見出し画像

2023年放送後記②「ソロ特集を振り返って」

 第2回目の放送後記は、2023年1月に3週に渡ってお届けした「ソロ特集」について振り返ります。

■放送曲リスト(2023年1月放送回)

※表中の黄色の色付け部分は、現在も購入可能なCD収録曲です。

― 今回「ソロ特集」ということで、お三方それぞれのソロ曲のみを15分の番組で放送するという試みでしたが、企画に至った理由を教えてください

もも:2023年になり新たな年を迎えるという事で、今までやったことのない企画をしてみようと思いました。そこで、今回は3週連続のソロ特集で、少年隊のお三方それぞれの歌声の魅力をお届けしたいと考えました。

ー それぞれのソロ曲の選曲はどのように決めたのでしょうか

【1/12 錦織さん回】
もも:
錦織さんの回で特に意識したのは、曲のジャンルの幅広さです。
若い頃から比較的難しい曲調を、"難しい事をやってます"という感じに見せずサラッとやり遂げてしまう(裏ではものすごく努力をされていると思うのですが、ステージ上ではそう見せない凄さ)という事も、放送を通じてお届けできたら良いなというこだわりがありました。
 
 2曲目の「ルール-歯が痛い-」は初期の頃の楽曲ですが、音の並びに高低差がありリズミカルに歌うのも難しい曲だと思います。この曲を錦織さんに歌ってもらいたいと考えたディレクターさん(ちなみに、このアルバムに収められたお三方のソロナンバーは錦織さん曰く、”歌わされた”との事ですが…)は、錦織さんの実力を見込んでいらしたんだろうなと感じます。
 なお、この曲はビデオ「LA・LA・LA(ら・ら・ら)」では、インストゥルメンタルとして収録されているんです。後から歌詞をつけたものなのでしょうか、どこかで当時のエピソードを伺えたら嬉しいなと思います。

 最後の「KEEP ON SINGIN'」には、私を含めた多くのファンの皆さんが感じている、"錦織さんが今歌って踊ってくれているという喜び"を錦織さんからのアンサーのように感じて選んだ一曲です。

「ルール-歯が痛い-」は、初期の名盤「翔 SHONENTAI」に収録されています


【1/19 植草さん回】
もも:
植草さんの回で意識したのは、"優しさ"ですね。植草さんの楽曲にはパワフルなボーカルのものもたくさんあって魅力的なのですが、今回はあえて優しく甘く歌い上げる曲、そして植草さんのイメージにピッタリの明るい楽曲を中心に選曲しました。

 特に2曲目の「My Little Simple Words [New Vocal] 」は、1986年にリリースしたアルバム「WONDERLAND」に収められた楽曲を歌い直したもの。ファンの気持ちを汲み取り、少年隊の曲を今もコンサートやディナーショーで歌い続けている植草さんの優しさもにじみ出ているように感じる一曲なので、ぜひもう一度聴きたいというリクエストが多かったです。

 最後に選んだ「その日がくるまで」は、先ほどもお話したようにファンの気持ちを汲み取り、誰よりも少年隊の楽曲を歌い続けてくれている植草さんからのメッセージと感じ、セレクトしました。

「My Little Simple Words」は、オリジナルもNew Vocalバージョンも
植草さんの歌声の魅力がギュッと詰まっています


【1/26 東山さん回】
もも:東山さんの回で意識したのは、”進化”。年齢を重ねるにつれて歌声がふくよかに、力強く変わっていくのを耳で感じて頂ければと考えました。

 初期に発表した切ないバラード「HEARTS」は、東山さんのソロナンバーの中でも常にリクエスト上位に来る一曲で、今聞いても不器用な愛情を見事に表現されている名曲ですね。
 1990年代に入ると、繊細な歌声から色気も増していきます。そして2000年代に入ると、力強さも加わっていきます。
 
 そして最後の「JEAROUS BEAT」。この曲の歌詞にある、"目の前の壁を壊すため 何を今すべきだろう"という部分は、常に東山さんが頭の中で考えているように感じたこともあり選曲しました。
 ストイックと言ってしまえば簡単ですが、一つ一つの積み重ねが未来の自分を作るのだという強い意志を日頃の発言や行動からも感じられる”ボーカリスト・東山紀之”さんの進化と魅力をギュッと詰め込んだこの回。皆さんに伝わっていればいいなと思います。

サビのファルセットも心地よい「JEAROUS BEAT」はぜひ聴いていただきたい一曲


ー 曲の構成でこだわったところはありますか

【1/12 錦織さん回】
ばば:
15分番組といっても、曲を流せるのは実質13分59秒ほど。4曲中2曲はフルコーラスのため、その2曲を引いた時間で構成する必要があります。
 錦織さんの回は、2曲目の「ルール-歯が痛い-」が4分06秒、3曲目の「あの日…」が1分55秒で、合わせて6分と少し。中2曲がコンパクトになるため、オープニングとエンディングの曲もたっぷり聞くことができました。それであれば、ラストの「KEEP ON SINGIN’」の曲終わりで盛り上がるので、フルで聞いてもらい、そのまま黒伊佐錦のCMにつなげたいと考えました。

 オープニング「あのとき君を」の聞かせどころはしっかり聞かせた上で、言葉と被るところの尺を調整しました。リクエストメッセージを整えると、逆に時間が余ってしまい、その調整に少し苦労しましたね。

 3曲目「あの日…」の曲紹介の時に、タイトルの少し前で藤川さんに“ため”をつくってもらったり、「あの日…」からラストの「KEEP ON SINGIN’」の乗り替わりで余韻までたっぷり味わうようにつないでもらったりしたのは、実は余った時間を上手に使うためでした。結果としてはそれが効果的になり、全体に言葉も間も美しく生きたのではないかと思います。
 「KEEP ON SINGIN’」の曲紹介では、イントロの48秒で藤川さんがバチッとコメントを乗せてくれて、ここは聞いていて気持ちよかったですね。
 また、エンディングの次週予告で、"どなたの"特集になるかは…のところが、高い音から出ているのが藤川さんには珍しく、私的にちょっと好きでした。

【1/19 植草さん回】
ばば:
この回のエンディング曲は、「その日がくるまで」。ラストが"ジャン!"という音で終わるので、できれば最後まで聞けるようにしたいと考えました。
 中2曲をみると、2曲目の「My Little Simple Words [New Vocal] 」は4分50秒、3曲目の「君に降るMelody」は5分21秒で合わせて10分11秒。そうなると残り3分48秒となり、かなり厳しい状況です。

 時間調整ができるのはフルコーラス2曲の間の、バックに曲を流さずにそのまま話す曲紹介と、オープニングとエンディングの部分のみとなります。何度も時間を計りながらコメントを読み返したり、フェイドアウトができる箇所を探りながら曲を繰り返し聞いたりしました。

 試行錯誤の結果、オープニング以外の3曲を続けて流せば、エンディングをフルで聞かせつつ、オープニングも最大限長く聞けるという結論になりました。ももさんにも相談しつつ、現場で最終判断することに。
 実は植草さん回では、タイトルコールとジングルもカットしています。気づかれましたか?これも現場で相談してカットしたものです。
 苦労の末、何とか3曲フルコーラスで聞いてもらうことができました!

【1/26 東山さん回】
ばば:
錦織さん・植草さんの回で3曲フルコーラスで流すことができたので、今回もできることならそこを目指したいなと思いつつ、いただいた原稿を見ながら大まかな配分を考えるところからはじめました。

 2曲目「HEARTS」が3分50秒、3曲目の「Before Fight」が3分30秒、エンディングの「JEALOUS BEAT」は3分8秒で、計10分28秒。これであれば3曲フルで流せそうです。オープニングの「Bad Luck, Good Luck」も3分間たっぷり聞いてもらうことができました。

 ジングルはもちろん東山さんの回なので、「Be COOL」の"HEY!"バージョンで。オープニングの「Bad Luck, Good Luck」と、3曲目の「Before Fight」のカッコいいイントロがさらにカッコよく聞こえるディレクター・ミキサーUさんの曲の入り、唸りますよね。

ー 収録の様子はいかがでしたか

もも:初回の錦織さんの放送回分の時に「絶対にエンディングまで時間内に収めたい!」と思い、そのことを馬場さんはしっかり意を汲んでくれて現場ディレクターさんと打合せをしてくださいました。
 そしてその後、植草さん・東山さんの回ともにラストまできっちりと聞かせるように調整してくださり、つたない台本に馬場さん・ディレクターさん・そして藤川さんが息を吹き込んでくださいました。

 ナビゲートと曲の入り方、多くを注文しなくても答えてくれるチームワークの良さを感じる収録現場でした。

曲をしっかり聞けるようギリギリまで調整を重ねます

ー 実際に放送を聞いてどう感じましたか

ばば:実は東山さんの回、オープニングの「時代とともに進化していく東山さんの歌声」というコメントの”進化”という言葉に、私は小さくこだわりました。東山さんの歌声の変化をたどりながら楽しんでもらえるように、工夫をこらしたももさんの選曲。季節が移り変わると樹木の葉の色は変化するけれど、東山さんの歌声は時間とともにいつの間にか変わっていったものではなくて、粘り強く努力を重ねて獲得していったものに違いない、そんなことを考えながら言葉選びをしました。オンエアは、まさにその進化を感じながら聞きました。

 3回のソロ特集、どの回も素晴らしい放送でしたね。ももさんからのメッセージも感じられ、繰り返し聞きたい放送回となりました。

もも:今回のソロ特集でラストに持ってきた曲は、それぞれがファンへのメッセージと捉えて選んだ曲でした。
「KEEP ON SINGIN'」(錦織さん)
⇒ どんなことが 起ころうとも 歌い続けて行こう
・「その日がくるまで」(植草さん)
⇒ その日が来るまで ぼくはただ 愛の歌 歌い続ける
・「JEALOUS BEAT」(東山さん)
⇒ 男ならば 言葉じゃなく 身体で示せ

 それぞれ表現方法は違いますが、常に発信し続けてくれる少年隊のお三方の魅力を多くの人に知ってもらえたらうれしいです。
 

次回の放送後記もお楽しみに!

※2023年の放送後記は、不定期掲載となります。次回は5月頃の予定です。

※2023年のディスコグラフィーを公開しています。もう一度聴きたい曲がありましたら、ぜひリクエストをお願いします★
<リクエストメールアドレス>
 show@obc1314.co.jp