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【シフティング/Shifting】について

【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】のような「自分自身の種族」が【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】にとって最も大切なエッセンスだとするなら、2番目に大切になるのはやはり【シフティング/Shifting】でしょう。

【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】は、様々な側面から自分自身の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kntype】を感じています。【シフティング/Shifting】はその「感覚の種類」であると言えるでしょう。

【シフティング/Shifting】とは何かを説明するなら、簡単に言ってしまえば「動物モード」のことです。どのような側面が「動物モード」になるのかは個々人で異なり、それぞれ「動物モード」に名前がついています。順に説明していきます。

【シフティング/Shifting】の種類

・【メンタル シフト/Mental Shift】

【メンタル シフト/Mental Shift】とは、自分の感性や考え方が自分の種族のものになる状態を指します。個々人によってどのように表出するかが異なり、強さもまちまちで、状況次第で変わる事もあります。

 例えば、狼の【セリアン/Therian】は非常に強い仲間意識を持っており、多少の自己犠牲を厭わず仲間を助けようとする傾向があります。
 そのため、他の種族からは「(心理的な)距離が近い」と指摘される事もありますし、献身的な態度を利用されて搾取されるような事態に陥ってしまう事も少なくありません。
 一方で赤の他人に対する警戒心が強く、見ず知らずの人に心を許すのに時間がかかる場合もあります。

 狐の【セリアン/Therian】は強い縄張り意識を持っており、自分のプライベート空間を他人に侵略される事を極端に嫌う傾向があります。また、汚れる事を好まず、特に自分のプライベート空間に汚れを持ち込む事を強く忌避する傾向があります。狼と違って群意識を持たない事も特徴的で、代わりに自分の伴侶を特別に大切にする傾向があります。

 ドラゴンの【アザーキン/Otherkin】は「飛ぶ事」に対して特別なこだわりや憧れを持っている事が多く、飛行機やジェットコースターに乗ったりサイクリングしたりといった体験で擬似的に飛行しているかのような感覚になるのを楽しむ方もいらっしゃいます。ただ、ドラゴンと一口に言っても実に様々な種類がいるので、一概に全てのドラゴンが飛ぶのが好きというわけではありません。

 このように自分の種族の持つ精神性に基づいた考え方や感じ方をする事を【メンタル シフト/Mental Shift】と呼んでいます。

【セリアン/Therian】には大きく分けて2タイプあります。
 ひとつは【メンタル シフト/Mental Shift】を完全に制御できて、自分の好きな時に「完全にOff」にして一時的に「普通の人間になる」ことができる【シフター/Shifter】。
 もうひとつは「状況に応じてある程度抑え込む」事しか出来ない【サンセリアン/Suntherian】です。

 ちなみに、私個人は【サンセリアン/Suntherian】になります。
 普通の人間の方々とお話させていただく時には出来るだけ「よく訓練された盲導犬」のように振舞おうと心構えする事で対処しています。
 
しかし、狼犬としての考え方や感じ方を完全にOffにして「普通の人間のように考える」事は出来ません。あくまでも「普通の人間はきっとこう考えてこのように行動するんだろうな」と予測して対処しているに過ぎません。
 しかし、日常生活で困る事はほとんどありません。
 実際に盲導犬が支援を必要としている方々にどのようなサポートが提供できるかを紹介する動画はネット上に沢山公開されているでしょうから、そちらをご覧になれば納得していただけるのではないかと思います。
 逆に私自身は「完全に【メンタル シフト/Mental Shift】をOffにできる」【シフター/Shifter】の方々がどのような感覚を覚えるのか想像する事さえ上手く出来ません。

【メンタル シフト/Mental Shift】は【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】と【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】の両方で扱われる分野です。
 しかし、近年では【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】での研究がさらに踏み込んだ領域にまで進んできており、海外では心に傷を負った【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】をどう癒すかというセラピーの分野にも光が当たるようになってきています。

・【センサリー シフト/Sensory Shift】

 ヒトの心理学で「感覚過敏/Hyperesthesia」として取り上げられている現象ととてもよく似ています。【センサリー シフト/Sensory Shift】は聴覚や嗅覚などの感覚器官が鋭敏化し、自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】に近い感覚になる【シフティング/Shifting】です。

【センサリー シフト/Sensory Shift】はどちらかといえば【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】で扱う分野かもしれません。
 前述のとおり「感覚過敏/Hyperesthesia」と似た性質を持っているため、ヒトの医療技術がそのまま【セリアン/Therian】の症状緩和に役立つ場合もあります。

【センサリー シフト/Sensory Shift】は「物理的に感覚器官が成長する」というよりも、むしろ「脳が無意識にかけていたリミッターが外れる」ことで発現するのではないかと【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】では考えられているようです。
 また【メンタル シフト/Mental Shift】と連動して【センサリー シフト/Sensory Shift】も自動で発現してしまう事も多く、ストレスを感じる状況に置かれた場合は、本人が随意にコントロール出来なくなる事もあります。
 そのせいで不快な音や臭いをさらに敏感に感知してしまい、もっとストレスが深刻化するという悪循環になってしまう事もあるようです。
【センサリー シフト/Sensory Shift】を出来るだけ随意にコントロール出来るようになる事が、【セリアン/Therian】として幸福になる近道になるかもしれません。

【セリアン/Therian】は性質上「闘争か逃走か/Fight or Flight」という動物が本来持っている「防衛機制/Defence Mechanism」が発現しやすい傾向にあります。
 心理学や動物行動学で示されているとおり、「防衛機制/Defence Mechanism」とは本来悪いものではありません。我々の祖先である動物たちが、何万年という長い時間をかけて「このような状況に陥ったらこうすることで生き残る確率が上がる」という問題解決のマニュアルが、本能という「生命のガイドブック」に予め記されているのです。
 しかし現代の人間社会ではストレスの多い環境から逃げ出す事が非常に難しくなっているため「私の本能のマニュアルには《こう対処しろ》と書かれているのに、どうしてやらせてくれないの!?」とストレスが深刻化してしまう可能性があります。これは【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】だけでなく普通の人間にも当てはまることです。

 そもそも、人間自身もほんの70~80年前までは当たり前のように戦争していました。今でも地域や文化圏によっては常日頃から命の危険に晒されるような環境にあります。そんな状況下では一瞬の判断ミスが死に直結しますし、少しでも怪しい物音や臭いがしたらすぐさま警戒態勢に移れるようにした方が生存率は上がります。動物の嗅覚や聴覚は本来そうして発達したものです。
 ですから「防衛機制/Defence Mechanism」も「闘争か逃走か/Fight or Flight」の問題解決行動も元来悪いものではありません。むしろ動物が進化の過程で獲得した「強さ」です。
 現代の日本はたまたま戦禍に巻き込まれるリスクが減ったため、本来は生存を助けるはずだった本能行動が逆に不用意に「緊急事態宣言」を自分の身体に対して発してしまうため、怯える必要がないものまで不必要に脅威に感じて徒労に終わってしまう機会が増えただけです。
 逆に災害が起きた時など生死を分ける状況になれば、生存本能や危機感知能力はむしろプラスに働く可能性が高くなります。

【センサリー シフト/Sensory Shift】をコントロールするには、まず本人が安心できる環境に身を置く事が第一です。
 常日頃から本人が命の危機を感じるような状況では、物音一つ聞こえただけでも安心して眠れなくなってしまうのは当たり前の事だと思います。まずは本人が学校や職場のイジメやストレスや、親類やパートナーからの虐待から逃れて安心して休める場所を見つける事がストレス緩和の第一歩となるでしょう。

 大切なのは「正しく怖がる」ことです。
 
クラクションを鳴らしながら歩道に突っ込んで来る大型トラックを怖がらないのはむしろ命の危機に直結します。しかし家の前を通る車のエンジン音まで怖がって外に出られなくなってしまうのは良くないことです。少しずつでも恐怖を克服していって、どれが自分にとって害のない音や匂いか、どれは本当に怖がらなければならない音や匂いなのかを少しずつでも学習していけると、【センサリー シフト/Sensory Shift】を随意にコントロールする近道になるかもしれません。
「感覚過敏/Hyperesthesia」の治療に秀でた専門医の方に相談するのも良いかもしれません。

・【レイジ シフト/Rage Shift】

【レイジ シフト/Rage Shift】は【メンタル シフト/Mental Shift】の一部であると位置づけられています。
 しかしとても特徴的な【シフティング/Shifting】であるため、【メンタル シフト/Mental Shift】から便宜的に分離して取り扱われる事も多いです。

 特に【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】では注意深く扱われる【シフティング/Shifting】で、【レイジ シフト/Rage Shift】が完全にコントロール不能になると【臨床的人狼症/Clinical Lycanthropy】にまで発展してしまう恐れがあるため、そうならないように「アンガー マネジメント/Anger Management 」などの方法で自分の怒りを抑える訓練をするのが望ましいとされています。
 ですので【センサリー シフト/Sensory Shift】と同様に【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】だけでなく「人間の心理学」にも関連深い【シフティング/Shifting】になります。

 ただ、この【レイジ シフト/Rage Shift】も一概に「悪いもの」とは言い切れません。
【センサリー シフト/Sensory Shift】と同様に「防衛機制/Defence Mechanism」や「闘争か逃走か/Fight or Flight」の一環であり、一瞬の判断が生死を分けるような状況であればむしろ大いに役立つ【シフティング/Shifting】です。戦時下や災害時、事件や犯罪に巻き込まれた時など、緊急事態に遭遇した場合はむしろ【レイジ シフト/Rage Shift】も「闘争か逃走か/Fight or Flight」の問題解決行動も直接的に自分の命を助けてくれる最大の武器になる可能性があります。

 ただ、それを会社のオフィスでやってしまうと大きな問題に発展しかねません。怒りをコントロールする術を身に着けるか、或いは自衛官や警察官や消防士などの特殊な職業に就いて自分の特性を仕事で活かせるような環境に身を置くのも対処法の一つと言えるかもしれません。
 実際に軍務についていらっしゃる【セリアン/Therian】は海外にはかなりいらっしゃいます。

・【パーセプション シフト/Perception Shift】

【パーセプション シフト/Perception Shift】はごく最近になって新たに「発見」された【シフティング/Shifting】です。
 
長らく【メンタル シフト/Mental Shift】の一環と考えられてきましたが、特徴的な性質を持っているため、【メンタル シフト/Mental Shift】から便宜的に分離して考えられる場合もあります。

【パーセプション シフト/Perception Shift】を理解するには、パソコンのウィルス定義ファイルを例に出して考えると良いでしょう。

 我々は常日頃から実に多くの情報に晒されています。
 通勤や通学の途中、学業や仕事に従事している間、或いは家に帰って余暇を過ごす時、休日にどこかに出かける場合、ありとあらゆる場面で非常に多くの情報と触れ合っています。
 しかし、これらの莫大な情報を我々はごく無意識的に「自分には関係ないもの」「自分にとって無害なもの」と判断し、無視しています。全ての情報に対して逐一気にしていたらとても生活できなくなってしまうからです。パソコンがウィルススキャンばかりしていると他のタスク処理が非常に重くなってしまって使い物にならなくなってしまうのに似ています。
 
 同じように【セリアン/Therian】も通勤や通学の途中で目にする街並み、自然、通行人、広告などをほとんど本能的に無視しています。
 どの生き物も例外なく、同時にたくさんの事柄を思考することは出来ません。「どんな動物にも脳のワーキングメモリには限りがある」と心理学や動物行動学では唱えられています。すべての感覚を常に意識してまえば、身が持たなくなってしまいます。

【パーセプション シフト/Perception Shift】は、この「本能的に無視をする」という行動が出来なくなる現象です。
 
言い換えれば、人間として当たり前に受け容れられていた物事が、唐突に摩訶不思議な現象に思えてくる【シフティング/Shifting】です。
「人間にとっては無害」なものであっても、「自分の【セリオタイプ/Theriotype】にとっては有害なもの」に対して敏感に反応してしまう【シフティング/Shifting】で、多くの場合は随意にコントロール出来るものではないようでs。

【パーセプション シフト/Perception Shift】は長時間続く【シフティング/Shifting】ではないようで、短ければほんの数十秒、長くても数十分ほどしか持続しないと聞きました。
 当事者が語った例え話によれば「一年ぶりにエアコンを起動した際には冷風独特の香りを意識してしまうが、しばらくすると気にならなくなる」という現象に似ているとのことです。

【パーセプション シフト/Perception Shift】は誰もが明確に経験するわけではなく、犬や猫など人間と接する機会が多い種族の【セリアン/Therian】はあまり経験がない場合があります。
 逆に人間とあまり接点を持たない種族ほど、都市生活の中で覚える「違和感」が強くなり、【パーセプション シフト/Perception Shift】が頻発したり持続時間が長くなったりするのではないかと予測されます。
 しかしまだ「発見」されて間もない【シフティング/Shifting】であるため、今後の研究次第で詳細が明らかになっていくかもしれません。

・【ファントム シフト/Phantom Shift】

 幻肢痛の事を英語では「ファントム ペイン/Phantom Pain」と呼びます。【ファントム シフト/Phantom Shift】の「ファントム」とはこの「幻肢」を指しています。
 スピリチュアルな分野では「亡霊」や「祖霊の魂」の事を「ファントム/Phantom」と呼称する事が多いのですが、こと【セリアンスロピー/Therianthropy】の分野では、「ファントム」と言えば【幻肢/Phantom Limb】の事を指す場合が大半です。

【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の場合、自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】に備わっている身体の部位を【幻肢/Phantom Limb】として体感する事がよくあります。
 
尻尾があるように感じる、マズルがあるように感じる、手足に肉球があるように感じる、といった経験をした【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】はかなりの数にのぼります。
 ドラゴンや天使の【アザーキン/Otherkin】では翼があるように感じる方もいらっしゃるようですし、幼児や犬猫などの動物がまるで他者の【幻肢/Phantom Limb】を感じ取っているかとような行動をとる事もあるとの報告もされています。

【ファントム シフト/Phantom Shift】は性質上【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】の分野として扱われる事が多かったのですが、近年になって【神経学的セリアンスロピー/Neurological Therianthropy】の分野でも取り上げられ、「ファントムリム/Phantom Limb」現象や「身体地図/Somatosensory Map」と関係があるのではないかという研究が発表されたと海外の【セリアン/Therian】のコミュニティで一時期話題になっていました。

・【オーラ シフト/Aura Shift】

【ファントム シフト/Phantom Shift】と似た【シフティング/Shifting】です。【ファントム シフト/Phantom Shift】が「自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】の肉体そのもの」だとするなら、【オーラ シフト/Aura Shift】はその肉体のさらに外側を覆う「気」や「スピリチュアル エナジー/Spiritual Energy」が自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】のものになる【シフティング/Shifting】です。

【オーラ シフト/Aura Shift】は主に【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】が扱う分野で、【ファントム シフト/Phantom Shift】よりもさらに「スピリチュアルな」要素が濃い【シフティング/Shifting】と言えるでしょう。
 パワーストーンやパワースポットが持っている力を強く感じられる【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】は多く、【オーラ シフト/Aura Shift】や【ファントム シフト/Phantom Shift】で扱っている「気」や「スピリチュアル エナジー/Spiritual Energy」は、魔術や占いのような「人間のスピリチュアルな実践」で用いられるエネルギーと本質的には同じものだと考えられています。
 そのため魔術や占いに興味を持つ【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】も少なくありません。

・【バイ‐ロケーション シフト/Bi-location Shift】/【アストラル プロジェクション/Astral Projection】

 東洋では「幽体離脱」や「千里眼」のような「自分の魂が肉体を離れて別の場所に移動する」体験として知られています。
【セリアンスロピー/Therianthropy】でこの現象を扱う場合、「肉体から離れて浮遊する魂」が自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】のものになります。
【バイ‐ロケーション シフト/Bi-location Shift】と【アストラル プロジェクション/Astral Projection】は単に呼び方が違うだけで、同じ【シフティング/Shifting】を指しています。
 しかし【アストラル プロジェクション/Astral Projection】に関しては【セリアンスロピー/Therianthropy】以外のスピリチュアルな分野でも用いられている用語なのかもしれません。

【バイ‐ロケーション シフト/Bi-location Shift】や【アストラル プロジェクション/Astral Projection】は主に【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】が扱う分野とされてきました。
 しかし近年になってVRChatをはじめとするメタバースが普及し始めて、以前とは異なる側面も見えてきました。自分のVR上のアバターに他者のアバターが触れた時に「あたかも自分自身が触れられたような感覚を覚える」という体験談を多く耳にするようになりました。この現象は「VR感覚」や「ファントム センス/Phantom Sense」と呼ばれているそうです。

 この現象を【セリアンスロピー/Therianthropy】的に解釈するのであれば、バーチャル空間上の自分のアバターに自分の魂を半ば無意識的に【アストラル プロジェクション/Astral Projection】しているため発生するものだと推測できます。
 VRChatやSecond Lifeのようなメタバースで自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】のアバターで活動することで精神的な充足を得ている【セリアン/Theiran】や【アザーキン/Otherkin】は多く、【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】からも「自分の翼や尻尾に触れられた感覚があった」という体験談が寄せられています。

 そもそも【バイ‐ロケーション シフト/Bi-location Shift】や【アストラル プロジェクション/Astral Projection】は、自分の【幻肢/Phantom Limb】を自分の肉体から引き剥がしてイメージどおりに動かすような技術です。自分の【幻肢/Phantom Limb】を「投影/Projection」する対象を意識しやすければ、より一層強い体感フィードバックを受け取るものと推測されます。
 VRChatのようなメタバースは視覚的に自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】を知覚できるため、感覚強度が強まるものと推測されます。【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】以外の普通の人間の方も同様の体験をしているようなので、【アストラル プロジェクション/Astral Projection】は「人間のスピリチュアルな実践」とも関連深いものと考えられます。

「VR感覚」や「ファントム センス/Phantom Sense」に関しては、認知心理学や神経科学の分野で研究が進められているそうで、「共感覚/Synesthesia」や「クロスモーダル現象/Cross-modal phenomenon」といった現象と関連深いと考えられているそうです。今までは主に【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】の分野とされてきた【バイ‐ロケーション シフト/Bi-location Shift】や【アストラル プロジェクション/Astral Projection】ですが、今後【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】や【神経学的セリアンスロピー/Neurological Therianthropy】の分野でも研究が進めば新たな展開を見せるかもしれません。

・【ドリーム シフト/Dream Shift】

 睡眠時に自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】になっている夢を見る【シフティング/Shifting】です。
 多くの【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】が経験していますが、随意に【ドリーム シフト/Dream Shift】できる方はかなり珍しいのではないかと思います。自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】になって苦痛を覚える【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】は極めて稀でしょうから、基本的に【ドリーム シフト/Dream Shift】は多くの【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】から歓迎されます。しかし夢から覚めた時に悲しくなるのは避けられない「副作用」かもしれません。

【ドリーム シフト/Dream Shift】は主に【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】の分野で扱われます。
 しかし、夢の内容が霊的に特別な意味を持つような場合は、単なる【ドリーム シフト/Dream Shift】ではなく【アストラル シフト/Astral Shift】として扱われる事もあります。

・【アストラル シフト/Astral Shift】

【セリアンスロピー/Therianthropy】に関する特に強力な霊的体験をした場合、【アストラル シフト/Astral Shift】と分類されます。
【アストラル シフト/Astral Shift】は【ファントム シフト/Phantom Shift】や【ドリーム シフト/Dream Shift】を伴う事も多く、シャーマニズムのトランス状態と似た現象として語られることもあります。
 主に【霊的セリアンスロピー/Spiritual Therianthropy】の分野とされており、「スピリチュアルな」要素がとても濃いため、【心理的セリアンスロピー/Psychological Therianthropy】や【神経学的セリアンスロピー/Neurological Therianthropy】で研究するのがやや難しい分野になります。

 前述のとおり【アストラル シフト/Astral Shift】はとても主観的な【シフティング/Shifting】で「とにかく超自然的な体験をして、それが【セリアンスロピー/Therianthropy】と関連深いものだった」場合に【アストラル シフト/Astral Shift】と分類される、というかなり曖昧なものです。

【ドリーム シフト/Dream Shift】の最中に【守護霊/Guardian Spirit】と対話するような体験もあれば、白昼夢のようなトランス状態の時に自分の【幻肢/Phantom Limb】を非常に強く感じる事ができたという報告もあり、とても多種多様です。ネイティブアメリカンの信仰の【守護霊/Guardian Spirit】や【トーテム/Totem】と関連深い【シフティング/Shifting】であるとされ、米国の【セリアン/Therian】の中には【瞑想/Meditation】を用いた伝統的な方法で【アストラル シフト/Astral Shift】を随意的に体験しようと試みる方もいらっしゃいます。

・【フィジカル シフト/Physical Shift】

 自分の肉体が物理的に自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】になる【シフティング/Shifting】です。
 物理的に起こり得ない現象ですが、歴史の項で触れたとおり一部の集団が【ファントム シフト/Phantom Shift】や【メンタル シフト/Mental Shift】を【フィジカル シフト/Physical Shift】であると誤認してしまったため、かつて【セリアン/Therian】のコミュニティが分断されてしまった事件が起こりました。
 そのため【フィジカル シフト/Physical Shift】について議論する事を「タブー」としている【セリアン/Therian】のコミュニティは現在でも存在します。それほど深い傷跡を【フィジカル シフト/Physical Shift】の論争は多くの【セリアン/Therian】の心に刻み付けてしまったようです。

 とはいえ、自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】の肉体に憧れるのは【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】の共通認識と言っても過言ではありません。
 現代科学では残念ながら【フィジカル シフト/Physical Shift】は不可能ですが、VRChat や Second Life のようなメタバースでアバターを通じて自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】になるなど、何らかの方法で埋め合わせが出来ると良いかと存じます。

・【カメオ シフト/Cameo Shift】

【カメオ シフト/Cameo Shift】は非常に例外的な【シフティング/Shifting】です。
「自分の【セリオタイプ/Theiotype】や【キンタイプ/Kintype】 で は な い 種族にシフトします。
 主に【ファント ムシフト/Phantom Shift】や【メンタル シフト/Mental Shift】を伴う事が多いのですが、【カメオ シフト/Cameo Shift】が発生している間は自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】を誤認しやすいため、注意が必要です。

【カメオ シフト/Cameo Shift】は【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】が強いストレス下に置かれた時などに発生しやすいです。
 こんな酷い状況がいつまでも続いたら心が壊れてしまう、死んでしまう、それでも逃げ出せない、そういった過酷な環境に置かれた場合、「本来の自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】には存在しない身体部位」を一時的に感じてしまう場合があります。
 代表例は自由の象徴としての「翼」や力の象徴としての「角」でしょう。
 これらの特徴が本来の自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】に加わった結果、「ウィングド ウルフ/Winged Wolf(翼が映えた狼)」や「デモニック ウルフ/Demonic Wolf(悪魔のような狼)」のような別の種族に変化してしまう場合があります。その結果自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】を誤認してしまう場合があります。

 こういったストレスの多い状況から脱する事ができれば、「翼」や「角」といった「本来の自分には存在しない象徴としての身体部位」が消失する場合もあり、「元来の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】」を取り戻す事ができる場合もあります。
 しかし「元来の自分の種族」に戻った後も、「かつての自分の【セリオタイプ/Theriotype】や【キンタイプ/Kintype】」が本人の中で「特別な種族」として残り続ける場合があります。
 この場合【キン/Kin】ではなく【キース/Kith】として扱われます。【キン/Kin】が「自分の種族」で、【キース/Kith】は「自分の種族ではないけれど、特別な親近感を覚える種族」です。

まとめ

 このように我々【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】は実に様々な面から自分の「動物モード」を体験しています。
 
 どの【シフティング/Shifting】を体験するかは個々人により大きな差があり、どの程度の強さの体感をするかもまちまちです。ものによっては苦痛を伴う【シフティング/Shifting】もありますし、自分でコントロールしづらい不随意な【シフティング/Shifting】も存在します。
 ですので【セリアン/Therian】や【アザーキン/Otherkin】である事は必ずしも幸福であるとは限りません。しかしそれでも何とか生きていくために、我々は自分の【シフティング/Shifting】と上手く付き合っていかなければなりません。

 この項が自分の【シフティング/Shifting】をより良く知ったり、より上手くコントロールするためのアドバイスになれば幸いです。