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2021年、よこはま。

横浜DeNAベイスターズの2021年は、あまりに呆気なく終わった。
外国人選手がひとりも来日できないなどという未曾有の事態に始まり、本拠地最終戦ではエースが打たれキャプテンで終わり、胴上げまで許した。
結果は2015年以来の最下位。10年目の節目であると同時に、大きな課題を感じさせるシーズンになってしまった。

…とまぁ暗い感じで話すしかない年だったんですが、今年の横浜を見て感じたことを書いていこうかなと思います。
主観100%、数字すらほとんど出ずその割に長いです。飽きたらやめてください。
あ、初めてnote使います。


■最下位になった原因
「レギュラーシーズンは野手力」とさえ言われる現代野球に桑原、牧、宮﨑、オースティン、佐野と5人も3割打者を抱えておきながらの最下位、傍から見れば異常である。

なぜこんなことになったのか。今回は投手力、野手力、采配の3つの要素から検討する。

【投手力】
チーム防御率などを見ても明らかだが、今年はとにかく投手が悪かった。
当然ながらレギュラーシーズンを勝つにはまず先発の頭数が必要。ここがそもそも揃っている期間がほとんどなかったように感じる。
スカウティングが能力重視な面も影響しているのか、はたまた管理が甘いのか分からないが怪我人の数も異常。外国人不在なども含め、試合でどういう采配をするか以前の問題があまりに多いシーズンだった。

少し投球の内容についても触れたい。
数字で評価しやすい奪三振・球速などはリーグでも良い部類なのだろうが、決して良い投手陣・投球内容とは感じなかった。
例えば濵口であれば春先はスライダーの封印で構成から苦しくなり、不必要な負けを繰り返した。後半はロメロの改善など兆しも見えたが、依然投球の構成についての理解は選手個人・球団全体でもより向上する必要があると感じる。解析のためのシステムなどは整備されていると聞くし、三浦監督や大家コーチなど理解のある指導者もいるので、来年は是非とも立て直してもらいたい。
才能のある選手の数はリーグでも決して下ではないはず。

【野手力】
▼見かけ倒しのオフェンス
絶対的中軸打者オースティン、昨年首位打者の佐野、2017年首位打者で5番としても優秀な宮﨑に加えて桑原の1番定着、牧の加入で更に厚みを増したオフェンス。しかし、ここにも更なる向上の余地があると感じている。

今回はあえて3人の選手をピックアップする。

①佐野恵太
今年も打率3割に乗せ、出続けたというところも含めレギュラーとしては評価できるのは間違いないが、ポテンシャルを考えれば数字もまだ物足りない。佐野はそれだけの選手である。

今年は外角反応の改善のためか右肩を入れたようなフォームで戦っていたが速球、特に近めに押し負けたり間に合わない打席も増えた。そこを意識してポイントが必要以上に前に出ると今度は落ち球に脆くなる。「逆方向に飛ぶ時は良い時」と語っていたが、それは引っ張れる前提があった上でのこと。佐野なら潰せるウィークポイントだと思うので、来年は改善に期待したい。

横浜の中軸は右打者が多く、左の佐野の対応力が落ちると相手によって得点がバラついてしまう。得点力はある程度見込める上でそれを安定させる、0-100にしないためのピースとして佐野は重要な役割を担っている。

②ネフタリ・ソト
3割40本のソトを1度見てしまった以上、今年の成績は物足りないという他ない。

とにかく、年々打ち方が良くない。引き手の動作が大きく振り上げてもいて、遅れるし当たらない。日本の調整にある程度慣れていたソトにキャンプなしは痛かったか、スイングの強さもなかなか上がってこなかった。
この成績で1B固定起用は正直厳しい。来年もこの成績だと外野守備の良くない佐野を1BにしてLF(RF?)に動ける選手を、という選択肢も考えられる。というか考えるべき。

上半身で反動を強く付ける、力むより始動をしっかり早く取ってバットはセンターに走らせる程度でソトなら十分飛ぶ。良い時はそうなっているし、まだやれるはず。来年こそは期待している。

③神里和毅
今年最も期待値と成績が剥離した選手ではないだろうか。梶谷の穴を埋める1番CFとして期待したが、一軍すら危ういような内容にまで落ちている。
同じ日本生命出身の中日・大島と自主トレし多くを学んだようだが、大島を上辺だけ真似たかのような当てに行くスイングになりとにかく速球を押せない。当てに行く方の意識が強いか体重の乗りも甘く崩れやすいため、落ち球にも更に弱くなった。130-140くらいのゾーン残り変化球に”速球を待ってたら合っちゃった”ようなヒットしかイメージできない選手になりつつある。

とにかく本来の打撃スタイルを取り戻す必要がある。
真っ直ぐ立って速球は前で強く叩ける、遅れても飛ばせる。そういう選手だったはずだ。19年は打ち方までそっくりだったがレッズ・秋山を参考にするのがタイプ的に合っていると思う。

上で書いたようにソトが来年もOPS.750あたりなら、神里が同じくらいの数字は出してどかすくらいでないといけない。そうなれば守備も走塁もプラスで攻撃に幅が出る。レギュラーとしてのポテンシャルは過去に十分見せているだけに、来年こそはと期待を込めてピックアップした。

▼守備・走塁
「野手力」には当然、守備・走塁も含まれる。ここに関しては毎年のことながら横浜はかなり弱かった。ただでさえラインアップは守備軽視気味の一発型タイプではあるので、今年のソトのような成績低迷には見切りを早め、神里や楠本のような選手を入れていくしかないだろう。解決策の一番手が来年でまだ3年目の森の台頭になってしまうところが悩ましいが、せめて盗塁の成功率は上げる、1,3塁を作るような意識をより徹底させるなどはすべきだろう。そういったことを教えられるコーチにも入ってもらいたい。

速球少なめで変化球を打たせる配球傾向の横浜では内野守備の範囲も投手成績にダイレクトに響くが、ここも良いとは言えない内容だった。
キープレイヤーはソトと柴田になるだろう。ソトが打てばSSは守備優先で選びやすくなるし、来季も今年同様の打撃ならばゴロPが先発の日に1B牧で2Bに範囲のある選手を使うなども現実的な策になる。
単純に柴田がもうちょい打てばいいみたいな話でもあるので、えーっと、頑張ってください。

【采配】
投手出身ということもあってか、出だしの野手采配はとにかく疑問だらけだった。ひとつひとつ挙げるとキリがないので割愛するが、特定のケースしかイメージしていないような打順、謎の起用序列、制球の悪い相手やアウトを与えたくない状況でのバント…。こうならないためのコーチ留任だったはずが、機能しているとはとても思えない内容の敗戦が続いた。
1つでも先の塁を奪うための教育として「1,3塁を作る意識」というものがあるが、バントで2塁を作りたい意識も強すぎた。考える選手が育たないし、犠牲を払ってまでヒットでしか点を取れないシチュエーションを作る場面がとにかく多かった。
途中、打順構成などで改善傾向も見られたが、シーズン終盤にはまた同じような采配が始まってしまった。消化試合とはいえ思考のプロセスとしてそういったものが見える以上、課題だと言わざるを得ない。

また、投手に関してもリリーフの管理も丁寧とは言えない内容が数年続いている。エスコバーは黙って投げてくれるが機械ではない。砂田はワンポイントなら毎日投げられるわけじゃない。山﨑は復活気味だったが五輪にも帯同し抑えもブランクはありいきなり火消しまでできたりするわけじゃない。春に逆噴射し既に希望のないシーズンだったにも関わらず疲労度、負担についての考慮があまり見えないのは怖い。優勝がかかったらどうなってしまうのか。ある程度管理はできる上で、勝つための起用とのバランスを考えられるのが理想(今年のロッテやヤクルト的な?)だと思うが、その前提にも立っていなかった。

■良かった点と来年への期待
1年目でまず使える駒を増やしたいと考えた時に、収穫もあった。

牧というプロ野球の歴史の中でも特別なルーキーを獲得、育成できた。
開幕から1番に据えた桑原は復活どころか過去最高の成績を叩き出した。
森も万全の状態なら既に一軍で通用する能力があると見せられた。
伊勢は厳しい場面での起用を経てまた一段上がった内容を見せてくれている。

来季はそういった新しい力も使い、起用の面ではより柔軟に(コーチの招聘なども含め)やってくれれば。せっかくのデータ分析も施設もこのままじゃ無駄遣い。チームのポテンシャルとしても十分上に行ける。
早々にAクラス争いから脱落した分、治すべき人の手術などは思い切ってやった印象があるので来年こそは揃ってくれ。特にピッチャー。


的確な補強に育成、現場の運用・采配と噛み合って再建し突き抜けたヤクルトやオリックス。正直羨ましかった。

俺はね、まだ諦めきれないんだよこのチームを。来年こそは頼む。絶対勝ってくれ。



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