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Life is Strange:True Colors™をプレイしました(追記あり)

若干のネタバレを含みます

ゲームについて

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シリーズ恒例のイントロダクション

"Your actions and decisions will have consequences."
"Choose wisely."
あなたの選択が主人公やまわりの人たちに影響を与えるアドベンチャーゲームの人気シリーズ「Life is Strange」の最新作が先日リリースされた。

Life is Strange True Colors™
発売日:2021年9月10日(北米)
ハードウェア:PS4/PS5/PC/Xbox/STADIA
価格:$59.99(Standard Edition)~$79.99(Ultimate Edition)
北米版のため、日本語ローカライズ非対応。
※2022年2月に日本語ローカライズ版が発売

今作は今までのシリーズと異なり、定期的に1章ずつ配信するパターンではなく、全話収録した状態で発売。パッケージは3種類。

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※画像は公式サイトより
Standard Edition…ゲーム本編のみ
Deluxe Edition...衣装替え、および9/30に配信予定のDLCを追加
Ultimate Edition...さらに衣装を追加+過去2作のリマスター版付
(リマスターの配信日は未定)

私はそのうち”Deluxe Edition"を購入し、PS4(薄型)でプレイした。

上の記事に、前作の感想と今までに出たシリーズについて書いています。

Life is Strangeシリーズは、2つのスタジオで制作されており、初代「Life is Strange」および「Life is Strange2」はフランスのDONTNOD Entertainmentで、初代の前日譚の「Before the Storm」はアメリカのDECK NINE GAMESで制作されている。

本記事の「True Colors」はDECK NINE GAMES製とのことで、このシリーズはナンバリングタイトルは本家スタジオ、サイドシリーズはアメリカのスタジオで制作という流れになっているのだろう。

ゲーム本編の話をする前に、クレームを言いたい。このゲーム、正直言って出来が悪い。通しでプレイして気になった点として

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〜Ver.1.02
・キャラやテクスチャの読み込みが遅く、シリアスなシーンでTポーズのキャラが一瞬読み込まれたり、いなかったりする。NPCに至ってはTポーズのままの場合もある。
・ゲームの性質上、鮮やかな表現をするためにHDRを活用しているのだが、そのせいで画面がカクカク切り替わるうえに、読み込みの悪さも相まって明滅したり目に悪い。特にエンディングが一番ひどい。
・会話の読み込みが不具合があり、遠くのNPCの会話がいつまでも読み込まれたままになり再生される
・シリーズ恒例の、世界のプレイヤーがどの選択を選んだかという統計情報が表示されない
・「あなたの選択」が正しく選択されない(表示のバグ)
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World StatsはPS4でプレイすると正しく表示されない(現在は修正済)

特に、このシリーズで最も楽しみである、ユーザー統計が表示されないってのが本当にキツい。配信日にほど近いタイミングでプレイする場合、攻略情報が十分にない状態で、シリーズのファンが我先にと初見プレイをする都合上、統計情報がほぼプレイヤーの初回選択のデータとなる。逆に、発売して十分に時間が経つと難易度の高い選択を達成する方法が流布するため、初見データとはもはや言えなくなる。英語ができるわけでもないのにこのゲームをわざわざ北米版で買う大きな理由がこれなのに、出ないってあんまりだよ。。。

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Before the Stormの3章の統計例、リリース当時は8%位しか見れなかった選択が今は30%を超えていたり、0%なのが13%になっていたり。

スタッフロールにつらつらと並んでいるQA部門は一体なにをAssuranceしたのか問いたい。さまざまなプラットフォームで配信しているが故の問題ではあるが、もうちょっとなんとかならなかったのかなあ。

さまざまな品質上のトラブルについては、すでに公式から対応に関するアナウンスが出ており、いずれ修正はされるようです。まあこれが5000円くらいのゲームだったら仕方ないかなとも思えたりするんですが、価格も今時のHDゲームらしくフルプライスで8000円近くするし、おまけにゲームのボリュームはそこまでないので、急がない人はセールのタイミングまで待ったほうがいいと思います。マジで。ゲーム体験で大事なのはやはり目立った不具合がないことなんだって切に思います。

・9/28追記 Ver1.03の変更点
統計情報がPS4でも反映されるようになった
PS4版の決定が◯、キャンセルが×に(日本ユーザーのみ?)
エンディングの画面点滅がなくなった

ロケーションとあらすじ

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ゲームタイトルの通り、鮮やかな風景が広がる物語の舞台

今作の舞台は、ロッキー山脈でおなじみのコロラド州の田舎にある村、ヘイヴン・スプリングス(Haven Springs)が舞台となっている。山中ということで、大企業「タイフォン(Typhoon)」が取り仕切る鉱業を産業としているが、活気があるわけでもなく、観光資源もない平和で静かで「閉鎖的な」場所だ。人と人との関係性をしっかりと描く作品であるが故に、小さな閉じたコミュニティはこういった作品にはおあつらえ向きだ。また、今作のマップは大別して「Haven Springsのメインストリート」および「鉱山」の2つしかない。逆に言えば、章ごとの移動範囲の制限が過去作にくらべ少なく、どの章でもまんべんなく歩き回らないとわからないことがある。

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町にはお花屋さんがあり、緑にあふれ、ロッキー山脈の白や全体的にレトロ感のある街並みもあり、雰囲気が良い。
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カラーフィルターを設定でき、色に対するこだわりを感じる
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物語の主人公、Alexandra "Alex" Chen、アジア系アメリカ人

今作の主人公「アレックス」はアジア系のアメリカ人。ゲームの始まりがメンタルケアの施設から始まるあたり、アレックスはトラウマを抱えている。ゲーム開始時はどうしてこうなったかといったことは明かされないが、何かしらの事情で一家が離散し、まだ幼いこともあって里親のもとを転々とした彼女は、里親の家庭でもうまくやっていくことが出来なかった。
里親のもとを転々として約8年たったころに、アレックスの居所を探し当てた兄ゲイブ(Gabe)の助力もあり、兄の住むヘイヴン・スプリングスで新たな生活を始めることとなった。

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左:レンジャーのライアン(Ryan)、右:Alexの兄ゲイブ(Gabe)
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Before the Stormでも登場したステフ(Steph)、彼女はかつてブラックウェル高校時代にレイチェルに想いを寄せていたレズビアンである。
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アレックスが働くバー”Black Lantern”の主人ジェッド(Jed)
元鉱山労働者で救助活動で有名になった町のヒーロー的存在

軽くChapter1のストーリーに触れると、ヘイヴン・スプリングスで兄ゲイブと再会したアレックスは、もともとゲイブの住んでいたバーの上階の居住スペースを譲ってもらい、親切なバーの主人ジェッド(Jed)の進言により、バーのスタッフとして仕事を始める。

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ゲイブのパートナーシャルロット(Charlotte)、シングルマザー

ある日、ゲイブのパートナーシャルロットは、息子イーサン(Ethan)が家に帰ってこないことに気づき、行先を知るアレックスが兄ゲイブとレンジャーのライアンとともに鉱山に向かう。危険な綱渡りをして無事イーサンを救助することはできたが、鉱山で突如爆発が発生し、兄ゲイブはその余波に巻き込まれて亡くなってしまう。

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せっかく8年ぶりにたった一人の家族と再会し、またその兄も妹との再会を機にパートナーと新しい生活を始めるといった矢先に、不幸な事故によりアレックスは天涯孤独となってしまった。しかしながら、いくつかの不審な点を見つけたアレックスは、これは本当に不幸な事故なのだろうかと、その裏にある事情を自らの能力と周囲の人間のサポートを受けて、ゲイブの死の真相の解明に向かう。といったストーリーだ。

主人公の能力について

ゲーム開始時のカウンセリングのシーンで「フツーの町で、フツーの女の子になるだけよ」とアレックスが言うように、彼女は普通ではない。

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彼女の笑顔は、とにかくぎこちない。口角だけ上がっている

トラウマを抱え、自らの感情を表に出すことを抑えるように生きてきた影響か、彼女は人の感情を「色」として見ることができ、かつ手をかざすことでその人の感情のもとになる「思考」を読み取ることができるようになった。

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アレックスは人の「怒り」「恐れ」「悲しみ」といった感情が見える
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感情がこもった物体から過去の情報を読み取ることができる

アレックスは人のクソデカ感情を読み取れるほか、クソデカ感情のこもったもの(写真や服などなんでも)から過去の情報を引き出すこともでき、これが今回の収集要素である。今作はこの収集要素がストーリーの補完要素になっており、隅々まで調べて登場人物の当時の感情や思いを知ることでより理解を深めることが出来る。

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人の大きすぎる感情に対峙したときがゲームのターニングポイントになる

ゲーム内のいくつかのシチュエーションで、アレックスはその人の持つ大きすぎる感情に入り込もうとし、それに影響されてしまう。大きな怒りを持つ人の怒りに入り込んでしまった故に自らが怒りに飲まれてしまうこともあれば、人の悲しみや恐れに寄り添いその感情を和らげることもでき、それが後々のストーリー展開にも反映される。ただ、忘れてはいけないのは、その人の感情や思いはその人のものであって、アレックスのものではないということだ。私たちもネガティブな感情を抱いたときに、他者に慰めてもらいたいときがあれば、自分の中で時間をかけて感情をシュリンクさせることが必要なときがある。そのような考えでいれば、なんでもかんでも能力で解決させることが果たして正しいのだろうかと思わせられる。

個人的な感想

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この作品でアレックスは事件の謎の解明、町の人との関わり合いや自己の内面との対峙を通じて、前向きに生きていく力を身に着けていくといった成長モノだ。話の全般については、すごく感動した。ということはなく、淡々とゲームを進めて終わったといった感じで、ちょうど同じスタジオが制作したBefore the Stormと近しい印象を受けた。全5章構成だが、ボリュームについては全3章構成のBefore the Stormとそう大差なく、またゲームとしての難しさもほぼないため、物足りなさは正直ある。あと先述の通り不具合が多く、もったいなさも感じている。

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ライフイズストレンジシリーズも、作品を追うごとに「スクールカースト低めの白人女性(Max)」→「親友との離別や継父との関係性の悪さで道をそれていった白人女性(Chloe)」→「不自由なく暮らしていたが、ある日を境に平和な生活を奪われたメキシコ系移民の子供(SeanとDaniel)」→「過去に家族が離散し、メンタルに問題を抱えるアジア系アメリカ人(Alex)」とちょっとずつ主人公の属性を強く、そして社会的な弱者側(場合によっては被差別側)に振った設定がなされていっている。挙句の果てには、兄Gabeのパートナーはシングルマザーのアフリカ系アメリカ人で、作中のそれ以外のカップルはだいたい白人同士の組み合わせ。スターウォーズのシークエル・トリロジーかな?なにせ今の時代の風潮に乗った多様性に関する配慮といったものを感じる。良いと思うかは別として。。

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この作品は公式にロマンス展開を名言されており、作中のアレックスのふるまい次第で2名の候補のうちどちらかが意中の人となる。ただ、いまいちそこまで関係を深めたといった描写はなく(スマホのSMSやSNSでのやり取りも特別そういった展開にはなっていない)、いきなりくっつくかどうか選んで?みたいな展開で、正直困惑した。アメリカ人のロマンスってこんな感じなのか…?ってなったけど、そういえばこいつら過去作の主人公たちと違ってティーンエイジャーでもない20代の大人だったわってことで、まあそこは察せよってことなんでしょうか(独身中年男性並の感想)。あと、どうふるまってもどっちかとくっつくように出来ているみたく、どっちともくっつかないという選択があったっていいじゃないか。とも思ったりもした。

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今作も過去作と同様に、ゲームの最後にふたつの選択肢が示されるのだが、過去作のようにだれかが多大な犠牲を払ったり、トラウマを抱えたりといったことはなく、どちらも選ぶにしてもアレックスにとっては前向きな選択であるため、悩むことはなく自分の思ったままの選択ができるようになっているし、爽やかなエンディングを迎えることができる。

…正直もうちょっといろいろ悩みたかったんだけどなあ

9/18追記 PS5でプレイした場合

せっかくPS5も持っているのでPS5でも見てみた

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PS5。解像度が高い以外に全体的に明るい

ほんの少しプレイしてみての感想だが、
・解像度が高い以外にPS5はフィルタなしでもかなり画面が明るく見やすい
・プリレンダ部(操作パートのないムービー部)のFPSが高くなる(30fps以上)
・L2押し込み時にアダプティブトリガーが作用する(うるさい)
・読み込みが早いのでそこまでシーンの切り替わりが気にならない

結論:PS5でプレイしたほうが快適(あたりまえ)

【追記】追加コンテンツ「Wavelengths」について

「Before the Storm」に登場したステフ(Steph)を主人公としたエピソードが追加コンテンツとして実装された。内容としては、本編(アレックスがヘイブン・スプリングスに来る)前の一年前の春にステフがヘイブン・スプリングスのレコード店の仕事を得て移住してからの一年間を春夏秋冬に分けたエピソードとなっている。

ひょんなことから「未来を占うDJ」というキャラが生まれてしまう。

レズビアンの彼女は、かつてパートナーと組んでいたバンドを関係性の解消とともに解散し、仕事を求めてヘイブンまでやってきた。何もない田舎町、自分しかいないDJブースの中と過ぎゆく季節の中で、彼女は自らの過去を振り返る時間を多く持つこととなる。

6月の「プライド月間」性的マイノリティの権利を訴える期間でもある
本作の遊び要素としてマッチングアプリがある
マッチングアプリの交流結果がゲーム内に反映される場合も

本作では、ステフが性的マイノリティかつスクールカーストが低い「オタク」としていじめを受けてきたことや、「Before the Storm」のレイチェル、および「Life is Strange」の事件(内容はプレイヤーのチョイスによって変化)のフラッシュバックにより、「大切な人を失うことのおそれ」を常に抱えて生きていることがわかる。ラジオDJの電話相談の内容も「パートナーとの別れ」「孤独」「いじめ」「ハラスメント」「カミングアウト」といったステフの現状にぶっ刺さる内容ばかりで、ステフはときに自嘲的になりつつも相談者の人生に良きアドバイスをしていく。

同じ痛みを分かち合える「親友」の存在

アルカディア・ベイで起きた事件の悲しみを共有するブラックウェル高校時代のTRPG仲間のマイキー(Mikey)のオンライン上の交流で、彼女は数少ない理解者の存在がいることを知り、悲しみを前向きに生きる力へと昇華させることが出来るようになり、次の春を迎えたところで話が終わる。

一年を経て、アレックスと出会う。

何気にステフって「Life is Strange2」(4/25修正:ナンバリングタイトルを除く)作品すべてに出ているこのシリーズきっての優遇キャラなんですよね(名前だけの出演でいえばクロエは全作品に出ているけど)
彼女のパーソナリティが今の時代のテーマに合ってるというのもあるけど、そんな彼女をもっと掘り下げてみようというのが、「Wavelengths」の意義なのかな。と思ったり。過去作からやっている身からすれば、このDLCはまあまあ良かったです。

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