『シン・二ホン』を読んで考えたこと。

2019年秋。これからの仕事について考えていた。世の中に価値が提供できる仕事は何か。鍵は『人とデータ』だとぼんやり思った。
2020年2月。書店でオレンジの丸を見かける。
2020年4月。開疎化という言葉を聞く。
そして『シン・二ホン』を手に取った。

一気に読んだ。私がぼんやり考えていた『人とデータ』について、現状と打ち手が鮮明に描かれていた。その中で、私に刺さったのは日本の生産性の現状、そして自然とともに生きる美しい未来。

『女性ののびしろ』。
 兼ねてから不思議だった。娘が小学生のとき生徒会長は仲の良い女の子。彼女は数百人の生徒、先生の前で臆することなく発表をする。一方、社会で檀上に上がっているのは男性が圧倒的多数。私が子どもの頃にすでに女子の生徒会長は少なくなかったけれども、彼女たちはどこに消えたのか。
 女子御三家出身だった大学のときの友だちが、専業主婦をしていると聞く。娘の中学受験で、女子御三家の合格を得ることがいかに大変かを実感し、また不思議を感じる。それを通って、大学で学び、社会に出て、家庭に入る。何のために?
 今、会社で上を見ると、出世しているのは男女問わずOld Boys Clubにコミットできた人たち。もちろん女性は圧倒的少数。偉い人と仲良くなり、いうことを聞き、思惑を慮り、根回しを怠らず、時間の限りなく働いてきた人が、良い評価を得る。それが仕事の能力?
 森さんの言葉は、やはり現在の日本社会の本音が出たのだと思う。それが実態だ。

『「伐採」されるシニア層』。
 私は何かのカウントダウンが始まったことに気づいていた。その何かは「伐採」なのだと『シン・二ホン』が教えてくれた。日本企業の従業員の平均年齢はすでに40歳を越えているという調査結果がある。人口のボリュームゾーンがそのまま1年1年、年を重ねるのだから、その人たちの多くが「伐採」へのカウントダウンを感じながら働いているということだろう。

 こんな日本社会で、活躍の場を削られてきた、削られている人たちの、才能と情熱が解き放たれると、確かにのびしろは図りしれない。

 そして、もちろん未来を生きる若者。1人でも多くの若者がその才能と情熱を解き放てるように、私はできる限りのことをしたいと思う。彼らの生きる未来のために、小さな1つから今を変えていくのだ。

『自然とともに生きる美しい未来』
 私が目指したいのは『自然とともに生きる美しい未来』。『シン・二ホン』に書かれているこの言葉をみたときに「そうなんだよ。そういう未来なんだよ」と思った。コンクリートのマンションに多くの家族が住み、家々が所狭しと立ち並ぶ街。私たちはそんなにぎゅうぎゅう集まって暮らさなくてもいいはず。もう少し広々と、自然の近くで生きていく方が、豊かで幸せなのではないだろうか。
 日本は森林の占める面積が67%とある。豊かに生命が息づく森林への憧れがある。憧れだけでは生きていけないことは理解しているが、この豊かな森林をさらに豊かにし、未来に遺すために何をするか見つけようと思う。

安宅さんは安宅さんの風の谷を創るのだろう。私は私の風の谷を創るための一歩を踏み出す。
願いを胸に。みんなが幸せな世界でありますように。


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