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【セリアン/Therian】と【アザーキン/Otherkin】

【セリアン/Therian】と非常に似通った存在として【アザーキン/Otherkin】が存在します。【アザーキン/Otherkin】も【セリアン/Therian】と同様に「自分自身の事を人間以外の生物であると考えている者たち」の事ですが、【アザーキン/Otherkin】はドラゴン、グリフォン、ペガサス、ユニコーンなど、「伝説上の生物」が「自分の種族」であると考えています。それに対して【セリアン/Therian】は犬、狼、狐、ハイエナ、ライオン、豹、トラ、鳥類、爬虫類など、「地球上に実在する生物」が「自分の種族」であると考えています。

 ちなみにこの「自分の種族」の事を、【セリアン/Therian】であれば【セリオタイプ/Theriotype】といいます。【アザーキン/Otherkin】の場合は「自分の種族」の事を【キンタイプ/Kintype】と表記します。【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】にとって「自分の種族」は非常に大切なものですし、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】同士が知り合えば性別や年齢や職業や趣味よりもまず真っ先に種族を聞かれる場合が多いです。

 一応、【セリアン/Therian】に対して「あなたの【キンタイプ/Kintype】は何ですか?」と聞いたり、或いは逆に【アザーキン/Otherkin】に対して「あなたの【セリオタイプ/Theriotype】は何ですか?」と聞いたりしても、大きな失礼にはならないでしょうが、相手の種族を尊重するのであれば、出来るだけ「正確な」聞き方の方がより好印象を持たれるかと思います。

【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の中には「どちらともいえない」種族もかなり存在します。代表例は狐でしょう。日本では「狐は化ける生き物」とごく自然に考えられてきましたが、海外では「化ける・変身する妖狐」の事を「Kitsune」と表記して、「化けない普通の動物の狐」である「Fox」と区別しています。海外ではこの「化ける狐」と「化けない狐」の間に明確な差があり、「Fox」は【セリアン/Therian】、「Kitsune」は【アザーキン/Otherkin】にカテゴライズされています。日本では稲荷信仰や民間伝承の影響で、「化ける妖狐」の【アザーキン/Otherkin】がかなり多いようです。

 近代ではアニメやゲームなどサブカルチャーが広く普及しており、自分自身をフィクションのキャラクターと同一視する方もいらっしゃいます。こういった方々は海外では【フィクションキン/Fictionkin】と呼ばれています。ただ、残念ながら【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の中には【フィクションキン/Fictionkin】を認めないと主張する方々もいらっしゃり、【フィクションキン/Fictionkin】の方々は肩身の狭い思いをされているのやもしれません。

 実際には、【覚醒/Awakening】を経験してからまだ日が浅く、自分の【セリオタイプ/Theiotype】や【キンタイプ/Kintype】がハッキリと特定出来ていなかったり、本来の自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】とは異なる種族を自分の種族であると誤解している場合もあります。そうなると、とりあえず目に留まった「自分の種族に近いキャラクター」を自分自身の種族だと思い込んでしまう事もあるでしょう。その場合、より自己探求が進めば「本当の」【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】を発見して、【フィクションキン/Fictionkin】から【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】になる方もいらっしゃいます。

 現実問題として自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】がとても珍しいものだった場合、自分の種族に関する情報源に触れるのが難しくなってしまう事もあります。特にタスマニアンデビル、イリオモテヤマネコ、キリマンジャロトムソンガゼル、オオグンカンドリなど、特定の地域でしか見かけないレアな動物種だった場合、詳しい情報を調べるのも一苦労でしょう。いくらインターネットが発達したとはいえ、そもそも日本に生息していない生き物に関しては日本語の文献がほとんど存在しない動物もいます。さらに言うなら動物学や動物行動学などの人間の最先端研究がまだ満足に及んでいない種族の場合、そもそも世界中のどこを探してもその種の動物のデータは存在しません。だからリアルの動物を記号化されキャラクター化されたゲームやアニメのモンスターを自分の種族だと思い込んでしまう事もあるでしょう。かくいうわたし自身もかつてはフィクションのキャラクターに自分を重ねていた時期があるので、【フィクションキン/Fictionkin】の方々を悪く言うつもりはありません。

 大切なのは、たとえゲームのキャラクターであっても、デザイナーさんやクリエーターの方々は、リアルの動物から着想を得て架空のキャラクターを描いた可能性が高い、という事です。架空のキャラクターであってもリアルの動物から何らかのエッセンスを大なり小なり継承しているものでしょう。その本質を解き明かし、自分の正体が本当は何であるかを突き止める事が出来れば、より深い自己理解に至る事が出来るやもしれません。

 ですので、自分が感じた【自己発見感覚/That's me! feeling】を信じるのももちろん大切な事ですが、架空のキャラクターに対して感じた親近感をより深く紐解いて、自分がそのキャラクターのどんなところに惹かれたのかをじっくりと分解して研究していくことで、真の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】が見つかるかもしれないという事も覚えておくと良いかと存じます。