錦江町で共にチャレンジしたい! 講演会「『ローカルベンチャー』とは何か?」を開催しました。
2023年9月20日錦江町文化センターで、株式会社エーゼログループ代表取締役CEO牧大介が「ローカルベンチャーって何?」と題した講演を行いました。私たちエーゼログループのことを知っていただき、錦江町でどんな取り組みを進めるか、弊社代表牧が伝えた講演の様子をご紹介します!
参考:
『まちのために大切なのは、人を育てること。そんな熱い思いをもった鹿児島県・錦江町の町長が仕掛け人となって、ローカルベンチャーを応援するチャレンジを始めます!』
『この町を舞台に挑戦する起業家、募集! 錦江町ローカルベンチャースクール2023』
http://www.town.kinko.lg.jp/seisan-h/localventureschool.html
『役場から錦江町の未来を!第一回錦江町役場職員研修を実施しました。』
https://note.com/azero_kinko/n/n7aae3ce3d417
挑戦を応援するチームを育てたい
自然豊かな鹿児島県錦江町に株式会社エーゼログループ第4の拠点が生まれ約半年、町を舞台に挑戦する起業家を支援するローカルベンチャースクールの募集、自らが変革の担い手となることを目指す役場職員研修の実施と、錦江町での活動が始まっています。半年を迎えた今、改めて錦江町での取り組み内容や今後の展望についてお話しする機会をいただきました。当日は57名もの方が参加してくださりました。
開催にあたり、新田敏郎町長から期待をこめた挨拶をいただきました。
「錦江町の資源を使い、エーゼログループと一緒に新しいビジネスを創る事業を今年度からスタートしました。地域にある既存の産業を掛け合わせることで、新しいビジネスが生まれるのではないかと考えています。西粟倉村で新しい仕事づくりを実践されているエーゼログループに協力を求め、ローカルベンチャー事業を立ち上げました。本日の講演がみなさまの取り組みの役に立てばありがたいです。」
牧から最初に、エーゼログループが西粟倉村と連携して行ってきた、地域で挑戦する起業家型人材を増やし、挑戦を応援するチームを育てるローカルベンチャー事業の取り組みを紹介しました。西粟倉村では主に地域おこし協力隊制度を活用した起業支援・新規事業立ち上げ支援を行い、この10年で50以上の会社や新規事業が生まれています。起業した挑戦者が人を引き寄せて仲間を増やし、人口1300人弱の村に約230名の移住者がIターンで入り、地元で起業したところが新たな就職先となって、Uターンが増え始めています。
錦江町でも役場と連携して、地域の方々と思いを共有しながら、挑戦者を増やし挑戦を応援するチームを育てていきたいと考えています。
その土地のエーゼロ層として、地域の営みを守り、発展させていく
牧の仕事の原点は、学生時代、地域の高齢者との交流に遡ります。高齢者が新しいビジネスをつくり、集落を復活させた地域では、「自分たちはこのチャレンジを成功させて、集落を復活させたんだ」という話を聞いたそうです。一方で、牧が話を聞いた多くの地域では諦めがありました。「子どもも帰ってこない、ここはどうせ無理だと諦めてしまった地域がある。どうせ子どもも孫も帰ってこないし、家もどうなるかわからないし、木を育ててきたけど山もどうなるかわからない」と。
「『どうせ』という言葉は、本当は子どもに帰って返ってきてほしいという願いの表現でもあります。『どうせ』をいってしまうのを諦めない方法はないのか、意識するようになりました。」
この「どうせ」を諦めないためにはどうすればいいか、牧は社会人になってからも模索し続け、地域で挑戦する人を育てていく事業に取り組んだことが、転機になったと言います。全国の仲間と一緒に試行錯誤を重ねる挑戦に取り組み、地域の会社で人が育ち、人が育つことで会社が育つ好循環の仕組みをどう生み出していくか、理論的裏付けをしっかりつくりながら、かつ、実践も展開する。それが現在のローカルベンチャー事業に生かされています。
また、エーゼログループの「エーゼロ」は、牧が学んだ森林生態学の用語「A0(エーゼロ)層」、命を育む森林の表面土壌が由来です。
「その土地にある文化、経済、そこで生きてきた人たちの大事な営み、積み重ねを守りながら、さらに発展させていく。そういう地域のエーゼロ層になることを目指していく、エーゼロという名前です。」
地域のエーゼロ層となるべく生み出された事業の複合体がエーゼログループです。
地域の可能性、人の可能性を諦めない
エーゼログループが取り組んできたローカルベンチャーについて、地域で新しい事業の立ち上げに挑戦することを、牧は「仲間づくり」と例えます。挑戦者と、その挑戦者と一緒にものをつくり、価値を生む人、お客様になってくれる人、地域の人たちとの仲間づくりです。
仲間とは、一緒にリスクを取ったり、働く時間を共にする関係だけではなく、観客席で応援するような関係も含まれます。仲間が増え、応援したい人が増えることは、ローカルベンチャーを続けていくときの大事な要素です。外から来て挑戦する人の願いと、そこで生きてきた人たちの願いが重なるところに、新たなビジネスが生まれます。
「西粟倉村で木材加工場を立ち上げた時、山主さん、木を植えて育ててきた人の思いをたくさん聞かせていただきました。その思いが自分の中に入り、乗り移ってくる。自分ひとりがやりたい事業ではなく、一緒に働く仲間、地域の人たち、木を植え、育ててきた人たちの思いがあって踏ん張れました。」
西粟倉村でゼロから事業を立ち上げた仲間づくりのプロセスが、後に、新しい事業の立ち上げに挑戦する人を応援する西粟倉村のローカルベンチャースクールにつながりました。
また、滋賀県で障害者就労支援事業に取り組む中でわかったことは、自然の大切さと、対人支援の大切さ。
「その人の存在を絶対的に認める姿勢を貫き、そこに関わる人たちの可能性を諦めないことが事業の根幹にあります。豊かな自然資本があり、その上によい仲間づくり(社会資本)があり、その上に、健全な経済(経済資本)があるという考えで、仕事をしています。」
地域の可能性を諦めない、人の可能性を諦めないことが、ローカルベンチャーの中心にあります。
起業家がいるから、起業家が増える
西粟倉村は2004年に合併しないことを決め、4年後に百年の森林構想を立ち上げ、ローカルベンチャーによる挑戦が始まりました。エーゼロ(エーゼログループの前身)は最初のひとりの起業から関わらせていただき、挑戦の連鎖が続いています。
「錦江町でもこれから起業する人を増やす事業に取り組みます。地域に起業家を増やす方法は、そこに起業家がいることです。」
起業家を増やすには、起業家がいること。矛盾していそうですが、起業する人が周りにいると、あの人ができるなら、自分もできるんじゃないかと思う。実際に、起業家した人の身近には、起業家がいる場合が多いそうです。
起業家と言われる人は、必ずしもビジネスを立ち上げているわけではなく、役場職員が自分でプロジェクトを企画・実行して、地域の未来のために挑戦していることも含まれます。もちろん、それは役場職員に限りません。
「真剣に挑戦し、悩みながら自分の仕事を続けている人を起業家だと認識し、起業家として発信を重ねていくことが、地域に起業家がいることに気づくプロセスです。錦江町にも自ら起業家と名乗ることなく、起業家と言われることもない起業家がいて、その人たちが火種になって、起業家が起業家を増やしていく好循環が生まれるという仮説があります。さらにその循環を子どもたちの起業家教育にもつなげたいと考えています。」
役場と連携して、挑戦する起業家を増やすローカルベンチャー事業の取り組みは、時に分断を生むこともあります。新たな事業を立ち上げるための、可能性を諦めない挑戦は、地域で一所懸命に取り組んだからこそ諦めた人たちから見ると、自分たちは否定されていると思えてしまう。しかし牧は、地域の未来を諦めず、挑戦を応援する地域であり続け、一人ひとりが自分を諦めず、幸せになっていくことが大事だと語ります。
「分断が顕在化するからこそ、分断を統合して、乗り越えていくことができます。地域のお叱りの声を受け続け、50年後を目指して、西粟倉村でローカルベンチャー事業に取り組んできたわれわれです。錦江町でもみなさんと一緒にチャレンジできればと思っています。」
講演会を終え・・錦江町の未来に向けて
質疑応答ではご自身の取り組みに引き寄せた質問が寄せられ、盛況のうちに講演会は終了しました。また、アンケートでは「未来を信じてやることの大事さを痛感した」「ローカルベンチャーを知ることができ、興味が沸いた」「ベンチャーや起業に対する考え方が変わった」などの意見をいただきました。未来を信じ、仲間をつくり挑戦する、それぞれの中にある起業家精神に気づいていただく機会となっていたら、私たちも嬉しいです。
参加者の熱意とともに代表の話を聞き、私たちはなぜこの錦江町で取り組むのか、何を生み出すために、どう動くのかを改めて意識することができました。
錦江町が目指す未来に向けた挑戦を、今後もお伝えしていきます!