一日ってこんなに長かったっけ

 JR京都駅のホームで檀家(注:騒音寺の常連をこう呼ぶ)ふたりに出会ったところから始まった昨日の滋賀遠足は何から何まで楽しくおもしろく、理想的休日だった。
 長くなるので前半のグルメツアーについては簡単に述べることにするが、近江牛をお手頃価格で提供してくれる【ますざき】からのスイーツ番長にとっての理想郷、たねや&クラブハリエ発信の【ラコリーナ】と巡り、本来の目的であるライブ前にお腹だけでなく胸もいっぱいになり、もう帰っていいかな?とすら思ったくらい。

 しかし、行ってよかった。酒游舘は酒呑みと音楽好きの理想郷だった。

日時:2022年10月16日(日) 
会場:酒游舘
登場人物:Mr. ワリコメッツ、‪THE HillAndon‬、騒音寺、リクオ

 酒游舘(「遊」ではなく游、「館」ではなくスノーマン・ダテ様の舘)×RAGGで出演がMr. ワリコメッツ、THE HillAndon、騒音寺、リクオ。これ演者も客も主催者も酒クズの集まりでしかないよなあと予想して行ったら予想以上にヒドかった(笑)
 私も流れに乗って日本酒デビューを遂げてしまう。地酒というのか?あまりに滑らかで美味しく、良質な音楽のお供として最高。これがあんた、信じられないことに1ドリンク代でおかわり自由なのだ。車の友が「私、お茶2本で1200円だった」と言っていてなんか申し訳なかった。

 酒游舘は蔵を改造してライブ仕様にしているが普段は主に弾き語りとかアコースティックのバンド主体なのであろう、会場に椅子が並べてあった。あったが、トップMr. ワリコメッツの客は意に介さず、バンドが登場すると同時に次々と立ち上がり、モニターがフロアとの境界線な海抜ゼロステージ前に文字通りワリコメッツ(すまぬ)。客かスタッフかわからないコアなフリークスを中心に初っ端から揺れまくるフロア。
 滋賀でのライブは初めてというMr. ワリコメッツ。意気込みが伝わる。ここ最近、いつ観ても今が旬と思わせるステージ。誰が、というのではなくてメンバー全員、一回ごとのステージを大切にしていて、そこで得た何かが次のステージで同じ熱で発せられるような感じ?だから延々旬が続いてるのかな。どんどん新曲が出てくるのがその証拠で、ちょっと間を置いてのライブとなるといきなり知らん曲がある。それがまたいい曲やねん!

 続きまして‪THE HillAndon‬。3年くらい前かなあ、しのやんにワリコメッツとヒルアンドンの対バンしてほしいとリクエストしたことがある。ついにそれが叶った。滋賀で(笑)
 トイレ行って帰ってきたらちょうど達郎が音出し始めたところで、後ろの方で聴くギターの音はなんと言ったらいいのか…高い天井に吸い込まれるような、包み込まれるような…最前列に入れてくれたHill'sの気持ちがありがたかったが、本番は一旦後ろで聴いてみようと下がった。そしたら、1曲目が「ラブやで」。おそろしい酩酊感。達郎の真骨頂。言うとくけど、このへんはまだそんなに呑んでなかったよ(言い訳)。
 サポートドラマーはお馴染みすぎてメンバー感漂うハヤトくん。この人の凄いところはサポートと思えぬレパートリーの豊富さ。前回のワンマンを準備期間2〜3日で完璧に仕上げてきたのでもわかる。ハヤトくんだからこういう系セットリスト、というマンネリがなく、毎回どんな曲が来るのか楽しみ。
 昨日はお初の客も多いと予測できたはずだけど、決してテッパンメニューではなく「It's So Fine」や久しぶりの「雨を受け入れる」「ハワイいきたい!」そして最後は初期の名曲「Magnolia」でトドメ。遊び心ふんだんな流れ。
 「Magnolia」よかったなあ。英語がかなり混じっている歌詞だけど、曲の持つ力と演奏となんと言ってもコージローくんの歌がね…内容がわからなくてもみんなの心に直接届いたのではないかなあ。

 騒音寺のころにはナオユキさんのネタに出てくるような酔っぱらいが多数出現していて、まあ私もその一員だったことは否めないが、前の方は完全にソーシャルディスタンスの尺が狂ってた。なべさん近っ!(笑)

 だいたい衣装がですね、私のなべジャンプスーツトップスリーに入るくらい好きなタイガーだったし「I live for Rock」始まりは完全に反則。いきなりギアマックスになるやん。私が。バンドの演奏が素晴らしくてテンションが上がる通常パターンから逸脱し、なべさんが登場した瞬間からパーンと何かが弾けた。
 途中思わぬハプニングもあったが、多少中断してもそれがワタル王子のお直しコーナーとしてライブの流れの中で成立していたくらい熱量が収まることがない。こういうところ、騒音寺がライブで培ってきた対応力の凄さ。

 日曜日だから「星の降る夜」聴けたの嬉しかったし「尻を出せ」ではなぜかなべさんにイジられたけど(後で謝られた笑)なべさんもそうとう楽しかったんじゃないかな〜。歌ってる途中で大笑いする場面もあった(サトシのせい笑)。
 「Long line」「ロックンロールバカ息子」「あほうな仲間」「乱調秋田音頭」など矢継ぎ早なベストヒット連打に狂いたぎる檀家ども。ああこれコロナがなかったころのライブハウスの光景だ〜!と思った。騒音寺の底力を見せつけられたようなライブだった。

 さて、酒游舘には普通のライブハウスやバーのようなお店では見られない凄いブツがある。それはグランドピアノ。リクオのライブ何回も観てるけど、グランドピアノは1月のなんばハッチ"HOBO CONNECTION FESTIVAL"しか記憶がない。グランドピアノってそこにあるだけで厳粛な雰囲気を醸し出す。
 普通あんだけ盛り上がった後にひとり弾き語りで出るってやりづらいと思うのだが、リクオ、そこはさすが。騒音寺がやり散らかした空気を柔らかなピアノの音で鎮めつつ、呂律のあやしい酔いどれMCを繰り広げる。
 まずはソロ曲をしっとりと。コロナ禍にできた曲いい。ピアノの音めっちゃきれいだなあ…なんであんな酔っぱらっててあんな美しい旋律が弾けるんや?(笑)
 その後ハヤトくんを呼び込む。「アイノウタ」いつもリクオが前に出てきてアカペラで歌うところ、なんとハヤトくんまで前に出てきてめっちゃ笑ってしまった。特大サービスやん!2人だけでこんな楽しい瞬間を生み出せるのほんま凄いなあ…これだけでも大喝采やったが、この後出るわ出るわ、セッションやりまくり。

 まずは‪THE HillAndon‬と「光」。イントロ、達郎にソロを促すリクオ。「やらしいね〜」うん、わかる(笑)そして、天与の声を持つコージローくんがコーラスというこの上ない贅沢。
 前に彼らのライブにリクオがゲスト参加することがあって、そのときはリクオがお父さん目線というかいっちょひよっこを盛り立ててやろうみたいな雰囲気が濃厚だったが、昨日感じたのはもう完全に対等なミュージシャン同士として相対しているなあということ。リクオは‪‪THE HillAndon‬の成長をつぶさに感じ取って、放蕩息子たちの方は自信が出てきたのかな。それがとってもよかった。
 その次が神コーナー。なべさん登場。ふわ〜ヤバい。衣装がダダに変わってたけどそれでもカッコいい。ここ、昨日の私的ハイライトでした。リクオのピアノをバックにロックスターが「ロックスター」を歌ってる…!尊すぎる。全世界になべさんしかいてないみたいな感覚に陥った。ふと横を見れば一緒にかぶりつきにいったサトシがおんねんけど、そっちの方が幻みたいやった。はあ〜ほんまカッコよかった。以上!

 最後は騒音寺と。コージローくんも出てきてリクオのロックンロールナンバー連打。コージローくんとなべさんが並んでるの見るだけでおばちゃん感涙。騒音寺、演奏がんばってたよ!ね、タムちゃん!
 リクオのお客さんに引かれてなかったらええねんけど、こうなるとみんな席立って前に押し寄せるわな。だって楽しいし!リクオのピアノだけで踊れるし!フロアにいるみんなと分かち合いたいし!
 リクオという人は音楽大好き人間なのが溢れ出てるけど、それ以上に音楽を通じて人とのつながりを大事にしているのではないかなあ。最後がRCサクセションの「いい事ばかりはありゃしない」だったのも、今生きている私たちをあの世につなげてくれる選曲だった。代わる代わるボーカルをとる中に、配信で知ってたけどタムちゃんまで歌ってて微笑ましかった。そして「またいいバンドに出逢えた」と紹介されたワリコメッツ・エイジくん。優勝だった。きっとRC好きなんだろうなと思った。歌詞を替えて今ここの歌にしてくれたのにもグッときた〜!

 終わってまだ7時だったけど、周りは早くも店じまい。近江八幡の夜は奈良よりも早かった。
 酒游舘の昨日の分のお酒はなくなり、私の脳みそも空っぽになり、肝臓は息の根を止められたが心は満たされていた。
 コージローくんに「タカコさん、note書いたらええんや〜」と言われて気づいた。そうだ、昨日のような日は出演者それぞれのライブがよかったのももちろんあるけど、酒游舘という場所、しのやんのブッキングから客から全部ひっくるめてあの感じになったんだよなあ。ツイッターでポツポツつぶやくよりまとめて残したいな。
 東京の檀家に1年ぶりとかで会えたり、いつもワリコメッツのライブにいるあの子が変わらずいたり、ライブ猛者なあの人が運営を手伝っていたり、10代のころの憧れのギタリストが遊びに来ていたり。いろんなものがつながった日だった。

Jumpin’ Jack Kojiro Flash!
ロックスター
エイジくん優勝!
出逢ってほしかったふたり。めっしと達郎

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