見出し画像

プロポーズ

今日はディーヴァの皆で街にお買い物だ

必要なものを買い、喫茶でお茶をしていると
近くの教会から鐘の音が聞こえる

「鐘の音……」
シルヴィアがつぶやくと、隣のつぐみが

「結婚式でしょうか?」

「6月ですからね~。知ってますか?6月はジュンブライトと言いまして、
この月に結婚をすると、女神の加護を受け幸せになれるんですよ!
見に行きますか?」
ジュンが立ち上がり、つぐみに言う

「幸せか~、皆で見に行きませんか?」
つぐみは、みんなの顔を伺う

「そうね……行きましょうか」
麗華が立ち上がる

それを機に皆が立ち上がり、教会へ向かう

教会へ着くと、丁度式を終え階段から花嫁・花婿がでてきていた
見学客も多く、あたりはすごい人込になっており皆と別々になってしまった
後ろを歩いているアポロを除いて

「皆とはぐれちゃった……」
「お前がのんきに歩いているからだろ」
アポロは文句を言いながらふわぁ~とあくびをする

「む! どうして着いてくるのよ!!」
「べっつにーいいだろ、お前一人にすると何するかわからねぇじゃねーか」
「人を珍獣扱いしないでよ!!」


もう……口を開けば、お互い憎まれ口……
あー嫌だな……
最近、少しはアポロに近づけた気がしたのに……
でも、アポロも接し方が変わった気がするのよね……


なんとか人込をかき分け、前の方まで移動した

「うわぁーーー♪綺麗ーーー」
シルヴィアが花嫁を見て、感激の声を出す

「そうか~?」
感激しているシルヴィアと違い、アポロがぶっきらぼうに言う

「もう、あんたには美学って言うものがないの!!?まったく……
真っ白のドレスいいわよね~、はぁ~憧れるわ 私も着た~い」


私もいつか着れるのかしら……


ちらっと隣のアポロを見る
興味がなさそうと思ったが、思っていたよりも真剣に花嫁を見ているようだ

「アポロも式をあげるときは、タキシード着なきゃいけないのよ!」
と隣の花婿を指差す

「はぁ???あんな窮屈なもん着ねぇよ」

「何言ってるのよ!あんたがよくても、私が困るのよ!」
慌てて自分の口を手で塞ぐ
顔が真っ赤になっていく

「は……???」
アポロがきょとんとするが、真っ赤になったシルヴィアを見て気付いたのかアポロまで赤くなる

「いいい今のは忘れて……」
と言っていると歓声があがり、自分の手元に何かが落ちてきた
びっくりし、落としそうになるがアポロが慌ててフォローに入り手元に納まった

「???」
よく見ると、自分の持っているものはブーケのようだ

「え・・?これって……もしかして・・」

「あーーーシルヴィアさん、おめでとうございます~!!!」

投げられたブーケを追って、つぐみと麗華、クロエが近付く

「次の花嫁さんはシルヴィアさんですね」
つぐみを追ってジュンまでくる

「え……????」

「さっきジュン君が教えてくれたんですが、
花嫁の投げたブーケを受け取った人が次の花嫁になるんですよ~」

「おめでとうございます」
「おめでとう」

皆それぞれお祝いの言葉をくれる


そう言われても……まだ14歳に次結婚する言われてもな~
それに、アポロさっき興味なさそうだったし……
まぁ、、花に罪はない……とってもキレイなブーケだ
次の花嫁って言われると複雑だが花はうれしい

「ありがとう……」


その後、ちょこちょこっと話皆別行動になった

つぐみは車の部品を見に行くというのでジュンが着いていく

シリウスは雑貨を見るといい、何故か麗華が着いていった

ピエールはクロエとクロトと一緒にどこかへ行ってしまった

本当はお兄様と行動を共にしたいが、ブーケをもっているので
先に帰る事にした

……アポロと

「まっすぐ帰るのか?」

「んーお花が枯れる前には帰りたいわね~」

なんとなく、アポロといるのがぎこちない……
それをアポロも気付いているのか……

「ちょっと散歩していかないか?」

ディーバの森を指差す
まっすぐも帰ることもできるが、少し遠回りして帰るのもいいかもしれない・・
このぎこちなさがなくなるならば・・

「そうね……・」


二人で森を歩く

1歩前をアポロが歩き、その後ろをシルヴィアが着いていく

川原に着き、アポロが川に近付き、座り込む
その隣にシルヴィアは座り、ボーと川を眺める

暫くの沈黙……
アポロがその沈黙を破る
「あのさ……」

シルヴィアがアポロの方を向く

「さっきのこと……あー……そのだな……・」

「なによ!忘れてって言ったでしょ」
どうせ、また文句を言ってくるに決まっている

ぷんっと顔をそむける

アポロは少し、ムッっと顔をするがすぐに気を取り直して
立ち上がり、シルヴィアの背後に回り シルヴィアを抱えるように座り込む

「!!!!!」
振り向くと、アポロの顔がすぐ近くにあり、口付けられた

背後から抱きしめられ、先ほどまで持っていたブーケは地に落ちている
シルヴィアの手はアポロの腕に添えられていた

「一度しか言わねぇからな!!!」

首元に顔を置かれ、顔を動かすこともできないので前も見る

「あんな、服とか別にキレイとは思わなかったが、お前が着たいって言うなら着てもいい
お前があの男が着てたような服を着れっていうなら着る
俺のいつもの格好じゃあんな格好をしたシルヴィアの横には居れない……・」

それに…… と続ける

「あの真っ白なドレスを着ているシルヴィアを想像した……お前なら似合って綺麗そうだったぜ」

照れた笑顔を浮かべ、告げてくる


アポロがこんな歯の浮くようなセルフを言うとは……
それも……これって……


「あー、そのだな……俺が言いたいのは……・」

シルヴィアを抱く腕に力が入る

「……うん……?」
瞳に涙が溜まる

「そのだな…………ェート……・フー!」

大きく息を吸い、勢いで言葉を発する

「俺達もいつか6月に式をあげような!!!!」

「アポロ!!!!」
シルヴィアは身体を捻り、上半身のみアポロに向け抱き付く

「だから……花受け取ったときの、あんな悲しい顔するな……、一緒に幸せになろうな」

アポロの胸を濡らしながら
「うん……うん……私……アポロとなら幸せになれる!」

二人は向き合い、唇を合わせた
将来の約束を兼ねて……

アポロ右手とシルヴィアの左手があわさる

眼を合わせ、頷きニッコリ笑う

眼を閉じ、再度口付けた……

                            ~fin~

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?