当世新作落語事情～新宿末広亭　令和元年12月下席夜の部千秋楽を聴いて

2019/12/28　末広亭下席夜の部　昼トリより
昼トリ
はん治　妻の旅行
夜の部
左ん坊　寿限無
扇兵衛　転失気
ニックス
駒治　マナー車掌
きく麿　寝かしつけ
楽一　ししまい　凧揚げ　新婚旅行
喬之助　堪忍袋
円歌　坂本龍馬伝
伊藤夢葉
馬の助　かつぎやから百面相
円丈　聖なる家族
－中入り－
菊志ん　風呂敷
丸山おさむ
三語楼　やかんなめ
菊之丞　片棒　（一人っ子）
ストレート松浦
彦いち 掛け声指南 年の瀬バージョン（仮）

昨年までは今松師匠の末広亭12月下席夜の部、そして千秋楽は『芝浜』という定番が礼和から代替わり、彦いちトリによる新作多めの番付。次々と飛び出す話に場内かなり笑いっぱなし。二階席もあいて大入り満員。

駒治やきく麿のネタをいじりつつ古典をかりて学校寄席をディスるのも喬之助らしく、菊志んのおかみさんネタはもう鉄板で高座をおりるときにこっそり手を振ってくれるファンサービスもいいね。いい感じに古典がアクセントになっていくのが当世新作落語。そんななか敢えて台本を読むというスタイルを貫き後期高齢者をよそう圓丈のスタイル。世代交代をひしひしと感じる瞬間だった。

トリの彦いちの掛け声指南は、オウム返しが絶妙で、いまこのときしか生まれない感を客席と一体になって作り上げる。先日SWAで聞いたとき、明らかに喬太郎一人勝ちの落語としてのうまさではなく、エンタテイメントとしての落語の確立がさすが。

そしてなにより、出演者・客席含め、みんな古典が好き、芝浜が好き。そしてなにより、日本人としての季節感、この時期にこの話を聞きたいという気持ちを共有してる、芝浜がこんなに一つの番組にでてくるなんて。

だから寄席がよいはやめられない