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もしもの話


「もしあの時、2人が付き合っていたらどうなってたんだろうね」
昔好きだった人にそう言われて、胸が締め付けられた。
どうしてもっと早くに迎えに来てくれなかったの?って頬っぺたでも抓ってやればよかったけれど、私はもう大人だから、今より幸せだったかもしれないねと笑ってみせた。
あの時の話、私の気持ちが伝わらなかったのならそれで良くて。好きという言葉なんてわたしには簡単に言えるけれど言葉が全てじゃないの。好きという言葉以外で好きだと伝えた私を受け止めるのが怖かったんじゃないのかな。わたしが君の気持ちを確かめたりしてこれ以上を望んだら君を失うかもしれないって怖かったみたいに。ただ分かってほしかった。君が落ち込んだ時にちょっとでも救われるような優しさで包んであげたかった。何もしなくていいから笑ってほしかった。でも余計に君を苦しめてしまったからもう会えなくなって、それが2人の出した答えだった。
好きと言えなかったのに、好きだったと言うなんてそんな格好悪いことしたくなくて、でも、
好きと言っていたらなにか変わっていたのかもね

人の気持ちなんて、言わなきゃ分からないことだらけで誰もが自分が傷つくことが怖くて大切なものを失うのが怖くて弱くて未熟で。そんな未完な部分を愛おしいと思ってしまうのも確かで、これはもうタイミングが合わなかった、それだけのこと。

ちゃんと好きだったってこと、分かってほしかったの。だからあの時の私の気持ちを無かったことになんてしないで。
今はもう過去でしかなくて未練も後悔もない。君が幸せで、私も幸せで。お互い別の場所で、それぞれに大切な人がいて。それでいい。それがいい。
あの時の話をこうしてちょっと思い出しては笑えるくらい私は強かになったし、もしも宝くじが当たったら何をしたい?って話をする気持ちと真逆の気持ちで
君がこの先もずっと幸せでありますように、
でも少しだけ私が足りていませんように

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