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夢殿シリーズ・第二形態・第三形態・第四形態

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「夢殿」をモチーフとして選んだ時…… だれもが「やっぱりやめた ! !」そう感じられるものに出来たのだろうか。夢殿を書かせたら世一よぉ~。そういう世界に身を置くこともありではない…
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2022年10月の記事一覧

小説「夢殿・笑うひと泣くひと」第三形態 本文5287文字

            筆名 飛 鳥 世 一 22年02月作品    画・不染鉄・夢殿(昭和42年頃と推察するも詳細不明)   斑鳩の地を濡らす秋の長雨は糸を引くようだ。伽藍周辺でも季節変わりの雨を途切れることなくみせている。雨水に染まった玉石は濃い鼠色を纏ったまま微動だにせぬ。  柔らかな陽ざしさえあれば、白地に薄く藍を溶かし込んだ「石」本来の姿は訪れる参詣客の足元で、心地よい旋律を奏で聞かせるに一役買ったはずである。さながら天と地が繋がった合図を思わせるようで雨をおとす

ショートショート 「夢 殿」第二形態

ショートショート・夢殿                          筆名 飛 鳥 世 一   斑鳩の地を濡らす秋の長雨は糸を引くように。伽藍周辺でも季節変わりの雨が途切れることなく降り続く。  雨水に染まった玉石が、今や濃い鼠色を纏い微動だにしない。  白地に薄く藍を溶かし込んだ「石」本来の姿は、柔らかな日差しさえあれば、訪れる参詣客の足元、心地よい旋律を奏でるに一役買っていたものを。     それがこの処の雨が禍(わざわい)してか、参詣客の足もめっきり遠のいてしま