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読書ログ_5000円レンコンがバカ売れ!茨城の小さな農家が世界を変えた方法

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「1本5000円のレンコンがバカ売れする理由」野口憲一著

レンコンは大好きですが、1本5000円って・・・。
それもバカ売れしてるなんて・・・。

茨城県の蓮根は有名ですが、霞ヶ浦のほとりのレンコン農家に生まれた著者が、民族学者となって実家の農家に戻り、マーケティングと民族学の知識を応用した戦略で、日本だけではなく、ニューヨーク、パリ、フランクフルトなどの高級和食屋で使われたりして、注文を断るほどのバカ売れになったストーリーです。

レンコンは1本1000円ほどが標準的な価格で、この野口農園のレンコンは1本5000円なので単純に5倍の価格で販売しているそうです。

野口農園は従業員9人で、うち正社員5人。レンコンの販売だけで、昨年は約1億円の売り上げを計上。

茨城県は、都道府県の魅力度ランキング調査ではいつも最下位のことが多いです。
なぜ地域としてはブランド価値が低い茨城県の農産物を高値で売ることができたのでしょうか?

その理由を著者は戦後、農業を呪縛してきた「生産性の向上モデル」と決別したことと述べています。

それは、生産すればするほど儲からなくなるシステムで、日本のような国土が狭くて大規模農業ができないところでは、経営が難しく、少し前の減反政策などがその例です。

農業で稼ぐ仕組みとして、著者はレンコンのブランド化に取り組んだというわけです。

また、農家で生まれた著者は、農業に対する、拭いがたいマイナスイメージを持っていて、その一つに「やりがい搾取」をあげています。

「お金は儲からないけど、自然の近くで仕事ができる」
「都市生活では、希薄になった人間関係を取り戻せる」
「野菜を育てるのは楽しいし、癒しになる」

著者は民俗学・社会学の研究者として、日本各地で農業を営む人々にインタビュー調査を繰り返したそうですが、やりがいの罠にはまっているとしか思えないような農家、そのことに気がつかずにやみくもな努力をしている農家を見てきたそうです。

民俗学や社会学の論文の中に、農産物直売所が女性や高齢者の経済的な自立や精神的な自立やりがいに繋がるといったものが、多く見られるようになり、恥ずかしいことに、私もそのように感じていましたが、著者のお母さんは「本当は、そんなもんじゃねえ!色々あんだ!」と怒ったそうです。

「創られた伝統」と著者は言っていますが、セブンイレブンによって全国展開された「恵方巻き」や「七草がゆ」など、政治行政的要因、商業的な理由によって伝統は、新たに創られていると感じたそうです。

上記のような論文が社会に影響を及ぼして、やり甲斐搾取の農業が、拡がることに危機を感じ、農家が、やり甲斐を取り戻し、利益も確保するには、どうしたらいいのか、悩んでいたときに考えたのが、「一本5000円のレンコン」だったというわけです。

その後は、文字通り、トライアンドエラーの連続の挑戦が続くのですが、生産性の向上モデルとやり甲斐搾取に決別することは、私たちの「ジブン株式会社経営」にも大事なことだと、気がつきました。

「やった感」だけで満足(本当は、それほどやれていない涙)して、自分の売上につながっていないのは、自分のやり甲斐搾取なのかもしれないと。




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