今朝がた北方領土について真面目に考え込んだせいか、駐輪場に自転車を置いていく地球人たちの瞳がみんな銀色に輝いてみえた――そこまで書いて、田中はやけに静かな家の気配に気がついた。
「今日はユリエさんと二人で留守番だったか……」
ふいに猛烈な渇きを覚え、田中は台所へ向かった。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。