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白刃は夜舟で-徳川美術館-

注意書

これは後に自分が更に知識を得た時に振り返って
「こんなこと言ってら」と感じるための覚書です。
素人意見は間違えてれば間違えてるほど良いとは思いませんか?
…思わないか。

まあまだ刀剣の各部名称すらまともに言えないけれど、
せっかく鑑賞しているのだからそろそろ感想くらいは言えるようになりたい。
あわよくば文字に起こして冷静になって、更に疑問を持てるようになりたい。
そういう文章です。


本書

本作長義をどうしても見たくなって、徳川美術館に行きました。
名古屋駅か電車で12分、徒歩12分くらい。行きやすい…。
現在の展示は徳川家康–天下人への歩み−。
18日までなのでぎりぎり間に合いました。

徳川美術館 徳川家康−天下人への歩み−

本作長義を見るために行ったので、まあ最後の方に展示してあるんだろうな〜と余裕な気持ちで展示室に入ると、本っ当にすぐ居た。心の準備をさせてくれ。
あまりに唐突で目が滑ってしまったので、他の展示を見た後、心が落ち着いた頃に戻って見直してしまった…。常に冷静でいられるようにドンと構えていないとなあ。
それはともかく。
初めて見た印象として想像の倍は身幅が広く、厚い。おまけに大鋒と、武器らしい威圧感のある刀だと思った。
刃文は大きく等間隔に乱れ、その谷の中でさらに細やかに乱れる。先の方は丸い飛び焼きが点々とあり、可愛らしさもある。
鋒にまで乱れた刃文が及び、攻撃的な姿にあしらわれた華やかさの整合性がまさにこの刀の特徴と言える。
そして堀川國廣によって切られた銘も見どころの一つだと思うが、私は以前より刀工堀川國廣の字が丸みを帯びていて可愛い、と思っている。この本作長義の銘は特別長い事で有名だが、それでも丸さを感じ取ることができた。特に國廣の國を囲む四角の滑らかな曲線。
國廣の刀を鑑賞する際は毎回、まずそこへ目が行ってしまう。
しかし茎の限られた範囲にここまで文字が入っているのは、知識として知っていても実際見るととても感動する。
至る所に魅力のギュッと詰まった一振だった。

次は南泉一文字。逸話から猫のイメージとどうしても切り離せないこの刀は、鋒が反り返って鋭く、また浅く沿った姿からなんだか猫の爪を彷彿とさせた。
腰から先まで一定の身幅で通る刀身が凛として、重花丁子の乱れ刃文がそれを際立たせる。丁子が小気味良いリズムで大きく、小さく咲き乱れて心を躍らせた。
やはり長船や福岡一文字の刃文は、一際華やかで目が奪われる。

この2振りが展示されているというのは事前に調べて知っていたのだが、他にも鯰尾藤四郎、物吉貞宗、庖丁藤四郎が見られた。
まずは鯰尾藤四郎。
薙刀直しのこの脇差は、短くも情報量の多い刀剣だと思った。
まず鋒の造り。棟の肉が削ぎ落とされて、菖蒲造りにしてあった。これは冠落造と言って薙刀特有の造り込みらしい。菖蒲造り自体まだあまり目にした回数が多くないが、これは本当にお洒落な造りだと思った。鯰の尾に見えるという名前の由来の鋒のふくらみが、滑らかな曲線を描いてまた美しい。
そして冠落造の下には2本の薙刀樋と添え樋。所狭しと刀身に彫りが入っていて見所が多い。
刃文は直刃で、刀身の中央で細やかに乱れる。丁度樋と鋒の彫りの境目が乱れており、情報量が多くも、調和していると感じた。
擦り上げられたのだと一目に分かるくらい短くなった茎に吉光の文字。吉光の銘は大きく綺麗な文字で切られているので、ガラス越しの遠目でも目に入りやすくて鑑賞する際有難いとすら思ってしまう。藤四郎の刀はステータスとしても扱われていたようなので、やはり堂々とした銘には手にした人達も感嘆の吐息を溢したのだろうかと思いを馳せる。

物吉貞宗。第一印象では平造りに素剣の彫りが映える刀身。
素剣だけでなく、他にも彫りが多数。瑶珞、鍬形、蓮華、梵字。
所謂ラッキーアイテムといった名前の由来と結びつく縁起の良さが刀身からありありと伝わってくる。
鋒は少し反り気味に鋭い。刃文は湾れ、先に行くほど乱れる。鋒付近では飛び焼きも見られて、腰から徐々に眺めていくと変化が楽しい。
拵も共に展示されており、黒い鮫肌の柄に黒漆で塗られた鞘が幸運の刀と呼ばれる物吉貞宗に余分な派手さを加えず、そこへ上品さを感じた。

庖丁藤四郎。とくび組、としてグッズにもなっている6振りはもしかすると見る事もできると思っていたがまさかこの刀も展示されていたとは知らず、驚きと共に嬉しい出会いだった。
平造りに一筋の樋。名前の由来の包丁のような姿。直刃調の刃文に小乱れが入る。
非常にシンプルでいて、可愛らしさを抱く短刀だと思った。
鋒の背の部分にほんの僅かに凹みがあるようにも見え、その動きで反りが入っているとも感じた。


徳川美術館の施設内にはカフェがあり、とくび組(本作長義、南泉一文字、鯰尾藤四郎、五月雨郷、物吉貞宗、後藤藤四郎)のイメージケーキやジェラートが期間限定で食べられる。
現在は本作長義のカップケーキと物吉貞宗のジェラート。
ドライフルーツやチョコチップの入ったケーキと、滑らかなピスタチオのジェラートがものすご〜く美味しい。…マジで美味しいな?ちょっと驚いたわ。
ケーキには鑑定書の敷紙、ジェラートにはモチーフ柄のピックが付いてきて、持ち帰ることができる。

長義カップケーキと物吉ジェラート

せっかく名古屋へ行ったのだから、ついでに名古屋城へ。
金のシャチホコで有名なだけあって、至る所にシャチホコモチーフ。
今は天守閣が工事中で入ることができなかったが、本丸御殿に入城。
内部を傷付けない厳しい配慮を求められるだけあって、当時の景観を見る事ができる。
絢爛豪華な金屏風や極彩色の欄間。檜の香り。とても素敵な空間だった。

審神者として自分の本丸はどんな感じだろうと、妄想と重ねながらの見学。とても楽しい。やっぱり城も色々巡ってみたいなあ!

名古屋城。天守閣にシャチホコが見える
本丸内部
本丸内部
本丸内部

愛知遠征、これで3回目だったがようやく見たいところは全て見れた、という感じ。
初めての徳川美術館、今回刀剣のことだけ書いたが、茶器や着物などの美術品も見やすく、ボリューム満点だった。
聞いていた通りお洒落なモチーフグッズも多数あって、ショップまでとても楽しい。
とくび組で見れていない刀もまだまだあるので、また機会があれば見に行きたい。

名古屋遠征

以上。