中国シャドーバンク大手、中植の破産申請解説 シャドーバンクとは?
概要
中国のシャドーバンキング部門の主要企業である中植企業集団の破産は、誤解されがちな金融分野の安定性とリスクについて重大な懸念を引き起こしました。ブルームバーグによると、経営難にあえぐ中植企業集団は、364億ドル(約5兆4000億円)の資金不足に直面し、「深刻な支払い不能状態」にあると投資家に説明しました。この状況は、同社が資金繰りにいかに窮しているかを示唆しています。
中植は22日付の書簡で、流動性が枯渇し、資産売却から回収可能な額も少ないと明らかにしました。この書簡はブルームバーグ・ニュースによって確認されています。中植は傘下企業が組成した高利回りの信託商品で支払いが履行されず、8月に懸念が表面化しました。この資金難は、不動産危機と景気低迷に取り組む当局者の課題をより困難にしています。
会計監査によると、中植の負債総額は4200億-4600億元(8兆8000億-9兆6000億円)に上ることが判明しました。これに対し、資産は2000億元しかないとされています。同社は創業者の解直錕氏が2021年に死去し、幹部が相次ぎ退社したため、内部管理がうまくいかなくなったと書簡で指摘しています。「自己救済」のこれまでの取り組みも期待通りの成果には結びつかなかったとされています。
シャドーバンキングとは
シャドーバンキング(影の銀行)とは、従来の銀行制度の外で活動する非銀行金融仲介業者の集合を指します。これには、銀行が提供するような伝統的な金融サービスに似たサービスを提供する機関が含まれますが、これらは通常、銀行業務に対する規制の範囲外で運営されます。
主な特徴は以下の通り
規制の枠外での運営: シャドーバンキングシステムは、一般的な銀行業務の厳格な規制から逃れて活動します。
金融サービスの提供: シャドーバンキング機関は、ローンの発行、資産管理、投資商品の提供など、多様な金融サービスを提供します。
リスクの増大: 規制の不足により、これらの機関は高いリスクを伴うことがあります。これは、金融市場の安定性や透明性に影響を与える可能性があります。
経済成長への寄与: シャドーバンキングは信用供与と流動性の提供により、経済成長に寄与していますが、2008年の金融危機以降、そのリスクが注目されるようになりました。
シャドーバンキングでは、銀行が提供しない、あるいは提供できない種類の金融サービスが行われます。例えば、ある不動産会社が大規模なプロジェクトに資金を必要としている場合、銀行からの融資が得られないか、条件が厳しい場合があります。このような状況で、シャドーバンキング機関が登場し、不動産会社に直接融資を提供することがあります。これには、高利回りの債券の発行やプライベートエクイティの形成が含まれることがあります。こうした活動は、銀行システムの規制を避けながら、市場の異なる部分に資金を供給することを可能にしますが、規制の緩さからリスクが高くなることもあります。
シャドーバンキングは、世界中の金融システムの重要な部分を形成していますが、その活動はしばしばリスク管理や市場の透明性に関する懸念を引き起こします。そのため、規制当局はシャドーバンキングの監視と管理に注力しています。
植企業集団(Zhongzhi Enterprise Group)
2011年に設立された中国の資産管理会社で、北京に本社を置いています。同社は主にメディア・エンターテインメント、インターネット関連サービス、製造、ヘルスケア、金融サービス、IT、物流などの分野に焦点を当てて活動しています。中植資本(Zhongzhi Capital)は、中国の国内民間エクイティ企業としては2015年に18番目に大きいと評価されており、様々な取引や投資を通じてその事業を展開してきました。しかし、最近では同社が重大な財務問題に直面しており、中国の金融規制当局による調査も行われています(出典: ウィキペディア)。
最新情報入り次第都度まとめます。
参考記事
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