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本日の“刺さり”24/6/29

今やっている仕事が技術職という都合上、ものの仕組みや理屈といったものは知れば知っておくほど良いと思っているので、今でも他部署の人たちがどのような取り組みをしているのか、その難しさは何か。みたいなのを見たり、直接聞いたりするのが好きだ。そして、それらをインプットにして、自身なりのアウトプットを出すことも習慣にしている。それもあってか、私は自分のアウトプットを人に伝える機会が多く、それを相手の想定レベルに合わせて再構成して話したりする。

私は「ものを教えるのが上手い」という謎の自負がある。受け取り手の反応を主観的に見ての判断なので、単なる思い込みである可能性も大いにあるが、このトピックの「カンどころ(押さえておくべき要点)」を浸透させることを意識して、一目で入る形(小さなホワイトボード一枚)にまとめて、後々配布できる形にしている。

なぜ、教えるのか。というのは、個人的には浪人時代の経験に遡る。
「理系のくせに数学と物理が苦手」という理系ではない性質を持っていた私は、現役受験時に物理の偏差値が全統模試で42をとるレベルで、また数学も現役の前期に受けた大阪大学の基礎工学部で驚異の得点率15%を出してもちろん不合格になっている。勉強はサボっていた自覚は全くなかったのだが、とにかくわからないものがわからないままで解決できていない。というよりどうやって解決したらいいか。が本当にわかっていなかった。高校時代の数学の先生は今思えば本当に良い先生だったし、定期テストを返却されるたびに首を傾げられてたときに自身で何もできてなかったな。という記憶はあるが、物理については今でも思う。教わり方が悪すぎた。
現役受験は結局全落ちするという完膚なき敗北を喫し、浪人のために入った駿台の物理の授業を受けたときに、衝撃が走った。今までわからないままのものがスッと頭に入ってくるようになった。浪人の開幕1ヶ月でそうなったものだから、今までの自分は何だったんだ。という気持ちから「教わり方って大事なんだな」という実感を得た。具体的にどう教わったかみたいなことはもちろん覚えていないけど、それこそ「カンどころ」を自身で掴めるような教わり方だったのだろう。開幕1ヶ月で、私の浪人生活は順調そのものになっており、翌年に第一志望校に無難に入学することに成功した。

その成功体験に引っ張られているがゆえに、教えることにこだわりが出ているとも言える。会社に入ってから「わかりやすい説明講座」みたいなものを受けて以来、それにはさらに磨きがかかっている。そのため、私は人にものを教えることに時間を割くことが多い。加えて、入社2年目に当時の係長からもらったフィードバックに「周りを巻き込んで全体のレベルアップをできるように取り組んでください」と書かれたもんだから、すっかりと自信ニキにクラスアップしてしまっていた。

そして冒頭に紹介したツイートに戻る。
「会社の同僚や新人に時間を作り教えるのは気が乗らない。理由としては…」

①業務として非効率
そう。圧倒的に非効率である。私のケースは特に大教室で講釈を垂れるようなものではなく、個々人のレベルに合わせたカスタマイズ系のものがほとんどである。ベースはあれども、資料もだいたいそのときのアドリブで作っている。業務時間中にそれをやれば、当然だが本来自分がしなければいけない仕事の工数が減ることになる。

②自分が得るものが少ない
それもそう。だって自分の知ってることを再構成して出すくらいだもの。相手のレベルに合わせてどこまでの情報量を盛り込むか。までしか思考が割かれない。

③評価にならない
めちゃくちゃそう。ちなみに現在の所属課の課長から「教えたところで自分から教わりに来んやつじゃない限り意味ない(意訳:今やってる教えてるのやめとけ)」と言われている。実際、私が新人だった頃、当時の所属課の課長はそんなに教えるのは上手くなかったし、課長から教えてくる。みたいなイベントには一切出会ってない。それはなぜかといえば、100%私から上司に自発的に問いかけをかましまくっていたからだ。そこで課長のメモ書き(課長はA5をさらに半分にした紙にメモ程度のTipsを書くのが多かった)からカンどころを見出せたり、そうでなければ課長の机の背後にある本棚のそれっぽいキングファイルを片っ端からパラパラめくっていたりしたので、ほとんど自分で学んでいるといっても過言ではない。

「厳しいようだが、会社は成果を出して給料をもらうのであって、学ぶ所ではない」
…とは言ってもね、おそらくこのツイ主さんも「自分自身で必要なものをインプットし自分の理解に落としこめる」タイプの人だからそうなんだろうけど、世の中の多くの人は物事にそれほど興味はないし、自分が何を学べばいいのかさえわかっていない人の方が多いと思う。実際、今他の現場にいる新人とも交換日記のような教育方法を取っているが、自分がどんなこと勉強しないといけないか箇条書きでもいいから書いてみてと言って書かれたのが「製品を知る」「分野を知る」「理論を知る」「世の中を知る」といった曖昧な大項目しかなく、実際に製品を目の前にしたとて、その製品にさして興味がないから何から学べばいいという糸口すら探ろうとしない。そもそも新人は「マジで何も知らないし、あまり知ろうともしてない」のである。だから具体的な道筋を示してあげたり、その方向に向けて教えることをやめてしまうと、組織の未来にはデメリットとなる。長期的な物差しで見れば、今やっていることも(自身の評価と引き換えに)のちの人のメリットになって欲しいなと思いながら、肩入れしすぎずに続けようと思う。教えるの楽しいし。

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