No.001 【セリアン/Therian】について
【セリアンスロープ/Therianthrope】、或いは短縮形の【セリアン/Therian】とは、「自分自身の事を人間以外の生物であると考えている者たち」の事です。英語圏では 「シアリアン(θɪəriən)」 に近い発音がされる事もあるため、文献によっては 「シアリアン」 と表記される場合もあります。ヨーロッパ圏では 「セリアン」 に近い発音がされる事もあり、文化圏により発音が異なるため混乱や表記ゆれが発生しやすいものと思われます。
日本ではごく最近まで【セリアン/Therian】の概念が全くと言っていいほど認知されていませんでした。しかしここ数ケ月でSNS等で「テリアン」というキーワードが爆発的に広まり、【セリアンスロピー/Therianthrpy】が誤解されたまま伝わっていると友人から報告がありました。【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】の辿ってきた歴史を知らず、ごく最近 TikTok で流行っている動画を見ただけで「テリアンってこういうものなんだ」と誤解されるのは、個人的には我慢ならないほど悲しい事です。だからこそ、私はこのアカウントを開設し、出来るだけ【セリアン/Therian】が誤解されないよう、正しい知識を皆様にお伝え出来ればと考えています。
誤解のないように最初に申し上げておきますと、【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】には絶対的な「正解」や「間違い」はありません。あなたがこう思い、そう信じたなら、それがあなたの在り方です。誰にもそれを「間違い」だと否定する権利はありません。
ただ、動物の仮面や尻尾を身に着けて奇抜な行動をするのが【セリアンスロピー/Therianthrpy】の本質ではありません。我々がどういう生き物で、本来どういう性質を持っていて、どのように野生で生きていたか、それを理解し、慈しみ、鉄とコンクリートで埋め尽くされ自然が駆逐されてしまった現代社会で、「人間ではない動物としてどう生き抜くか」という非常に大きな問題に対して自分なりの回答を出す。それこそが【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】の真髄と言えるでしょう。
ですから、皆さんの「正しい自己理解」を助けるためにも、我々が歩んできた歴史や培ってきた情報を知っていただきたいです。TikTok上に現れた「テリアン」は、海外でここ2~3年で流行しだした【セリアン ギア/Therian Gear】や【クアドロビクス/Quadrobics】を「ファッションとして」輸入したものに過ぎません。輸入される過程で言語の壁により非常に大切なものが抜け落ちてしまったように私は感じます。
本当に大切なものは自身をいかに着飾るかでも、それによっていかに他者に惹きつけるかでもなく、「自分は本当は何者なのか」という深い自己認識なのです。「他者からどう見られるか」ではなく、「自分自身が他ならぬ自分自身のことをどう思いどう考えどう理解しどう定義するか」こそが【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】の根本です。ファッションはそれを表現した一つの形態に過ぎません。
ですので、【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】の事をよく理解した上で、自分がどんな生き物で、どういう性質を持っていて、どうすれば幸せになれるのか。或いはご友人や知人やご家族に【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】がいるのなら、そういう方々とどう接すれば良いのか。それを探求する一助にしていただければ幸いです。
或いは、近年になって叫ばれ始めているSDGsに対して、我々【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】こそが本当に「自分ごと」として問題に取り組む事が出来るのかもしれません。産業革命以降の大量生産大量消費の世界では、環境汚染が深刻化して幾種もの生物が絶滅の危機に追いやられています。我々【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】がどの程度物言わぬ動物たちの代弁者となれるかは分かりませんし、人類の皆様方が我々の言葉をどのように受け取ってくださるかも定かではありません。ただ、この美しい惑星・地球に住まう隣人として、この星がより長く持続可能な世界で在り続ける事を我々は望みます。
本当は【セリアン/Therian】であるにもかかわらず、自分自身の事を【ケモナー/Furry】であると勘違いしている方や、自分の事を「テリアン」だと思っていて、【セリアンスロピー/Therianthrpy】や【アザーキニティ/Otherkinity】の歴史や情報源にアクセス出来ない方々に、何らかの貢献が出来れば幸いです。
あなた方の自己探求の旅の行く末が、より良き未来へと繋がる事をお祈りいたします。