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初デート


シルヴィアは満面の笑顔で服を選んでいる

明日はディーバの森の散歩
なんていったってアポロが誘ってくれたのだ
お互いになんとなく惹かれているのは分かっている

自分の気持ちに正直になろう

だから……待ってるだけじゃダメなのよ!
明日アポロが言わなくても自分が言う!

そんな決心をしながらうれしくて笑顔で服選び

「散歩ってただ歩くだけよね……・でもあのアポロが選ぶ道だから……
通常の道なのかしら……」

歩くだけならスカートでもいいのだが獣道となるとズボンのがいい……

「あ!そう思ったらヒールは絶対ダメだから、、、先に靴を選んじゃおう」

衣装ケースから離れ靴箱に向かい、スニーカーを選び

「靴に合わせて服を選べばいっか」

アポロにおしゃれしてもきっと褒めてくれないだろうし

ちょっとラフな格好でいいか・・
Tシャツとミニズボンに決定し それをベッドの横の椅子にかける

「あ、もうこんな時間早く寝ないと!!!」

いそいそとベッドに入り明日のことを考える

明日……なんて言おうかしら……
やっぱりストレートに“アポロが好き”……恥ずかしい///
それとも“貴方と共に同じ時間を歩んで生きたい”ちょっと遠まわしかしら???アポロが気付いてくれるかしら……
こうでもないあーでもないと考えているうちに段々眠くなる

だだだだだめよ、まだ決めてないのに寝ちゃ……

でも明日眠くて目の下に隈を作ってアポロには会いたくない!

元気な自分でアポロと接したい!
自分は自分だと言ってくれたアポロに……

今日は寝よう

おやすみなさい


チュンチュン……


鳥の囀りにシルヴィアは目を覚ます

「朝か……いけない急いで準備しないと!」

慌てて起き上がり身支度を整える

髪をまとめ、台所へ向かう

失敗しないお弁当を準備しに……


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「できたーー♪アポロ喜んでくれるかな~」
ちょっと簡単すぎたかしら……
でも失敗してまずいって言われるとショック……
アポロならなんでもおいしいとか言いそうなだけどね

「いけない、そろそろ時間だわ」
急いで出来上がったものを包み、もう一度部屋へ戻り
準備したお弁当をバスケットに入れ、昨日準備した服に着替える
「よし、変じゃないわよね!準備OK!」
お弁当も出来、今からアポロと会えると思うと気合が入る
うきうきと待ち合わせ場所に向かう

待ち合わせ時間10分前だと言うのに既にアポロがいる
ベンチに座り空を見ている

先に待ってようと思ったのにもういる
アポロたらいつからいるのかしら??

いたずらを思いついた顔になる

ちょっと驚かしてみよう

そーっとベンチの背後に回り、近付く
いきなりアポロの目の前が真っ暗になる

「お待たせ♪」
手で目隠しをしながら声をかける

がアポロは驚いた様子を見せずに、シルヴィアの腕を掴み
おう と声をかけてくる

「全然驚かないのね?」
アポロの首に腕を回す

「匂いでお前が近付いて来てたのは知ってたからな」
やわらかい笑顔を浮かべ言いながらシルヴィアの腕の匂いを嗅ぐ

シルヴィアはアポロの頭の上に頬を添える
腕と頬にアポロの温もりが伝わって気持ちぃー

しばらくゴロゴロしていると

「……・そろそろ行くか」
そう言い、首からシルヴィアの腕を離し立ち上がる

アポロがシルヴィアの方へ顔を向ける

「っ!!」
「?何????どうしたの???」
シルヴィアを見たアポロは目を大きく見開いて驚愕の顔になっている

「あ……いや……なんか、いつもと服装違うなって///……
あと短か……なななんでもねえょ!」
ちょっと顔を赤くし、鼻をかきながら言う

「え……」
そういえば浮かれて服を選んだけど、ちょっと短かったかしら……
改めて言われると太腿見せてて恥ずかしい……

「えっと、……・・着替えた方がいい?」

「いや、いいよ 行こうぜ」
いつの間にか脇に置いておいたバスケットを持って、アポロが歩き出す

「うん」

アポロとディーヴァの森を歩く

最初は普通の道だったのに段々険しくなる

「ちょ!!!ちょっと本当にここ行くの?」

シルヴィアが指差す方向にあるのは道無き道……獣道

「おう、ここ抜けたほうが早いからな」

「もう、一体どこ向かってるの教えてくれたっていいじゃない!」
何度も聞いてるのに教えてくれない

「だーから、着いてからのお楽しみだって」
左手をシルヴィアに差し出す

「え……・・」
これって……

「こけないでよ!///」
照れながらシルヴィアは右手を添える


アポロが先頭を歩き、草や枝などをどけてくれるが
その反動がついたものがたまにシルヴィアの足に当たる
痛っ……・あー足が傷だらけ……
アポロが普通の道を選ばないかもまでは予想したけど
葉っぱで自分が傷つくのは予想外だったわ
やっぱり長めパンツにすればよかった……

そう思いながら歩いていると

「お、着いたぞ」

森の先には湖がある

「うわぁーー綺麗」
アポロとシルヴィアの目の前に大きな湖がある

「水も綺麗で飲めるぞ。たまに泳ぎに来てるんだ魚もいるし」

シルヴィアは両手で水を掬い上げ飲んでみることにした

「冷たくておいしい!」

ソレを聞きニヤと笑うアポロ

「着いたし昼にしようぜ、腹へってしょうがねぇー」

「そうね」

アポロがバスケットを開けだす

「で、ボケ姫は何もってきたんだ?」

「ききき期待しないでよね!ただ……足りるかどうか・・」

そこにはバスケット一杯にサンドイッチが入っていた

「お、うまそう~♪」

といい口に入れだすアポロ

シルヴィアはアポロの横に座り
一緒にサンドイッチを食べる

「へー色々な味のがあるんだな」

シルヴィアが作ったサンドイッチはジャムをただ塗っただけのものだった

「簡単なものでごめんなさいね!
せめて味だけでもバリエーションあるほうがいいかなっと思って……」

ストロベリージャム・オレンジジャム・ブルーベリー・りんご・ハニーと
様々なものがあった

「簡単とか別に気にしてねぇぞ、それよりこれだけ準備したほうが大変だったのじゃねぇのかよ
ま お前が用意したものはなんでも食うけどな」

最後のほうは小声になっている

「ありがとう」

素直な気持ちを言葉にする


殆どのサンドイッチをアポロが平らげバスケットの中はキレイに空っぽになっていた

「ふー食った食った」
と横になるアポロ

食べてすぐ横になるのは気が引けるが気持ちよさそうなためシルヴィアも隣で
横になろうと、一旦立ち上がる

「その足傷だらけじゃないか……」

アポロがシルヴィアの傷だらけの足に気付く

「あ……・ちょっと短いの穿いてきちゃったから……」

よく見ると太腿から足首あたりまで傷がある


思ったより傷が多いわね……今日のお風呂沁みそう……


「痛くないのか?悪い……俺が選んだ道が悪かったせいだな……」
アポロがジロジロ足を見ている

「そんな見ないでよ!恥ずかしいわね!!大丈夫大丈夫 こんなの対した傷じゃないわ」
歩いていた時は痛かったが今はまったく痛くない

見られるのも恥ずかしいので腰を落とし座り込む
「ふーん……」
そう言いながらアポロが上半身を起こす
何を思ったのか、傷を舐めだした


「ひ……ひゃん!!!!」

思わず声を出し足を引っ込める


「ななななな何するのよ!!!!!///」
耳まで顔が真っ赤になる

「ほら、よく言うじゃねえか、舐めときゃ直るって」
にんまり笑い再度シルヴィアの足を取り舐めだす


「いやーーーー汚いから!!恥ずかしいから~~~!!ひ!!!あっ」
舌が触れるたびにびくっとしてしまう


逃げ出そうと抵抗するもアポロの右手が足を持ち、左手で身体を押さえられて動けない

「アポロ~……やめ……てよ」

訴えるも無視され舐め続ける

恥ずかしくて、顔を背ける
身体がびくっとなる度に声がでるのも尚更恥ずかしく眼に涙が溜まる

アポロはそんなシルヴィアを楽しむように傷口を舐め続ける

「腕にも傷があるじゃないか……」
時間がどれだけったのか分からないが、足に満足したのか次は腕を取り舐めだした

「アポロ……もう……だめだって」
身体がぐったり来ている状態で腕をなんとか振り解く

むぅ と顔をするが すぐにまじめな顔になり……

「シルヴィア……」

シルヴィアの身体を引き寄せる
手を顔に持っていき指で涙をぬぐう
シルヴィアの瞳が自然に閉じられる
アポロは瞼に唇を落とし……

そのまま下に移動し唇と唇を重ねた


延々と思える時間


いつ唇が離れたかはわからない

いつの間にか抱き合っていた

「アポロが好き」

夢見状態でやっと声を振り絞る
今言わないとこのままアポロが消えそうな気がして……


「アポロが好き」

もう一度言う 現実だと思うために


「俺も……」


「俺もシルヴィアが好きだ」

抱きしめている腕に力が入る

アポロもお返しとばかりに力強く抱きしめてくる

二人はお互いを見る
再度顔を近づけ唇を交わす

しばらく行為を繰り返し、二人は現実に戻る

離れた後は妙に照れくさくお互いに顔を真っ赤にして帰路をついた

アポロとのキスはいちごジャムの味がした……


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