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floating in the ___

雨が降っている。
いつも通りなら、きっと止むのだろう。
憂う必要もない、もし、いつも通りなら。
永遠に続くことに想いを馳せる。
終わり無きものに。

変わらないものなど、あるのだろうか。
君はちょっと眉間に皺を寄せた後、ふっと笑ってこう言った。
「悔しいけど、変わらないものなんてないことが、唯一、変わらないものなんじゃないかな」
喧嘩をしたことがない、そういえば君とは。
こうやっていつも、さらっと僕を包括してしまうんだ。

寂しいと思う、この感情はどこから来るのだろう。
静かに、そっと、すぐそばに君が居てくれたとしても、それは消えやしないんだ。
「全ては繋がっていることを忘れないためにあるんじゃない?」
説得力のある、君が言いそうな言葉が、ふと、僕の脳内を駆け巡る。
相対性を知るためだけに、差異が生まれたのだとしたら、些か癖の強い神であろう。

「例えばさ、例えば、私がここにいなかったとしたらどうする?ファイトクラブのタイラーみたいに」
ちょうど一週間前の二人して眠れなかったあの夜に、君はそう言った。
「つまり、他から見れば、僕は愚かな道化師みたいってことだよね?」
適切な解もわからぬままに、僕の口からそんな曖昧な言葉が出た。
唐突な君の質問は、どこかいつも、君がそこにいて、僕がここにいることを教えてくれる。

「何か」が、僕らを動かしている。
認識することはできるのだろうか、その「何か」は。
濡れた、僕の目に映るその君の髪の毛は、濡らされたのか、濡らしたのか。
「ねぇ、たまには私の髪、乾かしてくれてもいいよ」
ノイズ越しにする君との会話は、僕たちのだけの世界だ。

はっきりとは分からない世界の中で、一体僕らはどこに流されていくのだろう。
一つ言えることがあるとすれば、それは、僕のこの目には君が映っているということ。
不確かな世界で、君がもしファイトクラブのタイラーのように実際には存在していなかったとしても、僕の中では確かに在り、この手は君の髪を乾かし、この胸は君に愛おしさを覚えている。
屁理屈だと言われても構わない。
本当のことなんて、全て「何か」の掌の上の話なのだから。

毎日繰り返す日常の中に、そこに、意味や価値などあるのだろうか。
見つけたいと願うこの気持ちは、ある種の反逆なのだろうか。
矛盾を抱えて、生きているのか死んでいるのか分からない、この時の間を漂うことが、運命なのか。
珍しい花を、君は持って帰ってきた。
もうすぐ、いつもと同じでいつもと違う夜がやってくる。

優しさは、彩。
由々しきことは、己の底知れぬ欲望。
喜びを形作るのは、一体なんだ。

ライトを消した。
凛と輝く月が、窓越しに見える。
「ルナは私たちを見て何を思ってるんだろね」
レースがふわりと風に揺られた。
「路上に咲いてたの、あの、名前もわからない花。ダメだと思ったんだけど、思わず連れて帰ってきちゃった。でもね、でも、なんでだか私もわからないの」

忘られぬこの鼓動が、この胸にある限り、それは、確かに、僕の中では存在したとすること

んー、そうだな、それを、生きたと呼んでもいいんじゃないかと思っている。


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