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おすすめ断髪小説(自分の以外)

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2022年4月の記事一覧

【断髪小説】髪を貢ぐ女②

「どう、かな?」

流石に照れながら聞いてくるメグさんに、グッときてしまう。

「いいと思う…。なんか見違えたね」

正直な話をすると、前髪を切る前のメグさんは俺のタイプのど真ん中だった。
でも、眉のはるか上で揃った似合わない前髪も、それはそれでグッとくるものがある。

「えー、はる君絶対思ってないじゃん、切り損だよ切り損。明日からどうしよー」

そう言って眉をハの字に寄せるメグさんから目を逸らす

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【断髪小説】髪を貢ぐ女①

メグさんと初めてあったのは、俺が21歳の時だった。そのときのメグさんは29歳の、童顔だけど大人の女性だった。
歳は離れていたものの、彼女が追っかけをしているアイドルに似ているらしい俺のことを可愛がってくれていた。
とは言っても、単に仲の良い飲み仲間みたいなもので、当時は男女の関係ではなかった。

俺が大学を卒業して、他の都市で就職してからはメグさんとも疎遠になってしまっていたのだが、この春から転勤

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