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『酸味のきいた飴細工を作れって江戸幕府に言われても昼飯には麩しかでねえ…』

うたがわきしみ
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『飴細工 技にさいたる案配 ザボン 酸味 湯河原 わさび 淫靡な酢 酸味に氷る土台 アンポンタン そう 江戸幕府 イズミあった森 捜索 淫靡な酢 酸味 氷る土台 昼 ああ 麩を見 湯河原 わさび 技にさいたる案配 麩を見』

翻訳:粋な飴細工にもっとも適した素材に、とても酸味のきいたザボンがあるが、わたしの場合、湯河原のこれまたやらしいほど酸味のきいたわさびがかかせない。飴細工の土台を冷やしてかためるのに重要な役割を果たすのだ。湯河原の森のとある清水の先にイズミが湧いており、その道なりにわさびが群生している。江戸幕府からそのわさびをおさめよとのお達しがあり、職人として出向くことにいささかも問題はないが手間賃がわりにでた昼食は麩のみであった。たしかに自分の飴細工にはあのわさびはかかせないし、 出向くぶんにはいささかも問題はないのだが、それにしても、この働きの代償が麩って…。おもわず麩を二度見してしまう昼下がりなのであった。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。