約七二〇〇秒
ほの明るくない予感がして、うしろにまとめた髪に左手をやると、その予感は当たっていた。
買ったばかりのカンザシを失くした。潔く空に勘弁してくれと言ってコートをやめたところまではよかったのだけれど、マフラーがよくなかった。
やけに冷静だったのは、友達の前だったからではない。手紙を落としたばかりだったからだ。今回は中身がわからないままじゃない。だから全然平気だ。3600円くらい。
透明で、ゴシック調のレタリングで、ちょうど自分のイニシャルだっただけだ。
チャンスは何度だってやってくる。
?
ついこないだと同じ、つまり慣れた手順で、各防災センターに電話をかける。打つ手が残っているというのはモヤモヤとして困る。できることはした、という状態にまでスムーズにもっていくことができた。職場のひとに聞いてはじめて知った、「はさみさん」のおまじないもやっておくか。
おまじない、おまじないと言えばふみコミュ、私の中学生の一分一厘くらいは、ラビーイーのパソコンが占めていたかもしれない。アップルじゃなくてNECの家だった。
今となっては一人でやってくださいという約束事がにわかにおそろしいけれど。
今回は違う形じゃ困る。
同じ形で出てきてください。
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