去の様々な雨にまつわることを思い起こすのですわ。翔子さんは雨を明るいものとして想起してくださった。記憶は感情でタグ付けされていますから、翔子さんは明るい感情を呼び起こす雨の記憶が検索されたのですわ」
「あらそうね。梅雨時のアジサイの美しさとかね、もうそんな記憶があふれてたわ」
「HSP的ですなぁ。一気に想起しますから、順序だてる必要はありますが、アイデア脳なのですよ」
「えぇ、ですから絵画や文芸のアーティストや芸人の方に多いですわね。発想力が生きるお仕事に向いているのですわ。ほら、クイズづくりで有名になった殿方もいらっしゃいますわ」
「それを早く知っていれば適職みつけやすかったのかもしれない。」
翔子は法律系の仕事をしていたが結婚退職した。曰く「逃げ婚」であったそうだ。仕事に生きがいを見出せなかったのだったが、そもそも生きがいを求めるという姿勢が強いのもHSP的であるといえる。
 「スポーツ選手でも多いですよ。テニスやら卓球やら反応性の高さと新しい状況の対処方法の検索が合わさって高いパフォーマンスを発揮していくのですよ。いやぁすばらしい」
「それって練習ありきよね。磨かないとどうしようもないわよね」
「ははは、確かに。闇もありますな。薔薇には棘がつきもの、なんていいますがどんな性質にも才能にも陰陽があるものですし、適用場所によるものですな。 

陰はときに陽と出て場面が変われば陰、そんなことはよくあることです。
 普段は素晴らしいスポーツ選手が、大舞台でうまくいかないことがあるのは、HSP特有の扁桃体の敏感さですな。緊張が高まりやすく閾値を超えてしまっていつもと違う動きになるのですよ」
「そうなんだ。納得」
「まだネガ側面はありますな。最も覚えてほしいことでもありますよ。ネガティブな検索を脳がはじめると、とまりにくいのですよ。いわゆるネガティブループに陥りやすいのです。嫌なこと、嫌な人が頭から離れない、過去に起きたネガティブなことをぐるぐると考えるだけで、そこに光明をあて解釈を変えることがなかなかできないことがあるのです」
「ストレスに弱いってことよね。非HSPが平気で耐えられるストレスで身動きとれなくなるってことあるのよ。いいように言えば、だから環境を快適にしたり視界負担を減らすようなインテリアやむしろ快をよびおこす創作に向いていたりするってことよね。で、つまりは不快に弱い」
「えぇ、人間は元からネガティブに注力が行きやすいですそうですな。やれ明日は嵐かもしれない、あの藪には泥沼があって蛇もでる、獣がでるかもしれないから警戒だ、そんな風にネガティブに気を配った遺伝子の生き残りがわたしたちというわけですからね。そうでしょう?芽依さん」

「あら、それはマスターが教えてくれたのですわ」

「あぁそうでしたか。中でも外界へのセンサーが高めの人がいる、HSPの人ですな。つまりは感情と記憶検索に関わっている扁桃体などの脳の一部が活発なのですな、ですからHSPの人はネガ情報の脳内入力があるとネガティブなことを延々と考えてしまうことが多い。すると使えば補強されるのが脳神経ですから扁桃体はいよいよ肥大化し、ネガティブなことを考える癖大きくなるのです」
「それ、まさに少し前までのわたし」翔子が挙手した。「ここに来るまでのわたしだわ。わたくし天塚翔子は扁桃体モスラーでした。
 不安やら恐怖やらで過敏状態とネガティブループの穴に入り込んで沈んでたわ。ねぇ地獄ってね、人の世にあるっていうじゃない?それもいろんな種類の地獄がある。わたしはそのうちの一個にいたのよ。 
頭は使えば使うほど発達する。
肌はかけばかくほどかゆくなる。
扁桃体も不安やら恐怖の刺激でどんどん大きくなる。
神経は軟骨と違って使えば強くなるみたいね、Xさん、わたしは博士じゃないのよ、芽依さんたちから教えていただいているだけなの」

「はい」Xは目を見開いていた。

「あ、素敵。おっと、心の声まで出るようになったのよね。で、神経は、一貫性は保ってても結果陰に出るか陽に出るかは対象でがらりと変わる。わたしは扁桃体モンスターになって、コルチゾールやらなにやらストレスホルモンたちがとまらないネガティブ沈鬱地獄で沈んでたのよ。小さな頃にね、地獄絵を見たことがあるの。近くのお寺でね、龍光寺とか言ったわ。故郷の観音寺の隣にあるお寺。そこにね地獄絵があって、お祭りになると見れるのよ。それは恐ろしいものだったわ。針山で歩く人、舌をきろうと追い回す鬼。業火に焼かれる人。わたがしを食べきれず手がドロッとしたのを記憶しているわ。いい子にしていたらここにはいかなくて済むなんて思っていたけれどね、いい子か悪い子か、何がいい子かも知らずにただ親の言うことを効くのがいい子だなんてどことなく思っていたのかもしれない、そんな基準でいい子割る子の2分をあてはめていたのも生き地獄への入り口ね。肉体苦も精神苦も痛みとしては共通よね。痛みがあっても心に希望があればそれは地獄じゃない。わたしが経験したのは、セロトニンが退散した地獄だったわ。あ、Xさん、ここにくると体内物質の名前がしょっちゅうとびかっているから極々自然になってしまったみたいなの。

セロトニンやらエンドルフィンやらが分泌がうまくいかなくなったからだから生きるこの世が地獄よね。いいかしら、地獄に生きる人間は、自分は地獄に行くほどダメな人間だと地獄にとどまろうとするのよ。

地獄から出ていい、そんな許可を自身に与えることが難しくなっているの。とんだ才能だわ。

 」
「翔子さんたら」
「実に地獄を見るのも才能ですよ」
「マスター?」
「そ、そんな顔しないでください。真面目に言ってます。才能です。大抵の人はいやなことがあっても気をそらして別ごとで楽しくやるものなんですよ。もしくはあいつのせいだ、なんて外に出してすっきりしてしまうものです。自分を不安にさせる問題がるとそれを他者にあるとして安心を得ようとする人もいます。自分を苦しめてまで考えないんですよ。それをずっと考える。少し形を変えれば立派な才能です。形は変える必要がありますよ。自己批判ではなくて分析改善と試行錯誤。たまには外部要因も考える、なんでも背負いこまない」


「やっとそんな程度には考えられるようになったわ。珈琲のおかげかしらね。なんて、怪我の功名で自己成長ってものかしら。怪我のまま消毒もつけずにさらに怪我を重ねてたいたものだわ」
「ははは、それをいやだといったって、生まれ持ったものですから受け入れるのがいい選択だと思いますよ。どんな性質にも光と蔭があるのですから、光っても時と場所によっては陰になり逆もしかり。
 アーティストタイプの人は、そんな脳タイプだって是非知っていてもらいたいものです。脳タイプという視点から己を知ることが今は可能となってきた時代ですな」

Xは珈琲カップを皿においた(※)かちゃりと音がした。珈琲店の音がした。

『才はもろはの剣
幼き心のやさしさは
あなたを慕う人にむけられて
あなたご自身に向かわなかったの?

まだ小さき頃に芽吹いた自制の知性は
ときに休む法など見つけることもゆるさぬこともありましょう

歓喜を知る身でありますから
必然 闇夜も深いのです
あなたの才はそこにあって
あなたに光と闇をみせるのです
そこからあなたはそっと離れて
眺めやる 
眺めやる』

■ありのままを受け入れてから始まるけど『ありのまま』ってなんですかという今更の問い

マスターは珈琲を入れ直す前にちょっと外に行ってくるといって店から出ていった。部屋は少し心許なくなり沈黙が続いた。

「ね、最近思うの。『己を知ること』、なんて昔っからの人のテーマだなんていうじゃない?アテネの信託だかなんだか知らないけどさ、」口火をきったのは翔子だった。


「『己を知る』って何のためかって考えることがあるのよ。だって、きりがないじゃない?己って何って考える切口もきりがないわ。で、ほにゃららの学校行って何が好きで何がきらい、そんなことも己のことだろうし、もっと拡大して、地球の生命体だし、動物だし人間だし女性性優位でボディーも女性、遺伝タイプはビッグ5ぐらいは調べられて神経症傾向が高いことがわかった、かかりやすい遺伝病も幾らか知った。で、それですべてがわかるなんてことは毛頭もなくてなんだか無味乾燥な死んだら灰の生命体のようで味けなくさえも感じたことがあったわ。

そしたら、自分のことなんて知る必要があるのかしらなんて思ったり、突然ビッグバンではじめは一つだったなんて考えると、宇宙のことだって自分のこと。じゃぁ息子ももう会うのもごめんこうむりたい元夫も大気も森林も自分のことになって、なんだかマクロかミクロかさえもよくわからない。そもそも宇宙は未知だらけ。わかったようで何もわかっちゃいないわけだけど、じゃぁそれはわたし一人のことを言ったってわかりはしないのだからどうしようもない、ならなんで汝を知る必要があるのかしらって思うわけ。
 でね、あー、これがわたしだ、なんて仮に悟ったような瞬間があったとしても世の中もミクロの世界も一瞬間と同じ姿ではないでしょう?自分も刻一刻と変わって同じところにとどまることなんてない。だからきりがない。それでも『己を知れ』なわけよね。古来から今の今まで言われているでしょう?なんで?って思ったの。でね、マスターの珈琲飲みながら、ここに来た理由もまだわからないながらも『己を知る』ことのメリットをそれなりに考えたわ。
 たしかにね、己をよりよく知れば会社でうまくやるとか、弱み強みを知って適職発見できる、とか実りあるパートナー選びができる、とか自分の取説知って機嫌よくいられるようにする、人間災害を防ぐ、とかね色々あるってわけよ。きっともっともっとあるのよね。氷山の一角。宇宙叡智のひとかけら。
 己の事と言ったって、『わたしは何者か』そんな問い方には問題があって、それこそ『何者でありたいか』って問うべきなのも大切だって、かねがねマスターが言うからまぁそれもそうね、って思うわ。
 それも『己を知る』だし未来の指針にもなるわけね。メリットだらけなわけだけど、なかなか己を知ることの有用性に納得しましたーとまではいかないの」
翔子は一息おいた。
「ふぅ。それよりなにより、『ありのままを受け入れるため』じゃないかって思うようになったのよ。ほら、『ありのままで~』って世界的なはやりだったわね。今でもありのままでいいって歌でもネットでも本でもよく見聞きするわ。

 で、ありのままが何がいいかっていうと、今に存在してただあるだけの状態で幸せなことを実感することなんだろうし、それにはありのままで誰もが尊い存在よ、ってマスターが喜びそうな思想があるのだろうけどね、それって己を知らないと得られない境地だって思うようになったの。ありのままを受け入れようと思っていたって、自分とは違うのに自分をありのままの自分だって思って受け入れようとしたって、それは偽りを自分だと思うことでしょう?ありのままを受け入れることにはならない。ややこしいかしら?」
「なんとなくおっしゃることはわかりますわ」
「あのね、『ありのままでいい』『ありのままがいい』で、いったい全体『ありのままってなによ』ってところに疑問が出ているように思うの。わたしだけじゃなくってね、多くの人の胸の中に生まれてる疑問ね」
「うふふ。わたくしも思いましたわ。ありのままって何かしらって。細胞で構成されていて、遺伝子の発現によって生命体を維持してるってことかしら?ホモサピエンスをしていて、たまに陥穽に落ちてまた出て天を仰いで希望することがある、それでいいってことかしら。きっと。『いい部分もダメな部分もそのままでいいのよ、ジャッジいらないわ、目標がなくたって見失ったって、きらきらと向かっていたって地獄にいたって天国にいたって日々平穏無事にありがたい気持ちを抱いて暮らしたって、先を目指す高揚に生きがいを感じたって、ときどき夜な夜な星と月だけが語り相手の時間があったって、ありのままであなたは素晴らしいのよってとこかしら。ありのままって、ほんとうに何かしらね。あ、ごめんなさい、わたくしもここに来て以来よくお話しするようになりましたの」 

■知識の洪水の中から見つけるキーワード

■うつろい花と実「」


■年齢論

◾︎洗脳論
◾︎依存論

■珈琲のうたかた
■ぼくはだれだっ

って、僕はぼく、ですね(˶ˊᵕˋ˵)

ここから、Xさん中心軸が増えてく
■HSP論

■サラッと日本は世界から見たら→2と3


■芸能ってなにだったかし

◾︎りなちゃん登場
「こういうことね。これが芸能の人。
いるだけで華やかになって、なんだか特別な気持ちになって、高揚がある。
有名な何かに触れたようで、それから背筋がのびずにはいられなくなる

何言ってるんですか!!
えっくさんですよ、当たり前でしょ?
特別も特別、(特別についての記述も、きえた?)超ウルトラハイパースーパー超人なの!
」「うんうん」「うふふ」「あはは、光栄です」
「光栄?こっちがよ、こっちが光栄の至の至り

未来の夢の部分、
こら見てください( ̳- ·̫ - ̳ˆ )◞❤︎ゴロにゃん見てみてんあっふーん⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝♡⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝♡⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝♡⸜( ˶'ᵕ'˶)⸝♡
これぇ、あなたがのってるから、へべれけになって読んだの

◾︎虚
はじめの頃は純粋にたらだ嬉しくて、ファンの方がきゃーと言ってくださったりすると、感謝でした。
「そりゃあ、そうでしょう。もてたい、尊敬されたい、愛されたい、人間そんな欲求がだれしもあるものです。そして殆どの人はどれかで思ったほど上手くは行かず、あれこれ悩んだり研究したりしているものではないでしょうか。
 足るを知り、現状でよしとすれば、まんぞしんぽ見られません

「なにもかもが幻と言ったって、痛いものは痛いです、美味しいものは美味しいです。温かい繋がりは癒しをもたらします。」

■メメントモリよりも僕は生を想うこと生を肯定して生を楽しむこと

「ここでいさせてもらって、僕もちょっと哲学者になったみたいです。中世にはメメントモリといって、死を想うことで日常で不満をもたらすような欲から離れるようにいったといいます。
 教会の権力、体制維持に利用されたこともあったのだと思いますが、きっと人の苦を和らげようとして生まれた言葉なのでしょう。人はバイアス


 きっと中世の頃には人の幸福に役だったのかもしれません。



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