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OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者の話


ストーリーのネタバレを含みます。Switch版既プレイ向け。

先月にSwitch版のオクトパストラベラーをクリアし、その勢いで現在配信中のスマホ版オクトパストラベラー「大陸の覇者」もプレイしている。8/2現在のプレイ状況としては下記の通りです。

・ストーリー:授けし者 各1章完了
・パーティのレベル:主要メンバーが66~68
・トラベラー:現在88人。うち80人のトラベラーストーリーが完了
・プレイ時間:135時間程度
・闘技場や歴戦装備などのやりこみコンテンツは未プレイ

このゲームのバトルは面白いの?

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主人公たちは「旅団」を結成し、最大8人パーティで戦う

このゲームの要素を遊びつくしているかといえばそうではないのだが、100時間程度プレイした現状では、Switch版のオリジナルのオクトラのほうが面白いと思う。とはいえ、大陸の覇者(スマホ版)も十分面白いと思っている。

大陸の覇者はシングルプレイRPGであるが、同時にソシャゲでもある。Switch版からの主な変更点としては

1)キャラクターは「導き」というガチャによって得られる(一部除く)
2)キャラクター1体に対応するジョブが1つで、装備可能な武器種も1つ
  (剣、短剣、槍、斧、弓、杖、踊子は短剣→扇、学者は杖→本に変更)
3)装備できる武器・防具にレベル制限がある
4)武器の強化という概念がある
5)キャラクターが装備できるアビリティは最大3つまで
6)キャラはレベルアップ以外にJPというポイントが振られ、ステータス強化や
  アビリティ取得ができる。
7)パーティは前衛+後衛という区分けがされており、4+4の最大8人パーティを構成
8)回復アイテムなどの消耗品が存在しない。代わりに、後衛時にHPSPが回復する。
9)行動速度の乱数がなく、防御コマンドが存在しない
10)敵のブレイク時にも弱点属性が適用される
11)学者は本で相手をしばく(学者としてどうなんだ?) 

…要するに、長期間遊べるソシャゲらしい調整を受けている。特にオリジナル版で面白いと感じていたジョブの組み合わせ、行動速度を調整する防御コマンドの仕様、低レベルから強い武器を装備できるといったものは全てオミットされており、多くのキャラクターを出す都合上、各キャラの役割範囲を狭めることで特定のキャラに出番を偏らせることをしないといった思想が垣間見える。特に10)はブレイク時も特定の高火力キャラだけをつかわせず、弱点をついた方がいいぞと言わんばかりの調整だと思う。11)はビジュアル的に何かモヤっとする。

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基本的に初期実装星5キャラ+オデット先輩のパーティをメインにしているが
敵によって柔軟にキャラを変えることが求められるゲーム

前衛+後衛のシステムがこのゲームのオリジナル要素であるが、これに慣れるのがなかなか大変だった。毎ターン、後衛にリザーブされているキャラクターはターン終了時にHP、SPおよび BPが回復する。さらに回復アイテムがない都合上、オリジナル版のように特定の誰かがBP回復のザクロやSP回復のプラムを使ってサポートするといった戦術は出来ず、従って同じキャラを前衛で出ずっぱりさせるといずれSPが切れて何も行動できなくなる。

また、バフ技や回復技はその技を出した際の「前衛側」にのみ適用される仕様のため、バフ技を打ったあとに前衛と交代したキャラにはバフは適用されないし、HPが減ったキャラを後衛にリザーブしたあとに回復魔法を出してもHPの減ったキャラにはもはや届かない。といったことがよく起こる。そして、行動速度を(アビリティボードの取得状態以外の)調整することが不可能なため、オリジナル版のような防御コマンドでバフキャラが先制するといった芸当はできない。本気で行動速度を気にしてプレイしている人はそうそういないとは思うが、きっと一部ユーザーで行動順の調整のために「敢えて」行動速度のアビリティパネルを解放していない人もいるとは思う。

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戦闘をサポートするパッシブアビリティを活用しよう

簡素化されたバトルシステムがかえって複雑さを呼んでいるように思えるが、その分前衛後衛制のメリットもある。例えば、後衛にリザーブする際に前衛にバフをかけるパッシブスキル持ちがいれば、後衛時に前衛の防御をあげたりSPを回復させたりするキャラもいれば、前後衛のデバフやバフを相互に延長できるキャラもいたりと、シナジーを得られる組み合わせを探すのはなかなかおもしろい。パッシブアビリティの内容によってはトップのレアリティ(星5)でないキャラも十分に活躍できる場が与えられている。また、ソシャゲ特有のインフレ等を感じさせる要素も現状存在せず、よく言われる「人権キャラ」なるものもない。初期の星5キャラ(ex.ヴイオラ、フィオル)が未だに必須級の性能をしているってのがこの手のゲームでは珍しいのではないだろうか。

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ダメージ限界は一律99999となっている

上記のように、大陸の覇者のバトルもキャラクターが揃っていれば、基本的には面白い。ただ、このゲームはソシャゲらしく周回要素(キャラ強化や武器素材集め)があり、ゲームシステム上ゲームスピードを上げるのが難しいため、正直周回するのはキツいなと思っている。また、ストーリーを適正レベルのメインキャラで戦いたいという気持ちがあるので、ストーリーが消化し切らない限りは(全体の底上げはするものの)、必要以上にレベル上げはしないようにしている都合上、適正レベルが80とかのクエストやエネミーには一切手出しできていない。

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戦闘面については、贅沢な要望であることは自覚しているのだが、
・ストーリー上のエネミーとの再戦機会をもっと増やしてほしい
・レベルの高いキャラをレベルダウンして挑めるようにしてほしい
・戦闘速度の4倍速(倍速でも遅い)
くらいは欲しいと思っている。

このゲームのストーリーは面白いの?

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このゲームは、オクトラ世界の成り立ち(原母神オルサ、フィニスと13の神)の話からはじまり、神に対応した「指輪」を巡る話である。めちゃくちゃざっくり言えば、Switch版のオクトラの数年前(概ね2〜3年程度と推定される)のオルステラ大陸で覇権を巡る争いがかつてあった。といった感じである。
この「指輪」は神がかりな力を秘めており、指輪の所有者は邪なものであってもその欲望を叶えることができる。現在指輪はSwitch版のベースジョブに相当する8つが確認されており、主人公たちは「聖火神の指輪」に選ばれた“選ばれし者”として、他の指輪の奪還および封印をするためにオルステラ大陸を旅することになる。

はじめに結論を書いておくと、面白い面白くない抜きに、オクトパストラベラーという作品や世界観が好き!と思う人であれば迷わずプレイしていいと思う。本編で出たキャラも多数登場し、各地方に本編で出なかった新たな町があり、より深くオクトラを知ることができるようになる。かくゆう私もその一人である。

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聖火神の指輪の「導き」により、旅団に旅人が加わっていく

Switch版オクトラとの違いを先に書いておくと、

・主人公は特定の誰かではないため、ストーリーありきの展開となる
 (Switch版はキャラクターがあってのストーリーという位置付け)
・その代わり、各キャラには4章分のショートストーリーがある
 (キャラのバックグラウンドがわかる。星5ほど豪華)
・CEROの審査がない?ためか、全体的に本編よりドス黒い展開が多い
 (快楽殺人、クスリや人体実験など、基本的に外道)

ストーリーについては、「富」「権力」「名声」といった欲望を極めた3人のストーリーからはじまり、現在の展開としては下記のようになっている。

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1部:〜を極めし者(狩王女・雷剣将・盗公子)

終章(2部への繋ぎ)

2部:全てを極めし者(碩学王)

終章(3部への繋ぎ)

3部:〜を授けし者(紳商伯・舞踏姫・霊薬公)

2021年8月4日現在、ベースジョブに相当する8つの神の指輪が揃っており、各指輪に対応するボスキャラがSwitch版の主人公たちのように「O・C・T・O・P・A・T・H」に対応する頭文字になっている(一部わからないものもあるが、おそらくそうだ)

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ストーリーについては「ドス黒い展開が多い」と先に述べさせてもらったが、個人的にはちょっとやりすぎ感があって、素直に面白い!とはならないのが正直な感想だ。
1部のストーリーをざっくりと書くと

・富を極めし者
粉(麻薬)で大陸随一の億万長者へと成り上がった元高級娼婦へルミニアが支配する街で、主人公たちはへルミニアの陥落を狙うバルジェロ率いる新鋭のマフィア組織に協力するストーリー。イタリアンマフィアの抗争。

・権力を極めし者
聖火教会の兵士で戦果を上げつつも教会からその存在を危険視されたタイタスが、戦後左遷された街で自らの権力を誇示するために、自らの名を関する聖堂と人道に反した人体実験を用いた最強の兵団「緋翼」を築き大陸に名を轟かせんとするのを、緋翼に所属する研究者の協力のもと阻止する話。

・名声を極めし者
大陸随一の劇作家アーギュストのその狂気とも言える創作への姿勢に対し、アーギュストによって家族を殺され、劇作家の道を絶たれたシュワルツとともに、アーギュストの真相を明かすために協力する話。

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「富」については、正直面白さがわからない。大富豪ヘルミニアは大陸随一の金持ちとのことだが、作中ではウッドランドの森の中のそんなに大きくない街に邸宅を構えてるところもあり、いまいちヘルミニアのスケールのデカさがわかりにくい(乳のスケールがでかいのはわかる)。ヘルミニアが富に固執する理由(背景)はわかるし、富を得るためにプランテーションのようなことをして貧困層から搾取しているのもわかる。しかしながら、ヘルミニアの搾取による支配からマフィアの抗争状態にすることが「今よりもマシな街」だと思うバルジェロはわからないし、それに与する主人公たちもよくわからない。バルジェロたちは搾取を行わない義賊のようなマフィア組織であることは間違いないし、麻薬や貧困層への搾取がなくなった点についてはめでたしめでたしなのだが、結局のところ新たな争いの火種を蒔いているだけなんですよね(だから「極めし者」のストーリーで終わりきらなかったとも言える)

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「権力」については、わかりやすいストーリー。本当は自分はもっと力があってすごいんだ!という気持ちをひたすら先鋭化させていって、自分に反する者は全て罪人で、自分には罰を与える権利があると思い込んでいる。力を誇示するには強い軍隊がいるってことで、人間を非人道的な薬を使って強化して最強の軍隊をつくろうとした。だから内部の人間に裏切られて結局倒されてしまった。実にシンプル。

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「名声」については、大陸随一の劇作家にして、中にとてつもない狂気を秘めたアーギュストが、かれの口癖でもある「マーヴェラス!」な作品をつくるその裏で、快楽殺人に手を染めているという。その真相を知るシュワルツと名乗る劇作家とともにその真実を白日の下に晒さんと、アーギュストの足跡を追う。アーギュストの周囲にいる人間もかれのその狂気を知っていながら、自らも狂気に呑まれていくという展開が、わかりやすいほどに大袈裟に繰り広げられていく。まあプレイしていると最後の展開は「そうだね。」ってなるくらいには先が見えるので、面白いかといえばちょっと疑問。ちょっと匂わせ過ぎじゃない?

ただ、題材が題材とあって、本編に出てくるシメオンが出てきて、この頃から自己陶酔復讐劇のプランを練っていることが判明する。プリムロゼェ…(ねっとり)
なお、実装済みのプリムロゼをシメオンに会わせようとシアトポリスの劇場に行くとシメオンが消える。配慮されていますね。

現状、2部の「全てを極めし者」までストーリーが完結しているが、全てを極めし者の話はなかなかスケールが大きくなり(8地方のうち3地方を使う)、また大陸の覇者というタイトルの如く、大陸を支配するという欲に飲まれた敵キャラが出てくる。まあ結局主人公サイドが勝つんだけど、この戦いで大陸中に名が知れるようになった主人公たち旅団の存在が、のちの作品(Switch版)で一切話が出ない都合もあり、歴史の裏に消えたって扱いになっているのは仕方ないとはいえどうなんって思う。この話が50年100年も前ならわからんでもないが、2〜3年前の話だからなあ。

3部の「授けし者」も一部またスケールのでかい話になりそうなので、正直これSwitch版の後日譚にしても良かったんじゃね?って思わなくもない。

旅人たちの物語

本編では聖火騎士のマイルズは、見習いとして旅団に参加する

本編ではクオリークレストにいたサイラスの先輩オデットも旅団に加入可能

「大陸の覇者」は特定の主人公がいない代わりに、現在100人以上のトラベラーがいる。もはやオクトパストラベラーじゃなくてヘクトパストラベラーじゃねーかとツッコミたくなる。

中には、Switch版のサブストーリーに使われたネームドモブ(魔物使いアシラン、聖火騎士マイルズ、歴史研究家ノエル)や、本編登場キャラ(ザンター、オデット、ヒースコート、エリザ、テレーズなど)や、さらにはSwitch版の主人公陣も何人か実装されている(現在4人:ハンイット、トレサ、サイラス、プリムロゼ)

彼らのキャラ絵は、それぞれのストーリーのキービジュアルになっている

それぞれのトラベラーには、前項に述べたとおり、本編主人公よろしく全4章のトラベラーストーリーがあり、そのうちの序章はそのキャラを未所持でも話を見ることができる。内容としてはほぼお使い+戦闘ではあるものの、キャラのバックグラウンド、主人公たちの旅団に参加する理由等を(星3のキャラを除く)80人以上にストーリーを設定しているってだけで、その作業量に感服する。

なお、最低レアリティの星3キャラについては下記のように共通のプラットフォームを使用したものとなっており、各地方に分散されている。彼らのストーリーの序章をクリアすることで星4以上のストーリーが解禁される。

8つ子シリーズは対応するジョブの本編主人公の紹介を兼ねるストーリー

旦那様探しシリーズ。惚れた相手が婚約済だったり同性だったり。

辺境の村レッドバリーの成人の儀シリーズ。村長が神出鬼没で有名。

トラベラーストーリーのバトルについても、ある程度共用はされているが敵キャラのドットもメインストーリーと別途で製作されており、決して手抜きではない。
また、トラベラーのビジュアルもイケメン、イケおじ、ジジイ、美女、美少女、ショタ好きイケメンなど眼に優しいものが多く助かる(何が)。あと足りないのはババアだから何かしらババアを出してほしい。かっこいいババアはやく来てくれ〜!

ちなみに私はトリッシュが好きです。腰にかけた刃物ケースがたまらん。
ヘルガ、ラモーナあたりもすき。

基本的には悪くはないのだが、ちょっと取り扱いが難しいキャラもいる。本編主人公キャラだ。大陸の覇者は本編より前の話だが、ゲームの都合上本編キャラたちが同じ旅団に所属し、一緒に大陸中を旅することができる。これが本編をやっている身としてはやり辛いところである。本編では水平線の向こうに思いを馳せていたトレサちゃんがヴィクターホロウやフレイムグレースに行けちゃう…それはなんか嫌…。

オデット「案外近くにいるかも」サイラス「…」

一応、直接会えるのはおかしいだろということで、トラベラーストーリー上では一部キャラについては直接会話にならないように配慮はされている(例えば、オデットのトラベラーストーリーでサイラスを先頭にして話しかけても、会話イベントでは2番目のキャラが登場する など)

ザンター、オデットはストーリーにも使っている。旅してそうだから

このゲームは基本無料なため、売上の都合上、本編主人公キャラは絶好の集金機会ではあるし、そのキャラが弱いということには絶対できない。そのためガチャで引けたら一線級の活躍ができるようなアビリティ構成となっており、パーティに組み込むことでゲームを快適に進めることができる。しかし私の中の厄介なオタク心がどうしてもパーティに組み込むことを拒んでしまう。ということで、メインストーリーでは絶対に本編キャラを入れないようにし、必要に応じてシンボルエネミーの討伐に使用しているのが現状だ。

まとめ

正直なところ、遊ぶ要素が多過ぎてまだまだ消化できていないのが現状なため、このゲームの面白さを発掘できていないところもあると思う。ただ、最初に書いた通り、Switch版本編のほうがおすすめできるし、このゲームをプレイしたいのであればまずそちらに手を出してもらうほうが良いと思う。良くも悪くもこのゲームは集金要素のあるソシャゲの側面を持っている以上、プレイするためには多大な時間、人によってはお金を必要とするからだ。逆に、オクトラの世界観に沼りたいのであればぜひプレイすべき作品であると思う。

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