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人は泣きて生まれ落ちる 一生のうちに何度泣くかを告げられぬまま 知らされぬままに 潮満ちて人は笑うことをおぼえる 一生のうちに何度笑うかを告げられぬまま 知らされぬままに。 いつしか泣くことは、哭くことを選び 笑うことは嗤うことを選ぶ それぞれの夢殿を前に人 はたと気つく 何度泣けただろう 何度笑えたのか 哭いた数は九十九に及び 嗤た数は数知れず 生ける間に開けておくは 吾夢殿の扉であった と痴れば芳し 世一 さてまた随分と埃くさいものを