神の視点_2021/11/28

人には平等に与えられた力があると思う。

神の視点、である。

生まれながらにぼく達は、神の紛い物としてこの力を持っている。それは考える葦である我々人間にのみ許され、考えることにより完璧な神に近づくことを許された、神もどきの力と言ってもいいかもしれない。だんだん胡散臭い話になってきたが、特殊能力とはロマンでもあるので、無駄に膨らませて書いてみたくなってしまっただけである。実際はたいそうな話でもない。

例えば、アルバイトよりも店長の方が仕事ができることが多い。それはアルバイトが見ている視野が勤務時間内の店内であるのに対して、店長が見ている視野は店全体だからである。勤務時間内をやり過ごせばいいアルバイトは、適当な仕事をしても時間が終われば帰ることができる。しかし店長は、適当な仕事の結果、後日になってクレームに繋がったりリピートにならず売り上げが落ちるところまで想定できる。

例えば、部活の後輩と先輩である。下の学年はてんで勝手な要望を言い、理想の先輩像であったりを押し付ける。しかし先輩は、それら我儘な後輩を束ねなければならない。一人一人に最適な対応の仕方が少しできなくとも、時として全体を考えて指示を出し、嫌われ役になる必要すらあるかもしれない。更に彼ら彼女らを見守り、時に残業をし、大会などで遠征があればその手配などをしているのは、顧問の先生だろう。時に廃部すら、必要な選択だ。

例えば、我々国民はこの国に多くのことを望む。借金を増やすのはよくない、給付金なんてばら撒きだ。でももらえるなら欲しい。もらったはもらったけど、やっぱりそんなのばら撒きだ。もらうけど。海外に弱腰でどうする、アメリカとも対等に!だが、ぼく達は何も知らない。国の偉い人達が本当はどんな課題に直面しているのか、何も知らないのである。もしかしたら、この数年で日本は何度も戦争の危機にあったのかもしれない。ぼくらからは一見無意味に見える政策はそれ自体に意味は無く、ただ裏でそれがあったから、重大な外交問題に発展せずに済んでいることがあるのかもしれない。

いくらYouTubeが好きでも、YouTuberと対等には話せない。

いくら子供が好きでも、幼稚園の先生と対等には話せない。

いくら税金を納めていても、議員と対等には話せない。


神の視点、その範囲が違うからである。


人は生まれながらに、神の視点を持っていると仮定する。しかしそれは、持っているだけでは何の力も発揮しない。神の視点、その視野は広げて初めて機能するものだからだ。


Aさんには半径10mだけ見えるとする。それがAさんが持つ神の視点だ。その範囲には、楽しそうに遊ぶ子供が見える。微笑ましそうにそれを見つめる。するとBさんが突然その子供を突き飛ばした。AさんはBさんに怒りを覚えた。

Bさんには半径50mだけ見えるとする。それがBさんが持つ神の視点だ。その範囲には楽しそうに遊ぶ子供と、そしてそれに向かって突っ込んでくるトラックが見える。Bさんは子供を助ける為、突き飛ばした。その結果、Bさんは死ぬことになる。AさんがBさんの行為の理由を知るのは、Bさんが死んだ後だ。

Cさんには半径1kmが見えるとする。それがCさんの持つ神の視点だ。その範囲には人々が行き交う街と、そこで暴走するトラックが見える。Cさんは警察を動かし罠を貼り、トラックがやってくるのを待ち構えパンクさせ、止めることに成功した。これでBさんは死なずに済んだが、死ななかった世界線のBさんは「今日はパトカーがうるせえな」と他人事である。Aさんは呑気に子供と遊んでいる。


これが、神の視点の違いだ。実際はもっと複雑で、そしてCさんの後ろにはDさん、Eさん、Fさんと限りない。もしかしたら、アルファベットの行き着く先がいつか、神の領域とやらになるのかもしれない。そしてB、Cさんまでの視点ではトラックに対応していたが、それ以上の視点になれば、一々そんなことには構わなかったかもしれない。一つの事件を解決するより、類似する事件の根本的な改善案を作った方が結果として、多くの命を救えるからだ。神の視点まで辿り着けば、そもそも人を助けなくていいのかもしれないが。


神の視点、その視野は自分ごととする世界の範囲だと考える。


※ここからの内容はぶっちゃけ過ぎているので口外は厳禁でお願いします。SNS等での発信もご遠慮ください。


ここから先は

1,817字
月額1000円の有料日記です。こちらの金額をお支払いして頂ける方のみ、 僕の本音を聞いてください。 ただ本音過ぎる内容になるので、口外は一切ご遠慮ください。

〔イラスト_専属絵師ささち〕 本音なんて聞きたくない方は読まないでください。 ぼくの本音を聞く覚悟がある方だけ、ご購読頂けると幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?