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【出産記vol.2】波乱万丈なお産!助産師として、女性として。 命を産む力が誰しもあると気が付いた

さて、お二人目にお話を聞かせてくれたのはBABYBOOTH東京をご利用してくださった川原さん。
ご自身も助産師をなさっているということで、非常に冷静かつ、鮮明な出産体験を語ってくれております。
まさか!と5回ぐらいは言いたくなるような出産体験記。
今回も、インタビュー&文章はライターの齊藤美結さんにお願いしました。

出産体験記VOL.2

ひとりひとりのお産の話は、
そこら辺のドラマよりおもしろいんじゃないか。
それぞれで短編映画ができるんじゃないか。

そんな風に感じた、川原さんのお話。
川原さんは3歳の娘さんのお母さんでもあり、
助産師さんでもある。

劇的で、ドラマチックで、波乱万丈。
そんな言葉が、彼女のお産にはぴったりだ。
だからこそ、1分1秒が刻々と、思い出に刻まれる。

命を産むってのは、そう簡単じゃない。
泥臭くて、必死で、無我夢中で。

だからこそ女性にとっては人生の中で最も鮮明に残る、
記憶の一つになるのかもしれない。

“私たちは、その記憶の中に生かされている”
そんなことを、ひしひしと感じる時間だった。

波乱万丈なお産体験。
だからこそ、鮮明に語れる記憶がある。

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―早速お産のお話を聞かせていただきたいです。
産まれた日が36週と5日だったんです。5月16日が予定日だったんです。

―早かったんですね。
4月22日の朝型に前駆陣痛がきたんです。あ~これやばいなと思って。 
でも、私妊娠中に野望があって。

―野望、気になります。
産む前に絶対エマ・ワトソンが主演の「美女と野獣」を、映画館で絶対見たいって思ってて。

―なるほど、いい野望です(笑)
このまま産まれたら、新生児連れていけない!と思って。
自分で「前駆陣痛だな」ってっ確信して。その日に映画館に走ったんですよ。

―すごい、行動力です(笑)
主人を見送った後、8時9時くらいに、お印が出てしまって。
実家に一回逃げ込んで、様子を見てたんですよ。
でも、やっぱり、やっぱり見たいって思っちゃって。

―あはは。執念ですね(笑)
必死で近くの映画館のタイムスケジュールを確認して。
母と18時からの回に行ったんです。それで、ちゃんと2時間くらいの映画を見れたんですよ。

―ぎりぎりセーフでしたね、こちらもハラハラしました。
ちゃんとストーリーも頭に入っていたし、これは大丈夫だと。
痛いは痛かったんですけど、たぶん陣痛じゃないわと思って。
で、そのまま帰路についたんですよね。ただ6分間隔くらいでの陣痛来ていたんですよね。
でも、痛くても全然LINEも打てるし、家事もできたんです。

―そんなに痛くなかったんですね。
なので、「痛そうにしてるか、客観的に見てみて」って、主人に言ったんですよ。
「今張ってたんだけど痛そうだった?」って主人に聞いたら、「そんなことないよ」って言われて。でもそのうちに、5分間隔になって。「うわ~間隔短くなっちゃってるな」と思って。

―臨場感がすごい、、ドキドキです。
でも、36週目で臨月はいったばっかりだから、産んじゃいけないはずなんです。でも、念のため病院に行ったほうが安全だなと思って。子どものためにも。これで生まれちゃったら何かあったらよくない、と思って。
それで、病院に電話したら、「とりあえず来てみたらいいんじゃないですか~」って言われていったんですよ。

―念のために行かれたんですね。
はい。夜の22時くらいに、診察にいったら3~5cmくらい子宮口が開いていて。「あっちゃ~これ陣痛来てますね、入院です!」って言われて。

―そのまま入院とは、、劇的です。
「5cmも開いてるってことは、突然進んだら怖いから、なんかあったらすぐに呼んで!」って助産師さんにも言われて。で、寝よっと思って。個室で寝ていたんです。
このことをLINEで報告したら、助産師仲間からは「どっひゃ~!」ってなっちゃって。(笑)

―さっきまで映画観てたのに!?と。
そうです。「さっき美女と野獣観てたって言ってたじゃん!」ってなって。(笑)

―私も驚くと思います(笑)
そんな風にしながら、4分間隔で陣痛が来ていました。「痛いな~」と思いながら、うとうとしてたんです。そしたら「どかん!」って何かが出て。

―どかん!と。すごい表現です。
でもその時はまだ、陣痛がなくなることを祈っていたんですよ。
それくらい陣痛がいたくなかったので。遠のいてくれって願ってたし、大丈夫だと思ってたんです。破水しちゃったって思った瞬間に産むって思って。

―覚悟ができたと。
もう、子宮口が9㎝空いてたんですよね、その時点で。
「えこれで、9cm?」くらいの痛みだったんですよ。なんならスキップして(笑)
私が見てきた産婦さんはもう叫んでいる段階なんですよ。「いた~~~~っ!!」って。

―想像していたのと、違ったんですね。
助産師さんに背中をバン!って叩かれたと思ったら、違ったんですよね。
太もものあたりが、じわあってあたたかくなって。あっ破水したって。

―ついに、分娩室へ。
はい。もう立ち会わないから、主人とバイバイしたのが夜中の1時半くらいでしたね。
私のイメージでは最後までいきまないでいくのかなと思ってたんです。
「上手上手~それでいい~!!」って助産師さんは言ってくれて。

―このまま、いきむのか、いきまないのか、気になります。
となりのお部屋の声が聴こえてきて。その方がすっごい高い声で、「きゃ~~~!」って(笑)
その時点ですごく痛くなってたんですけど、職場にいる気持ちになってしまい、すんって冷静になっちゃって。冷静に冷静に、って言い聞かせて。

―そんな時でも「助産師」のご自身が出てきちゃったんですね。
はい。でももう、下に(赤ちゃん)をとりあえず押し出したくて。どうしたらいんだろうって頭の中でずっと考えてたんです。で、思いついたんです。

―お、いい案を思いついた、と。
「あっ、野獣になり切ればいいんだ」って。

―そういえば、ついさっき事前学習済みだったと(笑)
はい、活かされました。(笑)
隣では甲高い声で「きゃあああ」って聞こえてるんですけど、
わたしは「うぉんんん」って野獣のようにいきんで(笑)

―ストーリーの伏線がすごいです(笑)
ここで役に立つとは、と思いました(笑)産む実感が全然なくて。「本当に進んでるんですか?大丈夫なんですか?」ってずっと言ってたんです。

―半信半疑でお産を。すごいですね、意識がとってもしっかりしている(笑)
「大丈夫よ!」って言われた瞬間に背骨に激痛が走って。
背中の骨盤がごりごりごりって言って。多分子どもの頭が進んでる感じで。
臓物がぜんぶ出てくる感じで、ずるずるって産まれました。

―無事にご出産。よかったです。聞いているこちらがハラハラドキドキでした。
で、赤ちゃんを見て、助産師さんたちは「ちっちゃいね、大丈夫かな」って言われてたんですよ。もちろんそちらも心配ではあったんですが、そのあとの胎盤をはがすときがもう本当に痛すぎて。

―胎盤が痛いって聞いたことあまりないです。
胎盤をへその緒でひっぱるんですけど、胎盤をはがすときの痛みが痛すぎて。
ふつうはお産を終えて10分くらいすると自然にはがれるんですよ。でも私の胎盤さんは全然はがれてくれなくって。たぶん産んだってことを気づいてなかったのかもしれません。(笑)

―秒刻みでそんなに覚えてらっしゃるんですね。
いや、それが助産師さんがモニターを持ってきて、振り返りをしてくれたんですよ。
(わたしが)助産師だから、という気遣いから、すごい熱心に事細かに教えてくれたんですよ。(笑)すり合わせちゃったんですよね(笑)

―同業者ならではの(笑)

お産へのパッションをぶつけてくれました(笑)「ありがとうございます」っていうかんじでした。おかげさまで私の傷はほぼほぼ無くて。

―お子さまも頑張ってくれたんですね。

そうですね。ちびすけだったこともあったと思うんですけど。
ちょっと期待して、胎内記憶があるかなと思って聞いたんですけど、全然覚えてなかったですね(笑)

助産師として、女性として。
命を産む力が誰しもあると気付いた経験。

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―何百人のお産を見られて、自分がお産をするってなんだか不思議な気分になりそうです。
ひとつ思ったのは、助産師になりたての頃は、「自分がいいお産にお手伝いをしよう」って思っていたんです。「人間って産めるんだ」と思ったんです。助産師がお産をとりあげようなんて、おこがましいと思って。「産める力」を伸ばせられれば、あとは赤ちゃんが生まれるのを受け止めるくらいでいいなって。

―受け止める立場としての助産師でありたいと。
今まで自分が分娩の時には、パワーが漲ってた感じだったんですよ。「産ませるぞ!」って。
でも、私でも産めるならみんな産めるじゃんって。私153センチしかないんですけど、そんな私でも産めるじゃんって思いましたね。

―ご自身で経験したから、気づけた感情ですね。
下から通るのがお産なわけではなくて、どういう手立てでもいいじゃんって。お産への考え方がもっと軽い気持ちになった気がします。

―助産師としての意識も変わられたんですね。「命を産む」自体も意識の変化がありそうです。
そうですね。誰にも教わるわけでもないのに、勝手に人間として育っていくこと自体も面白かったです。陣痛って赤ちゃんが出たいって合図っていわれてるんです。
3キロくらいの赤ちゃんが筋肉をくぐりながら出てくるって、拷問じゃないですか(笑)

―たしかに、よくよく考えたら、不思議です。
習ってないのに出ようとして、産まれて、生きていく。
本当に不思議だし、おもしろいなあと思います。
一層仕事が好きになったなって思います。

―もともと助産師になろうと思われたきっかけは?
理系だったけど、頭が悪くって(笑)でも医者は無理だし、、とおもってたら、職業体験でお産を見せていただいたのがあって。助産師は女ができる仕事の最高峰じゃん!っと思って。中高女子校なんですけど。私はまず体格が小さいし、男性には体格ではかなわないなと分かっていたので。女の業界の中で女性のために還元できるじゃんって。かっこいい~!みたいな(笑)

―かっこいい!と思われる感性が素敵です。
なんかビビビッてきちゃったんですよね。女性のために女性にしかできない仕事って最高!メラメラ!って思いましたね。

―お産という行為自体も女性しかできないことですよね。
たしかに。そうですよね。女性だけで産む場合も、立ち合い分娩で産む場合も、どちらもわかるなあと思います。一緒に力合わせて産むっていう、産むためのパワーになるのであれば立ち合い分娩という形もすごく理解できるなと思います。

―立ち合いであっても、ひとりであっても、女性にとっては、お産は一生に一度の大切な思い出なんですね。
うんうん、たぶん、女性とっては一生忘れないと思います。

―ここまで一連のお産の話が面白すぎました。(笑)母親にお産の話を聞いてみようかな、、。
ぜひお母さまに聞いてみてほしいです。ベテラン助産師さんも、20歳くらいのお子さまのお産の話は、いつ聞かれてもすぐに話せるって仰ってました。

―日本でも18歳になったらお産の話を母親に聞く文化ができたらいいなと思いました。自分の命に対しての意識も変わりそうです。
それはすごくいいと思いますね。

―ひとは知らないことに対して不安を抱いてしまいますし。
確かに。そういう意味ではうちの家ではオープンに話してくれる環境があったので、助産師を志した影響もあるかもしれません。

―そういう意味ではBABYBOOTHの写真も、一緒に一度のお産をお子さまと思い出すきっかけになりそうですよね。
たしかに、たまに見返して話せるきっかけになるので、いいなあと思います。兄弟ができたらその成長を記録したりもしたいなとも思いますね。

子育ては、発見だらけ。
新たな世界が生まれていく。

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―お子さまが生まれてから、色んな事が変わりましたか?おもしろいと思うこと、とか。
全体的に言うと、世界が狭まって、変わったって感じですね。おもしろいカタチに変わったなって。でもそれは窮屈じゃないんですよね。ちがう環境に飛び込んできた。

―もう一つの世界にジャンプしてきた気持ちなんですね。
そうなんですよ。新しい発見もあるから、子どもがいる生活がやだなっていうよりは、日々おもしろいこと発見していくのが楽しいですね。

―そういう気持ちになれるのは、環境のおかげもありそうです。
本当にそれはそうだと思います。実家が近くにあって、孤独になり切らなかったんですよね。子どもがまだ言葉が分からない時期って長いじゃないですか。

―会話できないと、意思疎通できないですもんね。
そうすると、価値観も狭くなったり、イライラの沸点が低くなっちゃうんですよね。寝ていいよ、とか分かるよって言ってくれる母や兄弟がいて。許してくれる環境があるっていうのは、本当にありがたいなって。でも、子育ては本当に楽しいですね。

―もともとは丸だったものが、今ではしゃべって、はしって、生きている。不思議ですよね。
本当に不思議でおもしろいんですよ。これが。

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お産という一生に一度の時間。
初のお産は、誰しもが体験したことのない、チャレンジともいえる。
そんな中で、交わした言葉、感じた感情、見えた景色-

何にも代えられない、誰ひとりとして同じものはない、
唯一無二の記憶ともいえる。
わたしたちはその記憶の中から「生」を受けている。

ただ、そのことだけでも、心に携えておけたら。
今より少し、自分という存在が、
愛おしく思えたりするのかもしれない。

(インタビュー・文章/齊藤美結)


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