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使命感

私が入院している病院は、がんの専門病院です
がん患者しかいません 外来も病棟も
病棟に入ってから、CTなどの検査が何度もあるのですが、もちろん外来と共用なので1・2階の外来患者がわんさか(本当にわんさか)いる場所を点滴や体から何本も出ているパイプをガラガラ引きながら移動するわけですが、
頭にはニット帽でもちろんパジャマ姿です
どこから見ても完全無欠のがん患者です 笑
中には無遠慮にジロジロ見る人もいます 慣れましたけど
でも、そういう人が何十人もウロウロしています
おかげで、自分自身の特別感を感じることはほとんどありません 笑

入院中は運動不足になるので、歩くことを奨励されます
リハビリでバイクはありますが20分くらいです
10Fの病棟ですがフロア一周で260歩
15−20周を目標に毎日歩きます
普段仕事をしているより歩いています 笑
復帰したら、もちょっと歩かないとね
病棟を何十周もするので中には大変な状況の方も目に入ります
すごーく元気そうな人も歩いています
でも、このフロアは肝胆膵。。。
手術できなくて、抗がん剤投与を始めた方も入院しています
元気そうだからっていっても重症でないってことではありません
見方によってはおもしろい病気ですね

この病院の医師と看護師に感じることがあります
それは、「使命感」です
考えてみてください
「がん患者」しかいないのです
まあ、がんもピンキリとはいえ、それでも結構メンタル含めて大変な状況での入院となるはずです
私も入院当初や再手術後しばらくは結構大変な状況でしたが、医師や看護師に嫌な想いをしたことは一度もありませんでした
そして、すばらしいのは病棟の薬剤師や管理栄養士も含めた「全員」が私の病状をリアルタイムで把握しているところです
血液検査の結果が良ければ、顔もよくわからない看護師や先生からよくなりましたね!って声をかけられました
チームで戦っているという一体感も感じます
全員が使命感を共有して戦っている職場です
でもフロアの人数は50人くらいいるのです

ちょっと入院生活に慣れてくると看護師と世間話もしたりします
「えらいねーわざわざこの病院で勤務するって本当にすごいね」
って必ず言うのですが
案外最初から勤務している人は少なくて、転職組が多いようです
「世の中の役に立つこと」
を本気で考えて選んだ人たちの集まりってことですね

私の主治医はI先生です 執刀医でもあります
ただ、オペが多いので日頃の診察はO先生です
このO先生
看護師の間でも「病院に住んでいる」って噂されるくらい熱心な方です
私の多臓器不全を見抜いたのも日曜日の夕方でした
いつもにこにこしていて全然大変そうじゃないのですが
朝、様子を見に来るのは7時過ぎですし、夜も遅くまでモニターとにらめっこしている姿をよく見かけました 土日かかわらず
たぶん、休んでないんじゃないかなー(しらんけど 笑)
一ヶ月ちょっと入院してますけど、学会で四国に行っていた2日を除き、毎日顔を見せてくれています
ここでは「ワークライフバランス」という言葉は空疎な響きを持ちます
「過労」って言葉もちょっと違う気がする
60近い髪の毛のまばらなおっさんに「命の恩人です」って涙ながらに手を握って言われてそんなに嬉しいわけはないとは思いますが
「命を守る」というおそろしく強い使命感を持って仕事をしている彼のような人にそういった言葉は不似合いだしなんだか失礼な気がします
誤解しないでほしいのですが、ワークライフバランスを否定しているわけではありません

「強烈な使命感」を持って仕事をしている人は強い
そして、ぜんぜん大変そうじゃない 笑
仕事だけの人生なんてつまらない
でも、そうじゃない仕事もあるってことを学びました

彼がそういう人でなければ少なくとも私はいまここにいません
そのことは決して忘れません

仕事に臨む考え方に「使命感」の割合が大きい人ほど、強いし、ストレスもないのかもしれません
持てって言われて持てるものではありませんけど
持とうとしなければ持つことはできない気がします

勉強の日々です

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